小説むすび | 2024年4月30日発売

2024年4月30日発売

ある晴れたXデイにある晴れたXデイに

非行の果てに死んだはずの養子に怯え、戸締まりを厳重にする妻。夫との会話から見えてくる真実とは…(「雪解け」)。知らぬ間に手脚に痣や傷が増えていく会社員の女性。親指の付け根を切ってしまっても気づかず、すねを拳骨で打ってもまったく痛みを感じない。自己観察を続ける彼女の生活は、どんどん異様になっていき…(「火中の足」)。広告塔に大きな写真が貼られ、新聞でも連日報道された、行方不明の少年を探すことに取り憑かれた女性は、その少年を見つけたのだが…(「幸せでいっぱい」)。町が消え、家も、学校も、図書館も、なにもかもがなくなる。みんながいなくなり、あとは地を這う人間の残骸がいるだけ。-世界が滅亡するXデイが気がかりで、ある母親はその日に起こるはずのことについて詳細な手記を執筆する…(「ある晴れたXデイに」)。日常に忍びこむ幻想。悲劇と幸福が結びついた人生観。歪で奇妙な家族たち。戦後ドイツを代表する女性作家による、『その昔、N市では』に続く全15作の傑作短編集!

羅刹国通信羅刹国通信

発売日

2024年4月30日 発売

十二歳で叔父を殺した。 その罪が、いまになって 現実を、夢を侵蝕してゆく。 亡者たちが〈恐怖〉と〈悪意〉に 分かれ争う羅刹の国の夢を共有する 少女と少年の魂の行方 並ぶ者なき幻視者が 若き日にものした幻の傑作、初単行本化 叔父を殺したことは固く秘しておくべきだった。 自殺するなんてと母が泣き続けるものだから、本当はわたしが崖から突き落としたのだとわかれば、すこしは気が楽になるかと思ったのだ。 震災で妻を失いPTSDに苦しむ叔父との同居に疲弊する家族のために、小学六年生の左右田理恵(そうだりえ)は叔父を殺した。 その四年後、理恵は奇妙な夢を見るようになる。 荒れ果てた灼熱の地で岩蔭と食糧を求める「鬼」の集団。 かれらは二つの勢力に分かたれ争い殺し合うーーその法則を理恵に教えたのは、同じ夢を共有する一人の少年だった。 鬼才の幻視文学の頂点となる幻の傑作、初単行本化。解説=春日武彦・北原尚彦 ■目次 「羅刹国通信」 「続羅刹国報」 「続々羅刹国ーー雨の章ーー」 「続々羅刹国ーー夜の章ーー」  「解説」 春日武彦  「津原国通信」 北原尚彦

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