小説むすび | 2025年発売

2025年発売

ユリウス・カエサル氏の商売ユリウス・カエサル氏の商売

劇作家、演出家、詩人である「異化」の作家ブレヒト流のジュリアス・シーザー(小説です)。 古代ローマを舞台に、偉人・貴族・財界・市民・奴隷たちが、商売と政治、勝利と敗北、英雄譚と経済指標に踊る三文稗史劇(ヒストリー)。 物語は、ある歴史学者が英雄ユリウス・カエサルの伝記を執筆する準備で、カエサルを担当していた元銀行家を訪ねるところから始まる。元銀行家が所有する、カエサルの秘書であった奴隷の手記を調べることが目的であった。やがて歴史学者は、元銀行家たちとの対話や奴隷の手記を通じて、商売という視点をまったく忘却した、経済史観をふまえぬ自分の立場の誤りを次第に思い知らされていく。 1938、39年デンマーク亡命中に執筆され、ユリウス・カエサルを主人公に、ガリア戦記まで構想されたが、ガリア戦記は書かれないまま、未完となっている長編小説。『ローマ人の物語』(塩野七生著)でも言及され、ストローブ=ユイレにより映画化。1973年河出書房新社新社発行版を底本に復刊、書き下ろしの解説を追録。 第1部 名門出の一青年の栄達 第2部 われらのC氏 第3部 以って範とするに足る属州の行政 第4部 三頭の怪物 訳者解説 解説 『ユリウス・カエサル氏の商売』のアクチュアリティ

さみしがりな恋人たちの履歴と送信さみしがりな恋人たちの履歴と送信

どうして、いつまで、どうやって、 僕らは物語(おはなし)を作るのだろう。 いくつもの時代のカルチャーを経巡りながら、 ささやかに失われてばかりの生と語りの歴史をかたる、 言葉に恋する新時代の物語撰集。 ーーーー [推薦] 町屋良平(小説家) この本は言葉への恋愛小説だ。恋は苦しい。まるで人生みたいに? 恋は醜い。まるで人間みたいに? 恋は美しい。まるで世界みたいに? 恋は重い。まるで生死みたいに? 私は言葉より早く死んじゃうのに、どうしてこの小説は言葉を愛せると信じさせてくれるのだろう。 山内マリコ(小説家) 若さという足かせ、時代という苦難、増殖するノイズ……それらを「言葉」で超克しようと格闘した日々の全記録。東日本大震災からコロナ禍までの“極私的な自粛期間”に創作されたすべての作品は、信じるに足る、永遠の宝物だ。 ーーーー ◉「いぬのせなか座」メンバーのほか、「原稿料」や「契約(書)」について考えるメディア「作家の手帖」共同編集長を務め、『ユリイカ』『早稲田文学』『S-Fマガジン』など各誌で活躍してきた著者による、待望の初作品集。 ◉人々は変化するメディア環境のなかで、どのように自分のための物語をつくり、それを支えに生き、あるいは失敗してきたのか。中世の和歌文化から近代の歴史物語、近未来の観光・医療まで……なにより東日本大震災とコロナ禍のあいだにあったはずの「時代の気分」をめぐりながら、世代意識とリテラシーのへだたりをつなぎ直す、小説・詩歌・批評・日記などの形式を用いて編まれた画期的20編。 ◉それ自体作品として読める全編自作解題(1.5万字)つき。 ◉カバーなし・仮フランス装の洒脱なデザイン。帯を外すと洋書風にもなる、存在感のある装釘です。 まえがき 1 漢字が苦手なその子の宿泊と郵便 じゃないけど、似たものーー60年代少女小説 情報社会の大悪党ーーあるいは弊社の石井GM こよみのうた 2 プリティ・リトル・ベイビーズ 彼と僕の大事な恋人たち ふたりと、それを分け合うこと 描写の向こうで眠りたい 3 荒木さんの退職 空間とその美女のアドバタイズ ストイコビッチのキックフェイント 清潔でとても明るい場所へ 4 識字率と婚姻のボトルネック オキナワ医療観光公社 つづかない組織はどうすれば歌えるのか 家柄 5 うつさないように 世間体とレソロジカ よものよのもの ファースト・マカロニペンギン 自作を語る はじめての現代文芸撰集

人生劇場人生劇場

出版社

徳間書店

発売日

2025年3月3日 発売

『ラブレス』『ホテルローヤル』等、家族の光と闇を描き続ける直木賞作家・桜木紫乃のルーツ! 夢に生き、夢に死ねーー 昭和の北海道。 己の城を求め、男は見果てぬ夢を追う。 【著者コメント】 書きながら改めて、生きることは滑稽だと感じました。 滑稽でいいと思うところまで、書けた気がします。 やせ我慢人生を歩いてきたすべての先人に、愛を込めてーー人生劇場。 何もかもが赤く染まった鉄鉱の町・室蘭。 四人兄弟の次男に生まれた猛夫は、兄にいじめられ、母には冷たくあしらわれながら日々を過ごしていた。 心のよりどころは食堂と旅館を営む伯母のカツ。やがて猛夫はカツのもとで育てられることになる。 中学卒業後、理容師を目指し札幌に出た猛夫だが、挫折して室蘭に帰る。 常に劣等感を抱えるようになった猛夫は、いつか大きくなって皆を見返してやりたいと思うように。 理容師として独立、ラブホテル経営と、届かぬ夢だけを追い続けた男の行く末は。 自身の父親をモデルに、直木賞作家・桜木紫乃が北の大地で生きる家族の光と闇を描く。 【目次】 一章 鉄の町 二章 修業 三章 別れ 四章 長男 五章 夫婦 六章 闘い 七章 新天地 八章 落城

ブリス・モンタージュブリス・モンタージュ

出版社

白水社

発売日

2025年3月3日 発売

ジャンル

全米批評家協会賞受賞作品 本書は、中国出身の米国作家リン・マーの長篇『断絶』に続く第一短篇集。前作は、移民の女性が米国のミレニアル世代の一員として根無し草的な生活を送るなか、パンデミックとゾンビという物語形式を借りて、グローバル資本主義の制度に組み込まれた人生の虚無感、今世紀の米国社会の空気を巧みに切り取ってみせた。 同様に若い女性を主人公とする本書においても、移民にとっての「ホーム」はどこなのかという問いや、醒めた距離感を保つ一人称の語り口など、マーの作風は前作から連続している。ただし本書では、人間関係における暴力や、存在の孤独という、マーの中核的主題がより前景化され、人と時代に対する鋭い観察眼と、物語を組み立てていく手腕の凄みが際立っている。 本書の評価は非常に高く、〈全米批評家協会賞〉と〈ストーリー・プライズ〉を受賞、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』では、「予測不可能な展開を見せ、読了後も心に残る」と評され、短篇の名手としてもマーの才能を確かなものとしている。「ロサンゼルス」「オフィスアワー」「明日」ほか、不可思議な語り口と冷徹な観察眼が冴える8編を収録。 [目次] ロサンゼルス オレンジ G イエティの愛の交わし方 戻ること オフィスアワー 北京ダック 明日 謝辞 訳者あとがき

梟と番様2〜せっかくの晴れの日なのに、国内から国外まで敵だらけ〜梟と番様2〜せっかくの晴れの日なのに、国内から国外まで敵だらけ〜

寅、兎、狸の一族ーー新たな十二支族、登場! 一方、人間の番に不満をもつ人物たちが動き出して……。 「俺のユフィーー誰にも見せたくないな」 激・重な旦那さまも、ますますヒートアップ! 虐げられ令嬢×十二支族の獣人の王、話題の最強の嫁入りシンデレラストーリー、第二巻! 十二支族を統べるゼインクロウ帝国の王、ヨルハに見染められ、隣国に嫁ぐこととなった伯爵令嬢のユフィリア。 ヨルハからの溺愛を一身に受けながらも、周囲に認めてもらうために結婚式の準備を頑張るユフィリアだったが、ある日たまたま錬金術で発明した『毛がふわふわに伸びる育毛剤』が獣人の中でまさかの大ヒット! 卯の一族の族長から、どうしても譲ってもらいたいと訴えられて!? 一方その頃、ユフィリアの家族たちが帝国に乗り込み、さらに国内のユフィリア反対派の動きも活発になってきて……。 「すごいなぁ、ユフィは。……俺も、頑張らなくちゃね」 今日も絶対強者、ヨルハは獰猛に嘲笑うーー!

ごきげんよう、私を捨てた元婚約者様。陛下のお子を身籠りました【愛され大逆転シリーズ】ごきげんよう、私を捨てた元婚約者様。陛下のお子を身籠りました【愛され大逆転シリーズ】

"国王・ヴィルヘルムの専属秘書官を務める侯爵令嬢・ルーナ。幼少期から才女として称えられ地道な努力を続けてきたが、ある日、長年の婚約者から「浮気相手に子どもができた」と一方的に捨てられてしまう。ルーナは呆れこそしたが嘆き悲しむことはなかった。しかし不出来な婚約者から解放されたことをラッキーと感じるも、なんとなく釈然としない思いもある。ヴィルヘルムはそんなルーナの心情をなぜかお見通しでーー。 「婚約を解消したそうだな」 「色々とありまして…」 ヴィルヘルムとお酒を酌み交わしながら本音を吐露したルーナは、酔った勢いで一夜をともにする事態に!?そして後日、勅命で後宮入りしたルーナに懐妊が発覚。ヴィルヘルムの正妃となり、彼の愛を存分に享受する一方で元婚約者は転落人生を歩んでいて…。 不遇な過去と決別し、新たな道を歩みだした才女の大逆転ストーリー、開幕!"

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