2024年2月9日発売
教師のレベッカはイタリアでいちばんの独身富豪エンツォに出会った日から熱烈に迫られ、薔薇色の日々を送っていた。しかしフィレンツェの大聖堂で結婚式をあげる直前、エンツォの本当の目的が彼女の祖父の遺産にあったのを知る。いいえ、あのやさしくて完璧な紳士の彼が私をだますわけがない。私はこの日のためにイギリスの家を引き払い、仕事も辞めたのだ。レベッカはウエディングドレス姿で泣きながら本当なのかときいた。だが、彼は「君への気持ちに嘘はなかった」と繰り返すばかり。しかもすべてを知られたあとも、レベッカを手放そうとはせず…。
理学療法士のダイアナは、謎めいた依頼を受けた。イギリスの古城に隠遁する億万長者のもとで、住み込みの仕事があるという。雇用期間は無期限。リハビリの報酬は破格だが、守秘義務は絶対厳守ー気難しいご老人なのかしら?訝しみながらも彼女は受諾する。薄暗い城内に足を踏み入れると、冷たい声が響いた。「きみで4人目。2人目は2日でくびにした」氷河のような目の若き城主エドワードが、彼女を睨みつけていた。それでもダイアナは心身ともに傷ついた彼に寄り添い続け、やがてそれは熱い恋心へと変わっていく。そしてついにある夜、エドワードの誘惑に抗えず、純潔を捧げてしまうことに…。
大切な書類を忘れるなんて、ボスらしくないわ。ルーカスの忠実な秘書エマは不思議に思いながら、吹雪のなか、ボスが滞在する古城へと車を走らせた。だが、そこにはアルコールに溺れる彼の姿があった。「すぐにここから出ていけ」罵声を浴びて胸騒ぎを覚えた。そういえば、去年の同じ日もボスはオフィスで泥酔して…。これは偶然なの?それとも何か理由があってのこと?エマは放っておけなくなり、彼に付き添うことに決めた。ボスと秘書ーその一線を越えることになるとは夢にも思わず。
生まれたときに母を亡くしたソフィアは祖父母に引き取られ、父は死んだと聞かされて、愛のない家庭で育った。そんななか生きがいとなったのはバレエだったが、不幸にも交通事故に遭い、右脚の負傷で夢をあきらめた。けれど今では美術の道に進み、ギリシア大富豪ルーカス・アリティが名付け親から相続したコレクションの鑑定をするまでになった。黒髪と黒い瞳を持つ長身の彼は人を寄せつけない雰囲気だが魅力的で、同じく幼い頃に両親を亡くした者同士慰め合うように一夜を共に。ところがその後、思ってもみなかった血縁が判明するールーカスの屋敷に眠っていた古い写真から、なんとソフィアの父親が…。
仕事で全国各地を回ることになった広報のローレン。壮行パーティーで、同行者として大富豪マイケルを紹介され、長身で上品な身なりをした彼に一目惚れしてしまう。でも、なぜ初対面の私を値踏みするように見つめてくるのかしら?そんな小さな疑問は、強引に誘われて彼とダンスを踊るうちに消え、情熱に火がついた勢いのままに、気づけば彼のベッドで朝を迎えていた。だが甘い余韻に浸っていられたのも、ほんのつかの間だったーじつは彼はかつてーレンの同僚と結婚していて、彼女が妻をそそのかしたのが離婚原因だと思っているらしいのだ!この出逢いは仕返しの罠?傷ついたローレンはやがて妊娠に気づき…。
『ドルー・モーリス』ドクター・ドルー・モーリスの医院の受付係に採用された天涯孤独のキティ。喘息持ちながら一生懸命働くが、妻を失ってから仕事一筋の気難しいドルーを怒らせてばかり。ところがある日、ドルーが悲しみに耐えかねて慰めを求めるようにキスを迫ってきて…。『御曹子の嘘』ヘイリーは学生時代、運命の人リックと一夜を共にしたが、その晩彼は忽然と姿を消した。4年後、勤め先が大企業に買収され、彼女は新経営者を見て息をのんだーなんと、あの“リック”だったのだ!ああ、どうしよう!彼がまだ知らない、息子の存在を…。『誘惑のローマ』“情熱のないお堅い女”と元夫に嘲られたベサニーは、傷心旅行でローマ一人旅を敢行。現地でハンサムな銀行理事長アンドレと出逢い、急速に惹かれる。だが情熱を分かち合った直後、何も告げずに彼は姿を消した。そのあとで、ベサニーは妊娠に気づくのだったー。『秘密のキス』地味で眼鏡のジェーンは新聞に載った匿名のラブレターと、突然届いた花束に胸が騒いだ。もしやマット?彼は高校時代、彼女への悪戯で退学になったものの今は同僚。意識するジェーンだったが、一方のマットもラブレターの書き手を彼女だと思っていて…。
小児病棟の看護師長で働き者のアニスは、心機一転したくて、ノルウェーの北の果ての島に暮らす弟の誘いに応じることにした。そこで働いていた料理人兼看護師の代わりを務めてほしいというのだ。弟の仕事仲間たちはアニスを大歓迎してくれたが、一緒に働く医師ヤーケ・ファン・ヘルメルトだけは、無愛想でそっけなく、アニスとはろくに言葉を交わそうともしない。初対面のときから彼の瞳は冷たく、声には嘲りのような響きがあった。こめかみに白いものがまざってはいても、整った顔だちはすてきなのに。しかたがないわ。無関心を装うアニスはまだ気づいていなかったーヤーケこそが、彼女が心から夢中になれる男性だということに。
エヴィの恋人の名はシーク・ラシード。いずれ一国を統治し、一族の女性を妻にする定めを負った、見惚れるほど美しいアラブのプリンスだ。ラシードの立場を慮り、エヴィは彼の子を身ごもっていることを打ち明けられずにいたが、とうとう心を決めた。いつものように抱き合い、甘美なひとときを過ごしー妊娠したことを告げると、ラシードは冷たいまなざしで言った。「赤ん坊は僕の子か」そう突き放され、拠り所を失ったエヴィは青ざめた。しかも追い打ちをかけるように、彼の婚約を知らされ…。
エリス・ラースはラース侯爵家の令嬢。特に秀でた事もなく、特別に美しいわけでもなく、侯爵家としての家格もさほど高くない、どこにでもいる平凡な令嬢である。 ……表向きは。 狂犬執事も、双子の侍女と侍従も、魔法省の副長官も、みんなエリスに忠誠を誓っている。一体なぜ? エリス・ラースは何者なのか? これは、平凡(に憧れる)令嬢の、平凡からはかけ離れた日常の物語。
病床に伏せっている父親の断っての願いとあって、侯爵令嬢のエミリアは、カレン辺境伯の長男マティアスとの政略結婚を不本意ながら受け入れることにした。それから二人の結婚式が行われることになったが、夫となるマティアスは国境防衛のため結婚式に出ることができず、エミリアはマティアスの代理人と結婚式を挙げ、夫の領地であるヴァンロージアに赴くことに。望まぬ結婚とはいえ、エミリアは夫の留守を守る女主人、夫に代わって積極的に領地改革を進めたところ、予想外に改革が成功し、充実した日々を過ごしていた。しかし、そんなある日、顔も知らない夫がとうとう帰還してきた…。はたして、二人の関係は…?