2023年6月29日発売
「おまえはいったい、おまえの人生をどうしたいんだ」易きに流れて人生に行き詰まり、闇バイトに手を染めた若者。押し入った不動産業者の家で老婆を縛り上げ、まんまと金を奪ったのだがー目が覚めると彼を誘った男は金と共に姿を消していた。しかも覆面は外され、老婆に目撃される。俺だけ損するだろこの展開!不遇な過去を振り切るように、若者は包丁を手に老婆に近づくー表題作の他、訳も分からず妻に去られた夫や、海に消えた父を待つ娘など、様々な「隣の人生」を収める作品集。
保険営業所に勤める藤原は、通勤電車で見かける少女に「元気」をもらっていた。ある日、同じ少女を盗撮していた男との奇妙な交流が始まり…。-「狭間の者たちへ」介護士として過酷な労働をこなす興毅は、老人「89」の発言をきっかけに、戦時下の兵士たちの蛮行をとらえた写真に魅了され、依存していく。戦争と介護の闇が交差する勇猛果敢なデビュー作。-「尾を喰う蛇」忌まわしい世界から目を背けたいのに一文字ごとに飲み込まれる、弩級の小説体験。
夫の言動に耐えられなくなった聡美は、子供を連れ実家のある北鎌倉に逃げ帰る。そこで出会ったのは、縁切りで名高い「東衛寺」の娘で弁護士の松岡紬。勢い込んで紬に離婚相談をした聡美だったが、思いがけないことを言われ…。モラハラ、浮気、熟年離婚、同性カップルの離婚、養育費の不払い。パートナーと離婚したいと思ったらまずは何から?財産分与や親権の争い方は?個性豊かなキャラクターたちが織りなす、リーガル・エンターテインメント!
もうすぐ子供を産めなくなる私は、恋人と深刻な喧嘩をした翌日、かつて暮らした歓楽街へと赴く。その地に近づくにつれ、デリヘル開業を目指す若者たちと過ごした「十一階の部屋」の記憶が、強烈な匂いを伴って私の脳内に蘇るー。セックス・ドラッグ・バイオレンス+フェミニズムを描いた新境地!
ルネサンス期に実在したメディチ家の娘ルクレツィア・ディ・コジモ・デ・メディチ。わずかな記録のみが残る彼女の「生」を、『ハムネット』の著者が力強く羽ばたかせる。イギリス文学史に残る傑作長篇。
「君には、志献官になる力がある」デッドマターから救われ、そう告げられる朔。その言葉を信じ、志献官になることを決意するが…。「結合男子」の志献官たちの過去に迫るオムニバスノベル集。