2024年12月17日発売
レンたちが休暇を過ごすのは、“水の都エウペハイム”。 蒼い海を望む港と美しい白磁の町並み、 この地で生まれ育ったフィオナが彼らを迎えた。 一方、夏の騒動からリシアのために調べ事をつづけていたレンは、ラディウスの紹介でレオメル有数の重要な機関に足を踏み入れる。 そこである貴重な品を受け取ると、フィオナたちと共に“水に沈んだ街”を訪れることになりーー。 「レン、正直に答えて」 「レン君……やっぱり何かしていたんですか?」 アシュトン家の秘密と、レンだけが解けた古き封印。 白銀と漆黒が謳う地へ、覚醒を告げる剛剣の音色が響き渡る。
エレアの死を知り暴走した“世界詞”討伐作戦が開始。キア、クゼ、メステルエクシル、ツー、ウハク。高速で走行する列車の上、奇しくも五名の運命が交叉する……。 また、上覧試合を成立させ、女王暗殺を目論むクゼ。対戦相手は、即死させてなお蘇生するメステルエクシル。相性最悪の第十一試合の果てに待つものはーー。 生命停止の理・静かに歌うナスティークvs際限なき命の論理・窮知の箱のメステルエクシル。
とあるゲームのやられ役にして最推しキャラ・ヴァイスに転生した、悪役好きの俺。 本来は敵となる妹・フィリスとの関係も修復し、またひとつ破滅フラグを回避した俺は、先の戦争で勝ち取った領地の視察に訪れていた。 そこに現れたのは、新たなる十二使徒ーー「教主」。こいつはゲーム開始時点で死んでいるキャラだったから、俺も詳しい情報を持ってないヤバい奴だ。一体どんな恐ろしい手で攻めてくるのかーーと思ったら、その手段はまさかのハニートラップ!? お、俺にそんな手が通じるはず、ない……よね? (こうかは ばつぐんだ!) さらには王都で貴族の連続襲撃事件が発生! その犯人はこのゲーム本来の主人公とされる人物でーー!?
化粧品メーカーの研究開発部に所属する佐倉陽葵は、入社2年目にして会社を辞めたくなっていた。 コスメ作りは好き。だけど現実は思い描いていたキラキラした日々とはちょっと違う。 そんな悩みを抱えながら、歩いていたら……突如異世界に転移して!? クールな魔女・ティナに拾われて、居候することになった陽葵は、転移早々ある事実に気づく。 「まさかこの世界って、コスメの概念がない?」 この世界には、スキンケア用品もメイク用品も存在していなかった。 お風呂上がりに保湿すらできないことに絶望していた陽葵だったが、妙案を思いつく。 「そうだよ! ないなら作ればいいんだよ!」 こうして陽葵は、もとの世界で培った化粧品作りの知識を駆使して、異世界でコスメ工房を開くことに! クールな魔女さんと一緒に、コスメで異世界の女の子を幸せにしていきます!
世界の終わりを目の当たりにした語り手は、廃墟建築家の設計した葉巻形の巨大地下シェルターに誘いこまれる。そこで彼が夢みるのは、カストラートの七人の姪が代わる代わる語る不思議な物語。もしかしたらこちらが現実で、葉巻シェルターのほうが夢ではあるまいか。『サラゴサ手稿』風の語りの入れ子構造を持ちながら、次々繰りだされる挿話の渦は、その枠さえなしくずしに解消してしまう。音楽への愛にあふれ、オーストリア・バロックの粋をこらした魔術的遠近法。
改札口を通り、長い階段を上がる。階段の外に緩やかなスロープがあるのを知っている人は少ないだろう。そこにはかつてレモンの木が植えられていたが、今はもうない。上まで続いているので、以前、資材などを搬送するのに使用されたのかもしれない。階段の途中から、瓦屋根が見え、視界が少しずつ広がる。深日の町並みが一望でき、その向こうに大阪湾が見えると、プラットホームだ。今日の淡路島はうっすら霞がかかり、いつもより遠くにあるように見える。海は濃い藍色だ。南海電鉄で海と淡路島がはっきり見える駅はここだけであろう。プラットホームを歩いてベンチに座る。目の前に見える宝樹寺のソメイヨシノは五分咲き。線路をはさんだ向かいには、雑草が茂るプラットホームがある。(中略)電車は春の陽を浴びた緑のトンネルをくぐり抜ける。樹々の葉っぱがきらきら光り、右に流れて行く。その向こうに見える山々には山桜の薄いピンクが灯っている。(本文より)全長2.6キロ、緑あふれるのどかな風景のなか、2両の電車が4駅をつなぐ多奈川線。その沿線にある中学校を舞台に、大人になりかけた少年少女とそれを見守る教師たちによって繰り広げられるさまざまなドラマ。 多奈川線/深日町駅/謎のトンネル/ガイア塾/薫風/偶然と出会い/深日港駅とフォンターナ/夢の中でも人は成長する/プレゼン大会への挑戦/祭り/窓に映るきみ/和歌山のU塾/制御できないパワー/岬まちづくりコンテスト/軍需工場で始まった授業/衝撃/独演会/負の体験/バケツリレー/月明かりの教室/勇敢な犬/お燈まつり/古代豪族紀氏の末裔/斑鳩と平群/五世紀の市/大クスノキの樹上で/淡輪から木ノ本へ/金の勾玉/特別な一日/多奈川駅
不意に訪ねた姉のアパートは、部屋の窓に目張りがされリビングの真ん中には七輪が置かれていた。姉はしどろもどろで言い繕うが、それは明らかに練炭自殺の準備であり、敦はそれを意図せず未然に防いだのだ。よく見ると自慢の美貌はくすみ自信に満ち溢れた生気は消え失せ、敦の知らない姉がそこにいた。姉は会社の上司からパワハラを受け、追い詰められていたのだった。--「第三回ステキブンゲイ大賞」審査員特別賞受賞作である表題作に加え、まるで仕方なく生きているかのように淡々と日常を過ごしていた男の前に、突然かつての想い人の娘が現れたことで起きた顛末を描いた書き下ろし作「どんどんキミに似ていく」を収録したデビュー作品集。 「姉が壊れた。」 「どんどんキミに似ていく」
「貴方は私の味方? それとも…」 皇位継承権第一位でありながら、山奥へ追放された第一皇女・紫苑。しかし、十年後、女帝となっていた妹の美美が不審な死を遂げる。急遽呼び戻され、女帝となった紫苑は、後宮にいる花婿たちと夜伽をし跡継ぎを産むよう命じられるが、跡継ぎを産めば用無しとなり殺されてしまうーー 後宮には、いずれもくせ者の四人の花婿の他、地下牢に軟禁されている謎の男がいた。果たして誰を選べば生き残れるのか? 驚きの結末が待っている激動の中華後宮物語!