2023年9月11日発売
女子高生のルカは、父親が亡くなり、新興宗教「天国の木」に走った母親に養育放棄されている宗教2世だ。マコトや自身も宗教2世だった子ども食堂の主催者・アズはルカに親身に接するが、彼女が教祖の目に留まり、花嫁候補に選ばれてしまう。さらに、教団には教祖直属で荒事を請け負う部署があり、マコトたちに悪質な嫌がらせを仕掛けてくる。マコトとタカシは、Gボーイズを動員し、ルカを救い教団をたたく計画を練るが……。 表題作のほか、投機目的で高騰するビンテージ・ウイスキーを狙うバイヤー、過激な推し活をする〈私生(サセン)〉、闇バイトの連続強盗団が登場。難破船さながらの日本で起きている事件を鮮やかに切り取る全4編。 大塚ウヰスキーバブル 〈私生〉流出 フェイスタトゥーの男 神の呪われた子
夢の諦め方は、誰も教えてくれない 「雇止め」という冷たい現実を前に、研究を愛するポスドクが下した決断とはーー。 青春小説家が描く、青春の終(しま)い方。 社会に横たわる痛切な苦みを描く、著者新境地。 瀬川朝彦、35歳。無給のポスト・ドクターである。学生時代に魅了された古事記の研究に青春を賭してきたが、教授職など夢のまた夢。契約期間の限られた講師として大学間を渡り歩く不安定な毎日だ。古事記への愛は変わらないが、今や講師の座すら危うく、研究を続けるべきかの煩悶が続いている。 そんな折、ゼミ時代の先輩が大学の貴重な資料を持ったまま行方不明になってしまうという事件が。45歳の高齢ポスドク”となっていた先輩は、講師の職も失い、なかばホームレス状態だったという。先輩は資料を「盗んだ」のか? 自らの意志で「失踪」したのか? そして、朝彦の下した将来への決断は?
東京・根津。言問通りの近くに建つ古い洋館に住む三原伽羅は、詩人で小説家で画家、女優だったこともある多才な女性。 昭和・平成・令和と、自分に正直に生きた彼女の人生は、この経歴からもわかるとおり、波瀾万丈。 そんな彼女に、息子の結婚相手の義理の娘・まひろという孫が出来た。 建築家志望の柊也、新進芸術家のタロウ、建築会社勤務の男性、バーを営む祐子という、個性的な面々が下宿している家での共同生活。 その暮らしに、様々な事件と変化が……。 ドラマ化もされた「東京バンドワゴン」や「花咲小路」などの人気シリーズをもつ著者が描く、新しい家族小説
てんでんこな言葉遊び、饒舌きわまる文字もじり、けれど真剣この上なく、無限の繰り言が日本語の原郷を、東アジアの無意識をあぶり出す。ジョイスと柳田、モンテーニュと易経が哀野のユートピアに出会い、死者の言葉を結んでは開き、継いでは重ね、天地のコトワリをめぐらせる。日本語の幽霊的宿命がエコーする室井文学の未完の遺作、易占トリックで最高に文学的な寓話、空前絶後な試み(エセー)の物語。 一の巻 《甲子》むちゃくちゃティーパーティー 《乙丑》夜明けの晩に 《丙寅》上下を脱ぐ 《丁卯》キンセンにふれる 《戊辰》蝕言 《己巳》ある蜥蜴の探究 《庚午》断片プロレタリアート 《辛未》うしろを強くするということ 《壬申》三寸オペラ 《癸酉》一巻の終り 《甲戌》二の舞 《乙亥》衣衣 二の巻 《丙子》おらおらでてんでんこにいぐも 《丁丑》若菜 《戊寅》手習い 《己卯》野分 《庚辰》追風用意 《辛巳》総角 《壬午》三寸 《癸未》夕顔 《甲申》ゴドーとバッコ 《乙酉》千不当万不当 《丙戌》ムカゴランド 《丁亥》アイノカゼ 三の巻 《戊子》後人追和 《己丑》復水、盆に返る 《庚寅》[思わずうつってしまう……] 《辛卯》口裏合わせ 《壬辰》幻 《癸巳》雲隠れ 《甲午》ヤドリギ 《乙未》橋姫 《丙申》苦手 《丁酉》ニガデ 《戊戌》ウタカタ 《己亥》心ゆくもの 後記 編集協力 川口好美 装丁 高林昭太
急死した生物学者リッジリー教授の脳が雌の黒猫へ移植された! 生前の自説を証明するかのように教授は人間時代の記憶を持った黒猫として蘇るが、この稀有な実験によって次々と珍騒動が持ち上がる……。A・B・コックス一流のドタバタ喜劇、ここに開幕! 黒猫になった教授 訳者あとがき 解説 真田啓介
ファラデー一族を次々と血祭りに上げる姿なき殺人鬼の正体は何者か? 誰もが驚く意外な真犯人を描き出した〈アルバート・キャンピオン〉シリーズ長編第四作、待望の完訳! ファラデー家の殺人 訳者あとがき
拙僧は、時の権力者に対敵して生きてきた。 織田殿とは石山の地を巡り争い、顕如様に破門に処せられた。豊臣殿からは隠退に追い込まれた。 弟の准如殿は、江戸の徳川殿に警戒をしておる。拙僧は、ただ真宗の『御法』を守らんがために、動いておるだけじゃ。(本文より)
戦乱の時代、臨済禅の教えから離れ儒者として生きる道を選択した惺窩とその弟子竹田城主赤松広道や高瀬川を開削した角倉親子、そして門下生四天王の林羅山・那波活所・堀杏庵・松永尺五らの人物像を描き出す。