2024年11月26日発売
プライベートが充実してくると、仕事への影響も、周りの目も少しずつ変わってくる。 ある日、事務用品の販売会社で働く日和は、鳥取で行われる見本市にアシスタントで行ってほしいと頼まれた。 翌日そのまま鳥取に残れることになったが、仕事のプレッシャーから、旅の計画はほぼゼロでーー。 ひとり旅を始めて5年。初めて一人で行った熱海で、ひとり旅の魅力に取りつかれ、どんどんと行動範囲を広げていった。 パワースポットを巡り、土地のおいしいものに舌鼓をうち、旅を重ねるたびに自信がついて、心が大きく成長していくのだった。 日和は、企画切符で福島を訪れたり、遠距離恋愛中の蓮斗に会う前にひとりで長崎・佐賀を満喫したり、 まだ出会えていない絶景とご当地グルメを求めて旅に出る! 今回の旅先は福島、佐賀、長崎、鳥取! 第一話 福島 --スワンシュークリームと円盤餃子 第二話 佐賀 --絶品ゲソ天と温泉湯どうふ 第三話 長崎 --垂涎のレモンステーキ 第四話 鳥取 --モサエビと活イカ姿造り
古今東西の書物が集う墓場。 明治の終わり、消えゆくものたちの声が織りなす不滅の物語。 花も盛りの明治40年ーー高遠彬の紹介で、ひとりの男が書舗「弔堂」を訪れていた。 甲野昇。この名前に憶えがあるものはあるまい。故郷で居場所をなくし、なくしたまま逃げるように東京に出て、印刷造本改良会という会社で漫然と字を書いている。そんな青年である。 出版をめぐる事情は、この数十年で劇的に変わった。鉄道の発展により車内で読書が可能になり、黙読の習慣が生まれた。黙読の定着は読書の愉悦を深くし、読書人口を増やすことに貢献することとなる。本は商材となり、さらに読みやすくどんな文章にもなれる文字を必要とした。どのようにも活きられる文字ーー活字の誕生である。 そんな活字の種字を作らんと生きる、取り立てて個性もない名もなき男の物語。 夏目漱石、徳富蘇峰、金田一京助、牧野富太郎、そして過去シリーズの主人公も行きかうファン歓喜の最終巻。 残念ですがご所望のご本をお売りすることは出来ませんーー。 【目次】 探書拾玖 活字 探書廿 複製 探書廿壱 蒐集 探書廿弐 永世 探書廿参 黎明 探書廿肆 誕生 【著者略歴】 京極夏彦 きょうごく・なつひこ 1963年生まれ。北海道小樽市出身。 日本推理作家協会 第15代代表理事。世界妖怪協会・お化け友の会 代表代行。 1994年『姑獲鳥の夏』で衝撃的なデビューを飾る。1996年『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞長編部門、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2000年 第8回桑沢賞、2003年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年 『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞、2016年 遠野文化賞、2019年 埼玉文化賞、2022年 『遠巷説百物語』で第56回吉川英治文学賞を受賞。
竹千代は今に天下を掌中に入れおるぞーー。 室町幕府の権威が低下し、各地で戦乱が巻き起こっていた激動の時代。 松平家が城を構える三河、周辺国である尾張、遠江、美濃、駿河、信濃らが絡む東海地方の覇権争いは熾烈を極めていた。 そんな争いのなかで、織田家ついで今川家の質物として囚われていた松平家の竹千代ーー後の徳川家康。 数奇な運命を辿った幼少期から天下人へ。 直木賞候補『まいまいつぶろ』の著者が、天下統一を果たした男を鮮やかに浮かび上がらせる十の物語。 【著者略歴】 村木嵐(むらき・らん) 1967年、京都府生まれ。京都大学法学部卒業。会社勤務を経て、95年より司馬遼太郎家の家事手伝いとなり、後に司馬夫人である福田みどり氏の個人秘書を務める。2010年『マルガリータ』で第17回松本清張賞受賞、23年『まいまいつぶろ』で第12回日本歴史時代作家協会賞作品賞、第13回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞し、第170回直木賞候補作品となった。他の著書に『阿茶』『まいまいつぶろ 御庭番耳目抄』『またうど』など。
成都(せいと)随一の高級旅館、張家楼(ちょうかろう)。 主人は成都屈指の豪商、張家の末息子・エン(※)圭(えんけい)である。 すこぶる病弱なエン圭は、23歳になる今まで幾度となく生死の境をさまよった。 風が吹いては寝込み、雨が降っては寝込む。とにかく体が弱いのである。 ある日、久しぶりに体調がよく市をそぞろ歩いていると、 売卜者(占い師)のような男から突然声をかけられる。 いわく、エン圭は幽鬼、妖魅のたぐいを引き寄せる体質で、そのために不調が出るのだと。 半信半疑のエン圭だが、彼にお祓いをしてもらうと、確かに調子がいい。 それを知ったエン圭の父親は、どういうわけか、売卜者の娘を嫁にもらえと言いだした! 戸惑うエン圭をよそに結婚話は進み、いよいよ娘はやってきた。 ーーそう、色とりどりに輝く雲に乗り、空の上から。 天女とみまがう美しい少女はエン圭に歩みよると、 「人間の花婿なんて今時、流行らないわ」と言い放つ。 どうやら彼女は「人」ではないらしい……。 果たしてこの夫婦、一体どうなる!? ※王へんに宛
プロレスに「最強」を復権させる!--かましてなんぼですよ、この世界は 日経小説大賞『散り花』に続く、美しく切ないプロレス讃歌第2章 どんな遺恨も因縁も、リングの上で白黒つける。そうでなければ夢がない。一度リングで“死んだ”男の死闘が、光を失いかけたレスラーたちの心に火をつけたーー 札幌での立花と一ノ瀬の試合。週刊リングの寺尾は、一ノ瀬が立花の狂気を引き出したと書いたが、三島の印象は違った。一ノ瀬は立花の世界に引きずり込まれたのだ。この試合で終わってもいいと思わせる快感にも似た昂ぶり。甲斐の世界が対戦相手だけでなく観客をも手玉に取り、会場全体を支配するものなら、立花は二人だけの世界にしてしまう。一ノ瀬はそれに引きずり込まれ、呑みこまれた。立花はなぜジャパンに戻ったのか。総合格闘技への出陣は意外ではなかった。もともとそのスキルはあった。しかし、立花はプロレスに復帰した。(本文より) 悪役 首抜き ざらつく キャッチ・アズ・キャッチ・キャン
結婚記念日に夫から贈られた植木は、「贈り主様にそっくりな『花』」をつける不思議な木ー「未の木」。少年は、言葉の力で世界を紡ぐことができたー「ジュヴナイル」。四十年前、現政権が発足した日に大災害が生じたあの地へと、私は帰ってきた、なぜ?-「流下の日」。山腹に生じた緋色の世界に迷いこんだ末にー「緋愁」。“うみの指”に襲われる世界と、私の世界ー「鎭子」。“しお”に覆われゆく風景、“しお”に病みゆく身体、“しお”と共存する人々、ささやかな日常から織りなされる歴史ー「鹽津城」。日本SF大賞2冠作家・飛浩隆、8年ぶり待望の作品集。
あなたはどれくらい「幸福」ですか? 庭坂探偵事務所に勤める奈良輪逸徒は、毎朝出会う人形のような美しい娘に心を奪われていた。ある時、資産家の社長から、後継者を決めるための「幸福値ゲーム」に参加するよう依頼を受ける。 組む相手として紹介された後継者の一人、社長秘書北須賀萌波は、その娘だった。 ゲームは、選んだ不幸な人をどれだけ幸福にできるかを競う。 開始早々に関係者に届いた脅迫状、もう一人の後継者凜が語る萌波の裏の顔……。 ゲームを進めるうちに萌波の過去を知った逸徒は、彼女に深く惹かれていく。 「幸福」の価値、人を愛することの意味を叙情豊かに描く、恋愛ミステリー。 風変わりな依頼人 萌波の悲しい過去 魔女ドゥマン 浩紀とこうさん 美織と琴里 幸福値ゲームのゴングが鳴った! 三人目の萌波 悪魔の調味料 運命の結末 フランス人形は静かに笑う
●辻村深月さん推薦!● “大人になるってどういうことか。ハルちゃん、ミチオくん。かけがえのない、ふたりの大切な時間を読ませてくれてありがとう。” ーーーーーー 海を越え、手紙でつながるふたりの夢と挑戦のゆくえ。 ことばはやさしい嘘をつき、絵は真実を語る……かつてない青春小説! ーーーーーー おさななじみのハルカとミチオ。 10歳でミチオがアメリカへ引っ越し、ふたりの文通がはじまった。 日米の学校や文化の違い、部活やバンド活動のこと、将来への迷い、友人や家族との問題。 手紙だからこそ伝えられるさまざまな思いを共有しながら、やがてふたりはあるプロジェクトに挑戦することに……。 イラストと文章のスリリングな相互作用。大人気イラストレーターが細部までこだわりぬいた、やさしくて力強い“唯一無二”の物語。 【著者プロフィール】 北澤平祐●きたざわ・へいすけ イラストレーター。東京都在住。アメリカに 16 年間暮らし、帰国後、イラストレーターとしての活動を開始。書籍装画、広告、商品パッケージなど国内外の幅広い分野でイラストを手がける。著書に『ぼくとねこのすれちがい日記』『ルッコラのちいさなさがしものやさん』『ひげがながすぎるねこ』などがある。
“ポスト・ギャディス”と目され、リチャード・パワーズが正体とも噂された、トマス・ピンチョン以上に謎めく、ポスト・ポストモダン作家エヴァン・ダーラーー“読まれざる傑作”として話題となった、ピリオドなしの、無数にして無名の語りで綴られる大長編の奇書がついに本邦初訳で登場!
信長と一向一揆で戦った本願寺は十二代教如の世に分派する それは「門主妻女」がゆえだ 関白秀吉が教如に掌を返し母如春尼も教如を見限った 「妻女」とは 歴史の地下水脈を史料で穿つ
人は生まれる前、どこから来て、 生まれてからどこまで行って、 死んだらどこへ帰っていくのだろう。 その細長いルートを、私は誰と一緒に歩くだろう。 世代をこえて胸に響くファンタジーノベルの傑作、誕生! ーー 鳥取で清掃員として働くのり子は、ある日、仕事先の精神病棟で出会った患者から、娘を連れてきてほしいと幼い少女が写る一枚の写真を手渡される。 ひとり姫路へと向かったのり子は、写真を頼りにその少女=ハルと出会う。 ハルは不意に出会ったのり子に「トンボ」とあだ名をつけ、そこからトンボとハル、ふたりの道行がはじまる。 姫路から鳥取へ。 国道29号線という一本の道を辿りながら、ふたりが出会う不思議なすべて。 凸凹なふたりの冒険が行きついた先に見える景色は──。 ーー 「詩」と「映画」から生まれた、心に小さなあかりを灯す物語。 ■ □ ■ 映画『ルート29』 ■ □ ■ 2024年11月8日 全国公開 出演 綾瀬はるか 大沢一菜 伊佐山ひろ子 高良健吾 原田琥之佑 大西力 松浦伸也 河井青葉 渡辺美佐子/市川実日子 監督・脚本 森井勇佑(『こちらあみ子』) 主題歌・音楽 Bialystocks「Mirror」(IRORI Records / PONY CANYON) 原作 中尾太一『ルート29、解放』(書肆子午線)