2024年7月19日発売
「日本外交の父」が辿った波瀾万丈の若き日々。幕末維新史を一新する「19世紀クロニクル」 明敏な知性が、野望に心を奪われる時ーー師・坂本龍馬と目指した新たな国家像、理念と実践の狭間で犯した愚状とは 陸奥は紀州藩で重用された父の失脚により所払いとなり、高野山の学僧から身を起こそうと、尊皇攘夷の嵐の中、洋学を志す。勝海舟の海軍塾に学び、坂本龍馬の海援隊へ。薩長連合を実現させた龍馬の許で、桂小五郎、後藤象二郎らに接近。若き日の伊藤博文、アーネスト・サトウらと心を通わせる。しかし維新後、陸奥は新政府内で苦境に立つ。時代の流れは、龍馬が構想した世界とは違う方向に進んでいる。薩摩で西郷が蜂起し、これを千載一遇の好機と捉えた陸奥は、身の破滅に向かって最初の一歩を踏み出した……。
13歳のアニエスは作家として華々しくデビューするが、本当の作者は親友のファビエンヌ。小説を書くという二人の「遊び」は、周囲を巻き込み思わぬ方向にー。2023年度PEN/フォークナー賞受賞作。
不器用ながらもまっすぐな感情を貫いた先にあったものー。京都・伏見の酒蔵を舞台に、激情と愛情のはざまで、しゃにむに生きた若人の悲しく、せつない物語。
2つの呪いがかけられたある学校の話。見開き1話ごとに仕掛けられた「謎」とともに、物語を読み進めていく新感覚ホラーミステリー。学内で次々と起こる怪異現象と忌まわしい事件の数々。読むごとに明らかになる学校の2つの悲惨な事件にまつわる呪いとは?戦慄の「超」短編小説を、全75話収録。
西国でのちに「刀伊の入寇」と呼ばれる騒乱が起こり、それを発端としたはやり病の広がりが都でも噂された寛仁三年。紫式部(香子)は出家し、宇治の庵で一人で暮らしている。小一条院妃延子より『源氏物語』の続きを促す便りをもらうも、手指の痛みで筆をとることができずにいた。そんなある日、庵のそばで毒を盛られたとみられる猫の死体が見つかり…。王朝推理絵巻、完結篇。
不祥事を起こし謹慎中の中年スポーツカメラマン与野は、ある夜渋谷で、東京五輪金メダリストの大和エイジと偶然出会う。金メダリストでありながら、次のパリオリンピックに出ようともせず、自由気ままに滑るだけのエイジに反感を覚えつつ、その圧倒的な力に魅了され、与野はエイジの専属カメラマン、通称「フィルマー」として、彼の日常の滑りを撮影することに。ともに最高のトリック(ジャンプ、空中動作、回転などの技)を追い求める二人だが、次第に連続窃盗事件や通り魔事件など、深夜の渋谷を取り巻く奇妙なトラブルに巻き込まれていく…。
役立たずと森の外れに捨てられた末の王子ウルドは、変わり者の森の民で竜人のサウィンに助けられる。サウィンと二人きりの楽しい日々を重ねるウルドだが、ある日騎士団たちの迎えが…ウルドは王となるが、すぐに隣国に攻め入られ、絶体絶命!その時、空から竜がやってきた。敵味方すべてを焼き払って…!「もう帰るところなくなっちゃったから、俺といっしょに帰るよね、ウルド?」人間の機微の分からない竜人×棄てられた王子のハッピーラブストーリー。少年時代と大人時代、それぞれのふたりわちゃわちゃの書き下ろし2篇あり。libre×pixivビーボーイ創作BL大賞pixiv賞。
かつて自分を特別だと勘違いし、親の七光とカネの力で好き放題していた貴族青年のハビリ。本当に神に選ばれた勇者に成敗され、彼は落ちぶれたあげくに魔王軍に殺されてしまう…が、死ぬ寸前で過去へと飛ばされていた。落ちぶれ生活の中で改心したハビリは、二度目の人生を真人間として生きようとするが、今度は自分がイキりかませ犬の役割を果たさなかったせいで勇者が成長できず、弱いままになってしまう!さらに密かに過去へループしていた完堕ち奴隷のソードとマギナがハビリの肉便器になるべく誘惑してきて!?真面目に生きたいだけなのに世界と貞操が危うい、異世界ハーレムコメディ、ここに開幕!
子どもたちの幅広い読書への手がかりに。最近12年間に刊行された児童向けアンソロジー896冊・作品のべ18,000点の内容細目集。名作短編からアンソロジーでしか読めない貴重な作品まで収録図書情報を確認できる。物語以外にも、詩・戯曲・ノンフィクションなどの作品集まで幅広く収録。全点原本調査により、目次に記載されていない詩歌作品ほか、小品・解説・口絵等まで細目を掲載。巻末に「作家名索引」「挿絵画家名索引」「作品名索引」つき。
東京の片隅に肩を寄せ合って暮らす夫婦のしみじみとした愛情を描いた小説『門』 自らと読者が生きている社会・生活・世相を活写した作家・漱石。ハルビンでの伊藤博文暗殺に始まる『門』から、激変する明治末のさまざまな世相(家計、電車、盛り場、メディア、探偵、アジア進出、社会主義……)を読み解く。 夏目漱石の『門』は地味な小説だ。/ふたりの男女が所帯をもって、東京の片隅に移り住んで、肩を寄せ合って生活している、というただそれだけの物語だ。/『坊つちやん』『三四郎』『こゝろ』が私たちの青春時代の漱石体験だとすれば、『門』を読んだ人は、おそらく青春がすぎて、漱石とふたたび出会った人ではないだろうか。……『門』が「朝日新聞(東京・大阪)」に連載されたのは、一九一〇年(明治四三)三月一日から六月一二日だが、小説内の時間は、その前年の〇九年一〇月末から始まっている。……漱石のほとんどの新聞小説は、描かれた時代が掲載時のほぼ半年前から前年という同時代性が大きな特徴だ。そのことが、小説を丁寧に読めば、そこからその時代の世相を読みとることができる、という性格をもっているのだ。(本書「はじめにーー『門』を読んで考えた」より)