2023年5月31日発売
老舗糸問屋・嶋屋元主人の徳兵衛は、還暦を機に隠居暮らしを始めた。風雅な余生を送るはずが、巣鴨の隠居家は孫の千代太が連れてきた子供たちで大にぎわい。子供たちとその親の面倒にまで首を突っ込むうち、新たに組紐商いも始めることとなった。商いに夢中の徳兵衛は、自分の家族に芽吹いた悶着の種に気が付かない。やがて訪れた親子と夫婦の危機に、嶋屋一家はどう向き合う?
笑いしか生み出さない異彩を放つ文章を生み出し、Twitterとnoteで配信し続けるやーこのデビュー作。 Twitterで30万以上のいいねが付いた「猫の診察で泣きそうになった話」や「新幹線で座っていたら予想のつかない事態になり悔しい思いをした話」、「カツアゲにあった話」、「男が玄関に入ってきて悲鳴を上げた話」など話題作の他、書籍のために描き下ろした新作10篇以上も収録。長篇も含む全33篇をお届けする。 また、やーこのファンアートを投稿し、ファン界隈では神絵師とも言われているイラストレーターの栖周ともコラボ。文章の世界観をリアルに再現した迫力あるイラストは笑いの起爆剤となり、最初から最後まで笑いしかない1冊に。 思わず声を出して笑ってしまう可能性があるので、念のため周りに人がいないか確認してから読むのをおすすめする(気にしない方はそのままお読みください)。
前世の“推し”だったジュダール将軍の悪女妻に転生したアンジェラだが、初夜を無事乗り切り旦那様の愛を得て溺愛の日々を送っていた。前世の知識を活かしたドレスデザインや美術知識などで社交界でも名を上げ、悪女の噂も払拭していく。極め付きは収穫祭パーティでの新ドレスデザインお披露目と、三大公爵との交流で、その立場は盤石かと思われた矢先、何者かがアンジェラを罠に嵌め、“悪女”へと押し戻そうとする事件が次々と起こる!これは原作の強制力?断罪は免れない?愛し合う二人は力を合わせ真実解明に挑み、ハッピーエンドを迎えられるのかー。怒涛の展開で贈る“初夜”から始まる夫婦の物語、大団円!
インターネットですべてが変わる。だから今のうちに体験しておくべきなんだ。1995年、宇都宮。高校2年の達也は東京に憧れ、広告業の父は自宅の「スタジオ」で取引先のためのアンプ製作に腐心する。父の指示で、黎明期のインターネットにいち早く接続した達也は、ゲイのコミュニティの存在を知り、おずおずと接触を試みるー。バブル崩壊後の20世紀末を疾走する、父と息子の冒険譚!
「おとなになっても苦しいままだったら、どうする?」喘息の一息一息の、生と死のあわいのような苦しさ。その時間をともに生きた幼い姉と弟ー。弟の春彦が若くして死を選んでから十年、姉の環も、父と母も、悔いと悲しみを胸に抱きながら、たがいに語ることなく生きてきた。環の十五年ぶりの喘息発作をきっかけに、喪失を抱えたこの家族のあいだをあたらしい風が流れはじめる…。
嘉永六年(一八五三)元日、異例の暖冬に加賀藩は弱りきっていた。この夏の重要行事である将軍への「氷献上」に不可欠な氷が全く作れないのだ。ひと月後、信州の旅籠の氷室で見つけた氷には、八十名以上もの先約が。事態を打開するため御用飛脚宿「浅田屋」の面々が立ち上がる!氷の確保、献上日の調整、他藩の説得、新しい氷室の普請、運搬中のアクシデントー怒涛の展開があなたを待つノンストップ時代小説!
入社5年目、何をやっても冴えない平凡な男斎藤郁馬は先週、仕事で大ポカをやらかし絶望の真っ只中にいた。郁馬が密かに想いを寄せている、神川環季部長にも見放されたと嘆いている中たまたま駅でその神川部長と遭遇。声をかけようとしたその瞬間突然、彼女の身体がぐらりと揺れ線路の方へと落ちてしまう。なんとか一命は取り留めたものの病室で目覚めた彼女は、まるで別人格が乗り移ったような豹変具合に。挙句の果てには自分は「ヴァルライド王国の魔法騎士」と名乗り「異世界より、タマキに転生した者である!」と言い出す始末。そんな彼女に困惑しつつも、郁馬は彼女と共に過ごすことになって…。憧れの女上司が異世界の魔法騎士へと転生!?笑いとドキドキ必須のドタバタラブコメ×ファンタジー!
わたしは踏みつぶされるかもしれない。ミサイルに焼かれるかもしれない。それでいい。一番の怪獣は、わたしなのだからー高校生のつかさが家に帰ると、妹が父を殺していた。テレビからは東京湾に怪獣が出現したというニュースが流れている。つかさは妹を守るため、父の死体を棄てに東京に行くことを思いつくー「わたしたちの怪獣」伝説的な“Z級”映画の上映中、街にゾンビが出現。一癖も二癖もある観客たちは映画館内に籠城しようとするがー「『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観ながら」ほか、時間移動者の絶望を描く「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」、吸血鬼と孤独な女子高生の物語「夜の安らぎ」の全四編を収録。『七十四秒の旋律と孤独』の著者が描きだす、現実と地続きの異界。
半身を覆う蘇芳色の痣と虚弱な心臓を持ちながら、同級生からの揶揄に対して苛烈なまでの矜持を示した少女・夏野。小学校時代、ほんの一瞬だけ彼女と交流を持った瑞葉は、高校生となって再会したとき、さなぎから蝶に羽化したような夏野に魅了された。数年前に奇妙な自殺を遂げたかつての同級生の死を調査するなかで、二人は距離を縮めていく。自殺した少年・要は夏野の痣の絵を描いたという理由でいじめを受け、それを苦に死を選んだと思われていた。彼を罰するかのように、要の死体は肌の半分を赤い絵の具で痣のように汚されていたー
英雄に討伐された死霊術士フランケルの転生した姿であるユリィシアは女学園に入学し、その不思議な魅力から「白銀の美少女」と呼ばれていた。成長した魔力をさらに伸ばすため、“死者の軍団”復活へのアンデッド素体を探すため、そしてなにより女の子のお友達をたくさん作るために、乙女の園でもマイペースな活動を続けている。イケメン剣士ウルフェや、ヴァンパイアメイドのネビュラちゃんを使役しつつも、出会った良家の子女たちと次々に「約束」を交わし、軍団強化を遂行するユリィシア。周囲の期待にまったく応えないユリィシアなのに、社交界デビューのデビュタントでも、生徒会活動でも人気を集めてしまったことで、“最高のお友達”との修羅場を迎えてしまって…。
魔界最強種族・オーガ族に生まれながらも、趣味のゴーレム造りで毎日を過ごす坊ちゃん。次なるダンジョン経営は孤島のビーチに陣取り、幼なじみメイドのリーデルと南の海を楽しむ計画だ。しかしそんな予定は、来訪者にあっさり覆された。夜の浜辺で出会った人魚・ロナの話によれば、この海域には魔魚がいて、魔力を吸い取っているという。コアが魔力で満たされなければ、返済失敗確定だ。ロナと共闘することになった坊ちゃんは、水上ゴーレムに乗り、魔魚狩りへと繰り出すことに。人魚の歌で誘い出し、魔槍で貫く死闘の中で、暴走エルフ・エリザベスのチート魔道具が猛威を振るう。ひ弱オーガとサキュバスメイドのバカンスに、武闘派人魚と姫騎士までが集まる大混戦。そんな中でも、恋の進展を目指す乙女たちには、ある密約があって…。
戦争が日常を覆い暗雲が立ち籠める中、悠太は陸軍幼年学校での厳しい訓練の日々を過ごす。母・初江は、弟・研三の疎開先の草津へ行くが、その帰り、上野駅で三月十日の大空襲に遭遇、辛くも一命をとりとめる。一方、苦しい経営に耐えながら、なんとか診療を続けていた祖父・時田利平の病院も空襲によって焼け落ち、利平は全身に大火傷を負って失明する…。戦争に翻弄されながらも、ひたむきに生きていく人びとの姿を活写する大河小説、いよいよ佳境へー。芸術選奨文部大臣賞。
ようやく戦争が終わり、焼け残った東京の我が家へ戻ってきた悠太は、深い喪失感を抱きながらも都立高校へ進学して、新たな生活が始まる。離ればなれになっていた一家がともに暮らせるという喜びも束の間、長年、時田病院を牽引してきた祖父・利平が七十二年の生涯を終える…。戦争という惨禍に彩られた時代を生き抜いてきた時田家、小暮家三代の物語がついに大団円を迎える。芸術選奨文部大臣賞。