1994年3月15日発売
御公儀忍び組査察の秘命を受けた、椎ノ葉刀馬。対するは忍法〈赤朽葉〉〈任意車〉〈暗剣殺〉を駆使する甲賀、伊賀、根来の三忍者-。悽絶怪異の忍技と柳生流の豪剣が火花を散らし、卍と咲き乱れる争闘の裏に更なる魔人がいようとは…。
ペイラック伯爵が生きている。国王の制止を振り切って、アンジェリクは愛する人の消息を求めて地中海へ旅立つ。大嵐、ガリー船の反乱、難破…。そして凶悪な海賊の手に堕ち、クレタ島の奴隷市場で全裸でせりにかけられたアンジェリクの前に、黒マスクの謎の大海賊レスカトールが現れる。
大海賊レスカトールの許から逃れたアンジェリクは、海上で再びバーバリ海賊に捕えられ、モロッコのサルタン、残忍なムライ・イスマイルの後宮へ送られる。あくまで寵姫にされることを拒んだ彼女は、奴隷の仲間と共に密かに脱走を謀るが、その行く手には、炎熱の死の砂漠が広がっていた…。
あなたのお父様丁大吉さんはご健在でいらっしゃる…。謎の手紙に導かれ、幼いころ失踪した父親を捜しに海峡を渡った唐谷美弥子の韓国への旅。そしてそこで知る複雑な人生の軌跡。日本・朝鮮の歴史の暗部を抉り、太平洋戦争から現代にかけて時代の荒波に翻弄される親子二代を描く、重くて深い感動の小説。
汎関東主義秘密結社“NATTO”の殺人組織、駅弁主・幕内弁助ひきいる“KIOSK”が新たな標的に選んだ我らが定吉七番。二重、三重に仕掛けられた罠におびきよせられる定吉、そして芸者桃千代こと赤坂五号こと立穴裕子の命運はー。レトロな赤坂・青山・ロッポンギを舞台に、さあ情無用の立廻り。
足利将軍暗殺、京都封鎖。後醍醐帝の亡魂の為せし業か。南北朝騒乱の残り火に油を注ぐという怖るべき〈能面〉の行方を追え-。旧体制が音を立てて瓦解した後南朝時代を、破格のスケールと雄渾な筆で描く時代小説の絶品。
ナチスの恐怖をかいくぐって生きる、ユダヤ人少女ユーディットの物語と、彼女の憧れとが紡ぎ出す、もうひとつのマリア伝説。ウディ・アレン風ビン底メガネのさえない少女に神の悪意が仕組んだ皮肉な運命と、キリスト受胎の運命を呪うもうひとりのマリアの神への抵抗とが、現実と幻想のあわいに交錯する。
17歳でデビューして、仕事ばっかりしてきたんだもん。大人になんかなるひまなかったの。かせいでいるように見えたって、いつ飽きられるかわからない。ああ、人のうらやむ結婚もしたいし、不滅の名声もほしい。ほしくないのはあの“お母さん”だけ。わがまま少女漫画家・くればやし繭子の幸せさがしバトルロイヤル。
百五十年前、ジョン・マンと呼ばれた日本人がいた。漂流中、アメリカ船に救出されたことで土佐の漁師、万次郎の運命は大きく変わっていく。幕末の国際人、ジョン万次郎の生涯を描く歴史ロマン。
古代女権社会のエジプトで権勢を振るった美貌の女王・クレオパトラは、カエサルやアントニウスに近づき、ローマも手中におさめようと計る。が、男権社会の壁に敗北し、自ら朽ち果てた。書き下ろし長編。
対戦車ロケットが、迫撃砲が、そしてガソリンを満載したセスナ機が迎賓館を襲う。西側要人を狙う国際テロ組織が、東京で開かれる先進国首脳会議にむけて動き出した。集まった首脳たちを一気に葬り去ろうというのだ。百万ドルでこの仕事を請け負った元海兵隊員の雑賀操は、緻密な計算と大胆な行動力で武器の調達から爆殺計画まで着実にこなしていくが…。世界一を誇る日本の警察力に挑む男の激闘。
日本の代表的商事会社『菱井商事』の社宅・星渓寮は、本社の課長以上部長クラスのみが入宅を許される最高級の施設だった。その社宅に支社からの転勤で一時的に入居した課長代理の早野は、妻から息子の辰夫が陰湿ないじめを受けていることを告げられる。会社の縦型職階制度が子供社会に影響したものと考えられた事件は、同じ社宅に住む部長夫婦の一人息子が行方不明になったことで思わぬ方向へ展開していった…。