2023年4月21日発売
東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。
大坂の蘭学塾「適塾」を営む名高い医学者、緒方洪庵の妻となった八重。ぎこちない暮らしの中、次第に二人は心を通わせていく。そんな中、恐るべき疫病の疱瘡が流行の兆しを見せはじめた。洪庵と八重は、人々が疱瘡に苦しむことのない世をつくるため、適塾で学ぶ志士たちー大村益次郎、橋本左内、福沢諭吉らと共に新医術「牛痘種痘」を広めようとする。だが、それは長く困難な闘いの始まりだった。近代医学の礎を築いた夫婦と教え子たちの、葛藤と成長を描く感動の歴史小説。
香港でデモを扇動、さらに助手を殺害して日本に逃亡したキャサリン・ユー元教授。彼女を逮捕すべく捜査にあたる分室メンバーを、香港の犯罪グループが襲撃する。やがて判明する謀略。それは、分室設立に隠された真実につながっていたのだったー。
里村五郎兵衛は、神宮寺藩江戸藩邸差配役を務めている。陰で“なんでも屋”と揶揄される差配役には、藩邸内の揉め事が大小問わず持ち込まれ、里村は対応に追われる毎日。そんななか、桜見物に行った若君が行方知れずになった、という報せが。すぐさま探索に向かおうとする里村だったが、江戸家老に「むりに見つけずともよい」と謎めいた言葉を投げかけられ…。最注目の時代小説家が描く、静謐にして痛快な物語。
二〇二二年七月ーコロナ新規感染者数は一日十万人を超えていた。第7波、第8波と、波状攻撃で日本社会に襲いかかる。医療現場は医療崩壊の状況を超え、今や「医療麻痺」に陥っていた。その頃、ホスピス病棟とコロナ病棟の責任者を兼務する田口公平は、新任の中堅医師・洲崎に手を焼いており、この問題を解決するため、禁断の一手、厚生労働省の白鳥圭輔を東城大に召喚するが…。
1984年初版の『オックスフォード世界児童文学百科』は、図書館員、教員、書籍収集家、学生をはじめ、親や子どもにいたるまで、児童文学にかかわるすべての人々にとって必要不可欠な事典である。この新版はダニエル・ハーンによって大幅に改訂され、新たに900を超える項目がくわわった。
彗星の一撃によって宇宙に攫われた一行がパラレルワールドで展開する、奇想天外な太陽系ロビンソン漂流記。SFの出発点と目され、“驚異の旅”の転換点を刻する大作、初の完訳。