2025年11月20日発売
第48回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ数々の栄誉に輝き、映画ファンを熱狂させた話題作『侍タイムスリッパー』。その感動と笑い、そして胸を打つ人間ドラマが、小説という新たな形でよみがえります。幕末の京で会津藩士・高坂新左衛門は「長州藩士討て」の密命を帯びていた。しかし刃を交えた瞬間、落雷に打たれ気を失い、目覚めるとそこは現代の時代劇撮影所。愛する幕府はすでになく、歴史の変化に愕然としながらも、心優しい人々に支えられ、やがて斬られ役として第二の人生を歩み始める。スクリーンでは観客の笑いと拍手を誘い、レビューには「胸を熱くする侍の誇り」「クライマックスの緊張感が忘れられない」といった声が並びました。SNSでも「予想外に泣けた」「爽快で愛おしい物語」と共感が広がり、世代を超えて支持を集めています。本書ノベライズでは、人物の内面や情景を、豊かな言葉で丁寧に再構築。剣戟アクションの迫力とユーモラスなやりとり、そして時代を越えて生き抜こうとする人間の力強さが、文字を通じてさらに鮮やかに迫ります。歴史と現代が交錯する奇想天外な冒険は、単なるタイムスリップの枠を超え、「人はどこにいても、自分の誇りを胸に生きられるのか」という普遍的な問いを投げかけます。映画で心を奪われた方はもちろん、まだ観ていない方にも。文字でしか味わえない驚きと感動が、ここにあります。笑って泣いて、読後には誰かを思いやりたくなる。日本映画界に新たな歴史を刻んだ名作を、ページをめくるごとに再体験できる珠玉の一冊です。
停泊地となる居場所を見つけること。 老いの過程を肯うこと。 戦争の記憶を引き継ぐこと。 青果市場の関係者や近所の人々が出入りする「いちば食堂」。そのひとはいつも同じ時間にあらわれ、テーブルに古い文庫本を広げては手帖になにか書きものをして過ごす。 9年ぶりの長編小説にして新たな代表作。 「食べてくれるひとの顔を具体的に思い浮かべて、よいものを提供したいという気持ちが、料理の味を決める。準備や技術を、愉しさ、喜ばしさが超えていく。賄いをつくるのが楽しいのは、ありあわせのものを使って、味覚をいかに喜ばせ、いかに食欲を満たすかを、そのつど現場で考え、すぐに試すことができるからだ。丕出子さんの反応は家族とまるでちがう。素直というような言葉では収まらない大らかさがあるのだが、笛田さんにはうまく説明できない。丕出子さんと食べるときは、食堂の空気ぜんたいを賄っているような気がするのだ。」(本書より)
尽くしてきた義母に、金を盗んだと疑われた初江。 都内にいくつもビルを所有するが、孤独な茉莉。 そして、ある事情から船内で働き続けている沙苗。 65歳の女性3人が、辛い日常を忘れるため乗り込んだ豪華客船。 偶然生まれた友情は、残りの人生の希望となっていくーー。 「私たち、色々不幸はあるけれど、3年後、船の上で再会しましょうね」 豪華客船×文学、誕生!
言論で日本の軍部を牽引する徳富蘇峰と、アメリカの地から日本に警鐘を鳴らし続ける朝河貫一。直木賞作家が透徹した「史眼」で描くアジア・太平洋戦争ーー。 佐藤優氏、激賞‼ 国家の悪に切り込んだ感動の書 1931年、満洲事変勃発ーー後に戦前、戦中最大の言論人と呼ばれた徳富蘇峰は、東條英樹ら軍部と結びつき皇国主義、軍国主義の世論形成に大きな影響力を与えていた。イェール大学教授で歴史学者の朝河貫一は、アメリカで激化する反日世論に晒されながら、日米融和を唱え、祖国の未来に警鐘を鳴らし続けていた。 日本は満洲事変から、中国との戦争が泥沼化していきアメリカとの対立も深刻化していく。 蘇峰は日本で、朝河はアメリカから言論の力で祖国のために戦い続けるが、日米開戦は避けられない状況へと陥っていく。 1941年12月、朝河はルーズベルト大統領から昭和天皇への親書を起草し、開戦の回避、そして和平を目指すが……そこには予想だにもしない国家の罠が仕組まれていた。 はたして天皇を、祖国を守ることはできるのか。 国家存亡の危機から祖国を守るために戦った朝河貫一と徳富蘇峰ーー。 真の愛国者は誰だったのか。祖国の未来を開いたのは誰だったのか。 真逆の思想をもった「ふたり」から見える真の正義とは。 戦後80年を迎え今、透徹した「史眼」で満洲事変から日米開戦を描く渾身の歴史小説。 内容・構成(目次案): 第一章 満洲事変/第二章 イェール大学 第三章 満洲国/第四章 日米融和に向けて 第五章 五・一五事件/第六章 大統領選挙 第七章 国家の岐路/第八章 独自の道 第九章 戦争の禍/第十章 理性と熱狂 第十一章 極秘工作 あとがき 参考文献
この図書館、一筋縄ではいかない! 出勤初日に師匠が亡くなり、 いきなり見習いから司書に昇格!? 利用者は押しかけるし、 図書館の本はとんでもない秘密を抱えているし…… 助けてくれるのは謎の少女と猫たちだけ 見習い司書の奮闘を描く図書館ファンタジイ 13歳になった子どもがどの職業の見習いになるかが決まる〈召命(しょうめい)〉の日。オリバーを採用したのは図書館の司書だという偏屈そうな老人だった。ところが翌朝出勤すると、師匠になるはずの老司書が発作を起こして死んでしまった。利用者たちは押しかけるし、図書館の本はとんでもない秘密を抱えているし……右も左もわからず途方に暮れるオリバーを助けてくれたのは、謎の少女と何匹もの猫だった。 見習い司書の奮闘を描く図書館ファンタジイ。
淡い光の中で、生と死を見つめる。 私には、そんな午後がある。 死や罪悪感に翻弄される純粋で奇妙な人々。 本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』の著者が贈る、 全26章の傑作短編集! 台北、東京、マラケシュ、ウィーン、チューリヒ、パリ……。弁護士で作家の「私」は講演会や朗読会で世界各国を訪れ、さまざまな過去を抱える人々と出会う。16年前に弁護したかつての依頼人がマラケシュで語った、当時明かさなかった事故死の事情。イタリアの古い館に滞在中、怪我をした隣人の女性から聞いた衝撃的な身の上話。ベルリンで亡くなった知人の遺言執行者に指名されて知った、彼の唯一の遺産相続人との愛憎半ばする関係──。死や罪悪感に翻弄される純粋で奇妙な人々の物語と、ところどころに挿入された歴史上のエピソードによる全26章は、ページを閉じたあとに、深く鮮烈な余韻を残す。 クライスト賞受賞、日本で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた『犯罪』の著者が贈る新たな傑作短編集!
わたしはあの人を殺した。 わたしはーー もういない。 児童養護施設の子どもたちが遭遇する 不可思議な謎の数々 『七つの海を照らす星』 『アルバトロスは羽ばたかない』に続く シリーズ待望の最新作 職場復帰をめざしリハビリに励んでいる児童養護施設・七海学園の保育士・北沢春菜。七不思議が伝わる学園では、彼女が不在の間にも子どもたちの身辺で不思議な出来事が続いていた。一緒に終点まで乗ったはずの循環バスの中から忽然と消えた少女。かつて母の死期を予知した少女が目撃した“未来の殺人”。駅伝大会の中継地点で襷を渡し終わるとともに消失した少年ランナー。そして学園内のあちこちでは、殺人を告発する宛名のないメッセージが現れ── 『七つの海を照らす星』『アルバトロスは羽ばたかない』の感動と驚愕が甦る、シリーズ完全新作!
金色の草原の果て 緑に囲まれた白亜の校舎。 リデルハウスには秘密があったーー かつて子どもだった、 そしてこれから大人になるあなたへ 贈る物語。 金色にかがやく草原の果てに佇む、緑に囲まれた白亜の校舎。全寮制の名門校リデルハウスには、奇妙な制度があった。特別な才能を認められた生徒は「ラヴ」と呼ばれて、普通の生徒が知らない場所で学園生活を送っている。そして、かれらはリデルハウスからの“制約”の見返りとして、在学中に一度だけ「ギフト」を行使できる。「ギフト」は、実現可能な望みであればなんでもひとつ、叶えることができるという──。 新鋭が紡ぐ、懐かしくも新しい少年少女たちの物語。 ■目次 金曜日(フライデー)のゆううつ 水曜日の誘拐 木曜日は真夜中に 月曜日のページ・ボーイ 日曜日の魔法使い