2023年8月発売
1874年、日本軍が台湾に出兵した(牡丹社事件)。清朝政府は台湾防衛のため軍隊を派遣するが、彼らは日本軍ではなく、原住民と闘うことになったーー。「開山撫番」政策下で起こった最初の原住民と漢族の戦争「獅頭社戦役」を描く歴史小説。原題『獅頭花』(INK、2017年)。本書は『フォルモサに咲く花』(原題『傀儡花』)に続く「開山撫番」三部作(あるいは「花シリーズ三部作」)の第二部にあたる。 本書のテーマのひとつは、牡丹社事件による清朝政府の危機感から生まれた「開山撫番」に誘発されたこの最初の原漢(原住民と漢民族)戦争、獅頭社戦役が、近代台湾の歴史を大きく変えたことを描く点にあり、本書によってはじめて取り上げられた。その意義は極めて大きく、こうしてはじまった「開山撫番(剿番)」は、その後清末から、さらに日清戦争後新しく統治者となった日本の「理蕃政策」に引き継がれていったのである。(「【解説】沈葆テイの「開山撫番」と最初の原漢戦争ー獅頭社戦役ー」より) 日本の読者の皆さまへ、『フォルモサの涙 獅頭社戦役』作者のことばー「開山撫番」から「和解共生」へー 本書を読むために 楔子 第一部 日本軍 刀を牡丹に揮い、風港を望む 第二部 大亀文 世と争いなく、かえって擾に見(まみ)える 第三部 清国兵 雄師〔精兵〕、海を渡り、倭軍を拒む 第四部 莿桐脚 争議の是非、総じて評し難し 第五部 沈幼青〔沈葆テイ〕 開山撫番、変音を惜しむ 第六部 王玉山〔王開俊〕 民を護るといえど、かえって仁を傷(やぶ)る 第七部 アラパイ 英雄、姫と別れ、内文を護る 第八部 上瑯嶠 原漢、今日仇恩〔恩讐〕泯(つ)きる 第九部 獅頭花 三千里の外で、かえって君に逢う 第十部 胡鉄花 涙を鳳山の昭忠祠にそそぐ 注 附録 淮軍と大亀文からの呼びかけと探究ーー私が『獅頭花』を書いた心の歴程 神霊任務の一 「鳳山武洛塘山淮軍昭忠祠」の探訪と再現 神霊任務の二 枋寮「白軍営」のほかにも淮軍の墓地がある? 「台湾の淮軍」の歴史と遺跡を尋ねて 台湾淮軍史(一八七四ー一八七五) 【解説】 沈葆テイの「開山撫番」と最初の原漢戦争ー獅頭社戦役ー(下村作次郎)
「店の名前はポルトボヌール。幸せの扉って意味よ」派遣契約が終わった日の帰り道、バターと砂糖の甘い香りに誘われて詩葉が見つけたのは、千駄木の路地奥にある「ガレットとクレープの店ポルトボヌール」。アンティークな雰囲気の店を一人で切り盛りするのは、赤い髪の店主・多鶴さんだ。こだわりの詰まったガレットをひと口食べて魅了された詩葉は、4日間通いつめ、雇ってもらうことに。多鶴さんの焼くブルターニュ仕込みのガレットと謎めいた常連さんに囲まれて、独身、貯金なし、彼氏なし、35歳の詩葉の新たな生活が始まるー。疲れた心をおいしく癒す、連作短篇集。
731部隊と繋がる防疫研究室で石井四郎の部下として働いた医師、茨木智和。最高機密の下で目の当たりにした数々の事実により、彼は愛する人を失い、人生は流転を始める。たどり着いた地・オーストラリアで開戦を境に“敵”となった彼は、強制収容所での日々を通じ、どう「暗闇」と向き合ったのかー日豪にルーツを持つ作家が描く、戦時下のエリート医師の苦悩と決意。
元同期の結婚式の時間を間違えた警視庁捜査一課の刑事「剣木善治」と、お目付け役の「鶴本沙羅」は、新婦のドレスが切り裂かれた第一の事件現場に遭遇する。そして、新郎の父がナイフで胸を刺された第二の事件が起きる。新郎新婦とその家族が抱える「秘密」と関係者たちの想いとは?!「優しさ」が交錯した混乱と波乱が剣木と沙羅の前に立ちはだかる!
1945年9月、日本人も犠牲となった「三叉山事件」をモチーフに、ブヌン族の少年ハルムトの成長を描いた感動の大作。17年かけて執筆し、台湾・中華圏の文学賞を制覇した注目作、ついに日本上陸! 上巻では、終戦前後の混乱した状況下で「三叉山事件」が起こるまでが描かれる。 台湾原住民族のブヌン族の少年・ハルムトとハイヌナンは、子供のころから野球が好きで、アミ族のコーチ、サウマが率いる野球チームに入る。1941年春、霧鹿部落を離れ、花蓮港中学に進学した二人は甲子園出場を目指して練習に励む日々を送る。だが真珠湾攻撃が起こり、野球どころではなくなってしまう。 ハルムトは、日本人が営む料理屋で働きながら学校に行くことになり、学校や仕事場で日本人、漢人、他の原住民族の学生たちと接する中で、ブヌン族としての自覚を強くし、ハイヌナンに友情以上の思いを抱くようになる……。 下巻は「三叉山事件」が実際に起こってからの出来事が中心に描かれる。 第二次世界大戦が終結して間もない1945年9月10日、米軍の輸送機が捕虜を乗せて沖縄からフィリピンのマニラへ向かっていた。台湾上空を飛行中、台風に襲われ、台東に位置する三叉山の付近に墜落。この霧鹿部落出身で山に詳しいハルムトは、駐在所の城戸所長から捜索を頼まれるが、行く気持ちになれずにいた。悩んだ末、ハルムトは捜索隊に加わり、山の中に入っていく。そして負傷したアメリカ兵のトーマスを偶然発見するが……。 ブヌン族の歴史を背負いながら、日本統治下の多民族多言語の世界で青春時代を過ごしたハルムトは、戦争による心の傷を抱えながら、多くの人たちの影響を受けて成長していく。終戦前後の台湾社会を原住民の視点から描いた作品の中で、これほど日本人との関わりを細やかに書き込んだものは他にない。三叉山事件で犠牲になった城戸八十八は「城戸所長」として本書に実名で登場している。 台湾の美しい自然を背景に、その土地で生きてきた人々の歴史と記憶を神話的な物語としてハルムトに語る祖父の言葉が全篇に散りばめられ、ハルムトを導いていく。祖父の物語からはブヌン族の心が、野球のコーチのサウマの物語からはアミ族の心が、料理屋の雄日さんや駐在所の城戸所長の物語からは日本人の心が、ハルムトの心の中に注ぎ込まれていく。 物語作家としての真骨頂が発揮された、後世に残る名作。
1945年9月、日本人も犠牲となった「三叉山事件」をモチーフに、ブヌン族の少年ハルムトの成長を描いた感動の大作。17年かけて執筆し、台湾・中華圏の文学賞を制覇した注目作、ついに日本上陸! 上巻では、終戦前後の混乱した状況下で「三叉山事件」が起こるまでが描かれる。 台湾原住民族のブヌン族の少年・ハルムトとハイヌナンは、子供のころから野球が好きで、アミ族のコーチ、サウマが率いる野球チームに入る。1941年春、霧鹿部落を離れ、花蓮港中学に進学した二人は甲子園出場を目指して練習に励む日々を送る。だが真珠湾攻撃が起こり、野球どころではなくなってしまう。 ハルムトは、日本人が営む料理屋で働きながら学校に行くことになり、学校や仕事場で日本人、漢人、他の原住民族の学生たちと接する中で、ブヌン族としての自覚を強くし、ハイヌナンに友情以上の思いを抱くようになる……。 下巻は「三叉山事件」が実際に起こってからの出来事が中心に描かれる。 第二次世界大戦が終結して間もない1945年9月10日、米軍の輸送機が捕虜を乗せて沖縄からフィリピンのマニラへ向かっていた。台湾上空を飛行中、台風に襲われ、台東に位置する三叉山の付近に墜落。この霧鹿部落出身で山に詳しいハルムトは、駐在所の城戸所長から捜索を頼まれるが、行く気持ちになれずにいた。悩んだ末、ハルムトは捜索隊に加わり、山の中に入っていく。そして負傷したアメリカ兵のトーマスを偶然発見するが……。 ブヌン族の歴史を背負いながら、日本統治下の多民族多言語の世界で青春時代を過ごしたハルムトは、戦争による心の傷を抱えながら、多くの人たちの影響を受けて成長していく。終戦前後の台湾社会を原住民の視点から描いた作品の中で、これほど日本人との関わりを細やかに書き込んだものは他にない。三叉山事件で犠牲になった城戸八十八は「城戸所長」として本書に実名で登場している。 台湾の美しい自然を背景に、その土地で生きてきた人々の歴史と記憶を神話的な物語としてハルムトに語る祖父の言葉が全篇に散りばめられ、ハルムトを導いていく。祖父の物語からはブヌン族の心が、野球のコーチのサウマの物語からはアミ族の心が、料理屋の雄日さんや駐在所の城戸所長の物語からは日本人の心が、ハルムトの心の中に注ぎ込まれていく。 物語作家としての真骨頂が発揮された、後世に残る名作。
一世を風靡したといっても過言ではない、日本の昔ばなしをミステリーで読み解いた『むか死』シリーズの最新刊にして最終巻。あっと驚くミステリーのもとになった昔ばなしは「こぶとりじいさん」「耳なし芳一」「舌切り雀」「三年寝太郎」そして「金太郎」--いずれも趣向に富んだ、これまでの作品に勝るとも劣らない作品集。
『悪魔はそこに居る』が吉谷彩子&石井杏奈のW主演で実写ドラマ化! 人間の裏側の恐ろしさで話題作を連発する気鋭作家による新たな「ドメスティックサスペンス」が誕生! この世界で一番大切なのは、他者に対する優しさを忘れないことーー福田優里は可哀想な人を見ると放っておけないタイプ。 憧れのタワーマンションを購入したものの、そこで繰り広げられていたのは女性住人同士で繰り広げられるおぞましいマウント合戦。その頂点に立つ帝人綾女の秘密とは? 根暗でいじめられっ子な謎の女・姫宮麗子の真の狙いとは? タワーマンションという上下関係のわかりやすい世界で渦巻く、格付け、値踏み、ランク付け。 小さなその社会のなかで、他者に対するやさしさや正義はそのまま受け取られるわけではない。それぞれに正義があり。正義の反対は正義なのだ。 他者へのやさしさは憐れみとなり、そしてその憐れみは無自覚で狡猾な自分を守るエゴと自尊心によるものではなかったかーー。 生贄になったら終わり。不可解なトラブルの連続、平凡な主婦を追い詰めるタワマンリンチがいまはじまるーー。 小説×音楽ーー。大手音楽配信サイト『レコチョク』とのコラボレーションプロジェクト。
日本人離れした灰色の髪と瞳をもつ水上久遠(みなかみ・くおん)は、母方の実家・冠城(かぶらぎ)家を訪れていた。 この家の男性陣はなぜか代々日本人離れした美形ぞろいで、ときどき吉兆のしるし「先祖返り」の外見を持って生まれる者がいるという。その外見的特徴を備えた久遠には、本人もあずかり知らない特別な秘密があるようだった。 ある日、久遠は不思議な力に引きずられるように時空を超えて、異世界へと飛ばされてしまう。気がつけば深い森の中。敵と味方が入り乱れる中、偶然行き会った美丈夫の神官・ドーシャが久遠を保護することに。最初こそ保護者と子どものような関係だったふたりだが、数多の試練を乗り越えるうちに、そこに特別な感情と、抑えきれない欲望がまじり始めて……。 ふたりは知らない。この出逢いこそ、運命に導かれたものであることを。 運命の相手とめぐりあい、愛し合う。吉原理恵子が描く異世界転移ファンタジー、待望の第2弾!
この世界を守りたい。 少年は大人になり、少女は英雄になった。 テレビ、書店で話題沸騰! 大人のための王道ファンタジー、はやくも第二弾! ☆☆☆ 名家の少年・ルチアーノは屋敷を何者かに襲撃され、レーエンデ東部の村にたどり着く。 そこで怪力無双の少女・テッサと出会った。 藁葺き屋根の村景や活気あふれる炭鉱、色とりどりの収穫祭に触れ、 ルチアーノは身分を捨てて、ここで生きることを決める。 しかし、その生活は長く続かなかった。村の危機を救うため、テッサは戦場に出ることを決める。 ルチアーノと結婚の約束を残してーー。 封鎖された古代樹の森、孤島城に住む法皇、変わりゆく世界。 あの日の決断が国の運命を変えたことを、二人はまだ知らない。
わたしは誕生日すら祝ってもらえないーー。冷えきった夫との関係や子どもとの生活に孤独感を募らせていた沢辻涼子は、我慢の糸が切れたある日、家出を決行する。飛び出した夜の街で出会ったのは、洞察力と推理力に優れた美しいBARのママ、野宮ルナ。ルナに自分が抱える報われなさの正体が「大学時代の元彼」であることを言い当てられた涼子は、彼女と二人で元彼を探すため大阪へ旅に出ることに……。元彼探しが難航する中、次々と事件に巻き込まれる二人は、無事に想い人と再会できるのかーー。仕掛けに騙され泣かされる、圧巻のサプライズエンディング!
殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。 浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。 “この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。 犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。 週刊文春ミステリーベスト10(「週刊文春」2022年12月8日号)国内部門&MRC大賞2022など4冠に輝き、ミステリ界を震撼させた『方舟』夕木春央、待望の最新作!
舞台はシニアのための高級マンション。 ひと癖もふた癖もある令和の高齢者と 彼らに振り回される若者世代との確執を 奇想小説の名手が鋭く描いた人間図鑑 虚言、妄信、陰謀論ーー セレブなシニアの真実はどこに 「このままではレジデンスがスラム化する!」 東京郊外の一等地にそびえ立つ高級分譲マンション 『レジデンス悠々』。 最上階ともなれば分譲価格は二億円を下らない、 セレブだけが入居できる終の棲家である。 住人は何ひとつ不満のない老後を謳歌している……はずだった。 「スポーツは悪だ! 陰謀だ!」と声高に叫ぶ元教師。 「皆さんと滑稽エンタメ映画を撮りたいの」 と言い出す往年の女流監督。 「あたしの人生、リボーンするのよ!」と爆買いをやめない有閑マダム……。 奇想天外な放言に振り回される、珠玉の5編
呪われし1999年7月生まれーー 東京郊外で発見された15人の遺体。胸に抱かれた預言書には、「人類滅亡の章」にしおりが挟まれていた。当初は集団自殺とみられたが、他殺の可能性が浮上。被害者には、1999年7月生まれのオカルト好きが集まる“世紀末五銃士”のメンバーも含まれていた。事件から一年半、残る“世紀末五銃士”のメンバーが次々と惨禍にみまわれ……。 終末への新たなる警告! 戦慄のオカルトミステリー。 巻 頭 Chapter1. マンデラ・エフェクト Chapter2. 龍の子孫 Chapter3. ブラックアイクラブ Chapter4. サイキック・ドライビング Chapter5. ユニバース25 Chapter6. シミュレーション仮説 巻 末
小国の成り上がり王太子、智慧と奇策で大国を打倒する。 元平民が国を変えていく!! 内政戦記ファンタジー開幕! <あらすじ> 小国ハーゼンヴェリアのしがない平民スレインは、王族たちの急逝により自身が王の隠し子だと知らされ、突如王位の継承を迫られることに。 知識も経験も足りない中で彼は、持ち前の聡明さとひたむきさ、そして副官モニカの支えで、結果を残し周囲に認められていく。 しかし戴冠の直前、大国のガレド大帝国から宣戦布告が届く。圧倒的な兵力差を前に、スレインは絶望的な抗戦か亡命かの決断を迫られーー 「戦おう。帝国と。そして勝とうーー我が国を守ろう」 各国の思惑が入り乱れる中、平民出の青年が類い稀な才覚で成り上が っていく内政戦記ファンタジー開幕!
君と私で殺し合おう それこそが私の幸せだ 仲間との決別。混迷する事態に少女は嘲笑う。 混沌を極める異世界戦記×ダークファンタジー第2弾。 <あらすじ> 「そろそろ戦争がしたいね。人間同士で血塗れの地獄を創り上げるのさ。きっと楽しいよ」 凄惨な戦場に魅入られ、壮絶な戦地に焦がれる傭兵団《月花》の団長アスラ。アーニアでの仕事を終え次の依頼、大森林未開の地の調査へと赴く一行だったが、そこでは皮肉な運命が待ち受けており……。 「これは命令じゃない。お願いだ。行かないでくれ」 死んだはずだった伝説の英雄ジャンヌとの再会、副団長ルミアとの決別。混迷する事態、混沌とする戦場で銀髪の少女は笑みを零し、ロマンを求め突き進むーー異世界戦記ダークファンタジー第2弾。
婚約してから2年ーー私を溺愛しすぎる王子殿下とようやく結婚して幸せになります!! 究極の溺愛ラブロマンス、堂々完結!! <あらすじ> 「帝国に貸し出した、雨を降らせるための魔導具に不具合があるらしい」 深刻化する砂漠化問題を解決すべく送った魔導具にトラブルがあったため、サルジュとともに再び帝国に赴いたアメリア。親交を深めるカーロイド新皇帝のため尽力する中、思わぬ襲撃に巻き込まれてしまい……。 「アメリアはそのままでいい。すべて、愛しいと思っている」 「こんなにしあわせな結婚ができるなんて、想像もできませんでした」 サルジュとの結婚を目前に、二人にとって過去最大のピンチが!? それでも私、王子殿下と結婚しますーー身分も実績も違う二人が送る、傷心から始まる究極の溺愛ラブロマンス完結巻!