2024年4月22日発売
この物語には、二人の「私」と、二つの「真実」がある。 結城真一郎氏絶賛! 読み始めて思った。「王道の辻堂作品だ」と。 読み終えて思った。「まんまと騙された」と。 昼と夜で、一つの身体を共有する茜と咲子。 しかし「昼」が終わりを告げたとき、予想だにしなかった「夜」の真相が明かされるーー。
歴史小説家たちが紡ぐ時代の違う五つの物語が、あるひとつの「怪異」で繋がる。 読後に訪れるこの震えは、恐怖か、驚愕かーー? 異端にして傑作の歴史小説集、ここに誕生。 5つの「畏怖」が、この国の歴史を塗り替える 矢野 隆 有我 --鎌倉時代、壱岐。元寇に抗う男に訪れたある異常。 天野純希 死霊の山 --室町時代、近江比叡山。霊峰に現れた狐憑きの正体は。 西條奈加 土筆の指 --江戸時代初期 中部地方。墓の土饅頭から土筆が生え……。 蝉谷めぐ実 肉当て京伝 --江戸時代後期、江戸市中。山東京伝の妻は、自らを「人魚」だという。 澤田瞳子 ねむり猫 --江戸時代末期、大奥。城内に現れる不可思議な病。
ジャンルの始祖・清張にとって、「社会派推理」とは何だったのか? 『或る「小倉日記」伝』(1955)で芥川賞を受賞し、『点と線』(1958)でブレイク、『小説帝銀事件』(1959)で現実の事件に取り組み、『日本の黒い霧』(1960)でノンフィクションへーーと、松本清張はデビュー以来、瞬く間に新たな領域を開拓し、のちに「社会派推理の祖」と称された。 1950〜60年代の日本を背景に、本格派/社会派、純文学/エンターテインメント、フィクション/ノンフィクション……といった複数のジャンルの枠を超えて成立した「社会派推理」の実像は、清張没後30年を経てなお、いまだ広く知られていない。 本書では、その「社会派推理」をテーマに、初書籍化となる中篇(表題作)はじめ、これまで単著・全集未収録だった貴重な小説・トーク・エッセイを中心にセレクトした。 本人およびその同時代作家たちによる証言を通して、「社会派推理」が求められた原点、そしてその展開の軌跡と可能性の中心をさぐる。 【目次】 [小説] 閉じた海(1973) よごれた虹(1962) 雨(1966) [対談・座談] 私小説と本格小説ーー対談・平野謙(1962) 推理小説の作者と読者ーー座談・高木彬光/水沢周(1962) 作家と批評家ーー対談・権田萬治(1973) [エッセイ・インタビュー] 広津和郎(1968) 石川達三(1985) 白の謀略(1977) 世界が激動しても、人間は変わらないんだよーー生前最後のインタビュー(1992) 解説・藤井淑禎
日本軍は多大な犠牲を払いつつもグアム島を攻略し、米海軍の攻撃先鋒を潰すことに成功した。これを機に、日本政府は英国を通じて講和を打診をするのだが、米国政府からは一顧だにされない。なぜなら、米軍には強力な戦艦や巨大な空母といった新鋭艦が続々と加わりつつあり、次こそは勝利を得られると確信しているのだ。 米軍が戦力を拡大し続けるのであれば、このまま守りに徹していてもいずれ日本軍は押し負けてしまう。であれば自ら決戦を挑み、圧倒的な勝利をもって米国の戦闘意思を挫くしか道はないのかーー。 トラックを根拠地とする米海軍主力を撃滅せよ、との難題を課せられた連合艦隊は乾坤一擲の大作戦を開始した。 「米国を和平交渉の場に引っ張り出すためには、決定的な勝利が必要となる。かの日本海海戦に匹敵するほどの勝利が」 連合艦隊司令長官 山本五十六大将
1700年前、世界の涯のとある国に大きな夢と志を持った皇子がいた。その名はヤマトタケル。若き彼は大王に命じられ、西国征伐の旅に出たー。運命を背負い立ち上がった青年は何を思い、この地を駆け抜けたのか。この国の始まりに思いを馳せる、ロマンあふれる壮大な神話物語。
自殺もしくは自死専門のエリート死神。五つの挿話の主人公に本編の死神が絡み、物語が展開していく。それぞれの挿話の主人公はすべて六十五歳以上の老人で、これまで懸命に生きてきたが、ときには運悪く、あるいは不条理な定めに翻弄され自ら死を望む。そのシグナルを天上の死神がキャッチし、娑婆に降りてきて、苦しみの負担を取り除き、心安らかに天上に導いていく。五つの物語に登場する老人たちの悲喜こもごもの人生の終活に、あるときは積極的に、あるときは少し傍観的に、死神が絡み合うという娯楽作品である。
ダリア文庫で出版した作品の短編や全サ小冊子を収録した作品集。書き下ろしも収録! 「え、なにその、やきもち焼いてるみたいな」 すれ違い、ぶつかり合った二人の行きついた先。『くちびるに蝶の骨 〜バタフライ・ルージュ〜』のその後の穏やかな日常を描いた書き下ろしを収録。その他、『不埒シリーズ』『花ふるシリーズ』『勘弁してくれ』、『バタフライシリーズ』の今では手に入らない小冊子や特典を詰め込んだ作品集。