2024年11月7日発売
うだつの上がらない「作家」である私の人生の折々に登場してくる、死神。中学二年生で初めて出会ったあいつのことだけは、これまで作品には書けなかったのだが……。芥川賞作家が描く「死」と「家族」。ユーモラスにして、痛烈な新境地。
「自分で決めたーー選択したことだから。 すべては、僕のふるさとである魔王領のためだから」 圧倒的勢力で魔王城に押し寄せる〈人族大同盟機構軍〉。魔族と人族の最終決戦が迫るなか、魔王領総帥・小野寺剛士17歳の決断とは!? 長篇ミリタリー・ファンタジー第三弾。
クリスマス間近のある夜、湖畔の町で若い司書のジェニファーが殺された。容疑者は交際相手のトラヴィスで、犯行を認めていた。彼をよく知る地元弁護士のヴィクトリアは、犯行を信じられず、友人の大学教授キャメロンに無実を証明してほしいと調査を依頼する。
仕事はぼちぼちで、海外旅行なんて行けないけれど、ルームメイトと乾杯する小さなテラスはある──『フィフティ・ピープル』のチョン・セランが、明るい未来が見えない世界だからこそ、ささやかな希望を失わずに生きる人々をおかしみをもって描く、掌篇小説集
地下都市に暮らすテリンは、もはや人が住めなくなった地上へ行くことを切望していた。師匠のイゼフが地上の素晴らしい夕焼けの美しさや夜空を横切る星の輝きを教えたから。だがテリンは地上へ行ける"派遣者"になるための試験の直前、不思議な幻聴を体験する
バイク事故で夫を亡くした作家は、20年後、思い出の家を手放す今、再び問いに向き合う。もしも、あのとき別の選択をしていたら事故は避けられたのか? 悲劇の日までの二十数年にわたる結婚生活の「あのとき」の数々を見つめ直す。ゴンクール賞受賞の感動作
「お前のこれからの人生をかけて、私の復讐を成功させなさい!」 令嬢サスペンス・ファンタジーの決定版、装いも新たに再始動! <あらすじ> 地味で平凡な子爵令嬢のコニーは、意地悪な令嬢の嫌がらせによる窮地から、突然現れた美女の亡霊によって救われる。亡霊の名はスカーレット・カスティエル。彼女は十年前に処刑された公爵令嬢で、希代の悪女として有名な人物だった! 助けてもらった代償に、スカーレットを処刑台に送り込んだ犯人を捜す羽目になるコニーだが、潜入捜査や偽装婚約、果ては大貴族との対決までもやらかすうち、予想外に巨大な陰謀が見え始めーー!? 最高の悪女と貴族社会の闇に挑む、令嬢サスペンス・ファンタジーの決定版、装いも新たに再始動! 新規書き下ろし短編も収録!
「いい、スカーレット。私はね、人生をかけてスカーレットの復讐を成功させないといけないんだからね!」 <あらすじ> 希代の悪女スカーレットの亡霊と共に、彼女が処刑された真相を追うコニー。その周囲にはいつしか怪しい影が蠢き始め、ついには親友ケイトの誘拐にまで発展してしまう! 少しずつ明らかになっていく過去の真相。それは、スカーレットの望みとは異なる輪郭をとり始めるが、コニーは相棒を鼓舞し、さらなる真相の究明に邁進する! 果たしてスカーレットを処刑台に送り込んだのは誰なのか? 令嬢サスペンス・ファンタジー第二弾! 新規書き下ろし短編も収録!
「ご自身の復讐が果たされたと感じたら、あなたは神の御許に戻られる」 <あらすじ> 希代の悪女スカーレットの亡霊と地味令嬢コニーのコンビは、ついに十年前の処刑の真相へと辿りついた。あとは関係者に復讐していくだけと息巻くスカーレットだったが、過去から現在まで暗躍を続ける勢力は、コニーたちを排除するために大きく動き出す。八方ふさがりの窮地の中、コニーは捨て身の賭けに出るがーー!? 「運命の三女神(モイライ)」の紡いだ糸が結び付けた二人の少女の因縁。その運命の果てに待ち受ける結末とは!? 令嬢サスペンス・ファンタジー、感動の第三弾!! 新規書き下ろし短編も収録!
「世界を手に入れたいのであれば、コーネリアの星冠を探しなさい」 <あらすじ> スカーレットの母、アリエノールの故郷であるエルソール島を訪問することになったコニーたち。留学中のユリシーズに会いに行くルチアの付き添いという形ではあるものの、ランドルフとの旅行ということでコニーは少し舞い上がっていた。 一方で文句は言いつつこちらも乗り気なスカーレットによると、エルソール島はファリス帝国最後の皇女コーネリア・ファリスの星冠が眠る地とのことでーー!? 見知らぬ地での新たな出会いと騒動、そして秘された謎。新展開の令嬢サスペンス・ファンタジー、第四弾!! 新規書き下ろし短編も収録!
『汝、誠実たれーー』 <あらすじ> 一連の事件後に王家の威信がゆらぎ、王国内で聖女信仰の過激派が勢力を伸ばす中、コニーはミラー男爵と名乗る政商から、過激派をけん制するため「不誠実な」方法での協力を要請される。怒れるスカーレットが撃退するも、やがて『初代パーシヴァル・グレイルが聖女を殺したのだ』という噂が世間に流れ始め、コニーは周囲から非難を浴びることに! そんな中再び現れたミラー男爵は、事態を鎮静化させるため、コニー自身が聖女になることを提案しはじめ!? 過去と現在が交錯する令嬢サスペンス・ファンタジー、待望の完全書き下ろしで登場!!
魔王を倒す勇者の旅の “お約束”の裏側。 『旅半ばで魔王の側近に襲われ、新しく選ばれた勇者は命を落とす』 勇者を助ける重要任務を神殿総本山から極秘裏に託された神官リュイス。その危険な任務の護衛を依頼するため冒険者の宿を訪れると、剣帝さながらの強さで暴漢を圧倒する女剣士アレニエと出会った。 「--私と一緒に……勇者さまを助けてください!」「……はい?」 そうして始まったたった、二人だけの勇者を救うための旅。旅を通じて少しずつその距離を縮めていく二人だが、互いに人には言えない秘密を抱えており……。 人々の希望の象徴として、表舞台を歩む勇者の旅路。その陰に、一組の剣士と神官の姿が見え隠れしていたことは、あまり知られていない。 これは勇者を裏側で支え、伝説の陰で活躍したもう一組の英雄ーー彼女たちの軌跡を巡る偉大で、たまに尊い物語。
第2回ドリコムメディア大賞≪銀賞≫ 虐げられて自信も何もかもなくした令嬢が、ワケありイケメン公爵様のもとでやがて誰よりも幸せになる、王道シンデレラストーリー。 <あらすじ> 父亡き後、義母達に虐げられていたクラウディア。領地の仕事も取り上げられ、自分が聡明と呼ばれていたことも忘れた彼女はある日、濡れ衣で平民に落とされ、南の果てのグラーツ領へ追放されてしまう。自分が幸せになることはない…そう思っていたのに、用意されていたのは温かい食事に綺麗な服、領主ユリウスの不器用ながら優しい言葉だった。 「そなたは幸せになりたいと願わなければならないんだ」 昔の姿を取り戻しつつもトラウマに縛り付けられた彼女に、ユリウスはクラウディアの聡明さでもって濡れ衣を晴らそうと持ちかけるがーー これは傷ついた少女が、公爵のもとで愛と居場所を再び取り戻す物語。
リチャード・オースティン・フリーマンの『ヘレン・ヴァードンの告白』は、20世紀初めに多数登場したシャーロック・ホームズのライバルたちの中でも最も人気を博した名探偵ソーンダイク博士が登場する長編作品です。若く美しいヘレン・ヴァードンは、ある日、父親の書斎のドア越しに、父とルイス・オトウェイとの激しい口論を耳にします。それは、後に彼女の運命を大きく変えることになる事件へと発展していきます。そんな中、オトウェイが死亡してしまうのです、それも自殺とも他殺とも断定できない状況で。あらゆる状況はヘレンに不利に働いていきます。真相を究明すべく、法医学者ソーンダイク博士の科学的捜査のメスが入ります。オトウェイ死亡の真相が究明されていく物語終盤の検視官とソーンダイク博士との激しい質疑応答は、科学的捜査の実証を重んじるフリーマンの面目躍如。本格ミステリの醍醐味を堪能できる傑作、ついに初邦訳です! ヘレン・ヴァードンの告白/訳者あとがき
自責の念に苛まれる復讐者、エドモン・ダンテス。許嫁を攫った男の極悪非道の蛮行を暴き、ついに自らの正体を明かした彼は、残る二人の復讐へと取りかかる。だが、綿密な計画が果たされようとするとき、彼の足元に懐疑と悔恨の深淵が口を開ける……。 自由も未来も愛も希望も奪われたのち、ふたたび生を取り戻す日は来るか。かつて船乗りだった男の復讐の旅の果て。 【目次】 93 ヴァランティーヌ 94 告白 95 父と娘 96 婚姻契約書 97 ベルギー街道 98 「鐘と壜」のホテル 99 法律 100 幽霊 101 ロクスタ 102 ヴァランティーヌ 103 マクシミリアン 104 ダングラールの署名 105 ペール・ラシェーズの墓地 106 分配 107 ライオンの堀 108 判事 109 重罪裁判 110 起訴状 111 贖罪 112 出発 113 過去 114 ペッピーノ 115 ルイジ・ヴァンパの献立 116 赦し 117 十月五日 訳注 訳者解説 93 ヴァランティーヌ 94 告白 95 父と娘 96 婚姻契約書 97 ベルギー街道 98 「鐘と壜」のホテル 99 法律 100 幽霊 101 ロクスタ 102 ヴァランティーヌ 103 マクシミリアン 104 ダングラールの署名 105 ペール・ラシェーズの墓地 106 分配 107 ライオンの堀 108 判事 109 重罪裁判 110 起訴状 111 贖罪 112 出発 113 過去 114 ペッピーノ 115 ルイジ・ヴァンパの献立 116 赦し 117 十月五日 訳注 訳者解説
物語は誰かの手によって語り直される、慰めのために、励ましのために、そして真実のために…… 数奇な運命を辿り作家の手元に届いた物語ーー忘却された真実を捉える写真、愛憎極まった読者からの手紙、匿名の暴力に晒される失踪劇、理由なき殺人を生き延びた男の撮る映画、伝説的ヴォーカリストの最後の録音、自由を求めて生きた女性の評伝ーーこぼれ落ちた記憶に息吹をあたえ、物語を歌いあげる9作品。 川岸の女 分身 蛙 悪い知らせ ぼくたち 空港 少年たち 最後のコリード 歌,燃えあがる炎のために 著者による注記 訳者あとがき
あるベンチャー企業に就職した「M」。そこで感じたのは得体の知れない気味の悪さだった。まるでMが入社する前からMの事を知っているような、その上でこんな奴は歓迎できないとでも思っているようなーー。 くせの強い社長や同僚たちとの日々。だんだんと手ごたえを感じ充実する一方、気味の悪い違和感も強くなっていく。
『体の贈り物』『私たちがやったこと』『若かった日々』などで知られるアメリカの作家、レベッカ・ブラウンの最新物語集『天国ではなく、どこかよそで』。 「三匹の子ぶた」を踏まえた「豚たち」、「赤ずきんちゃん」を踏まえた「おばあさまの家に」をはじめ、ピノキオ、ヘンゼルとグレーテルなど、さまざまな伝統的物語やキャラクターを、レベッカ流に夢見なおした物語が並びます。 語り直しの切り口は作品によってさまざまですが、単一のメッセージに還元できない、怒りと希望をシンプルな文章で発信しつづける作家の神髄が伝わってくる、豊かな「サイクル」が出来上がっています。 訳者の柴田元幸が「この人の文章は言葉というよりほとんど呪文のようなリズムを持っている」と評するレベッカ・ブラウン独自の文体によって、 読者を暗闇から光へ、厳しさから愛へ、私たちが今いる場所から私たちが行くべき場所へと導きます。 “ここにあるのは「めでたし、めでたし」の死角を辛辣なユーモアで照らしてみせる物語。 そうやってわたしたちが見えないふり、聞こえないふり、わからないふりをしてきた暴力の轍を、怒りでもって洗い出し、祈りをこめて語り直すのだ。” 倉本さおり “そこではみんな、ほんものの肉体を得る。 痛みに苛まれ、声は揺らぎ、歪み、叫ぶ。 闇の中、寓話は変わり果てた姿になって 赦しを求め、こちらを見つめる。 どうしてこんなに、愛おしいのだろう。” 大崎清夏 豚たち The Pigs 狼と叫んだ女の子 The Girl Who Cried Wolf 誰かほかに Someone Else 穴 The Hole デビーとアンジ Debbie and Anji 大皿に載ったあなたの首 Your Head on a Platter ヘンゼルとグレーテル Hansel and Gretel セメントの二つのバージョン Two Versions of Cement 天国ではなく、どこかよそで Not Heaven, Somewhere Else 双子 The Twins ご婦人と犬 The Lady and The Dog 人魚 The Mermaid ハンプティ・ダンプティ Humpty Dumpty わたしをここにとどめているもの What Keeps Me Here 兄弟たち The Brothers ゼペット Geppetto おばあさまの家に To Grandmother’s House 謝辞 訳者あとがき