1997年発売
スタイリッシュなアクション映画で一躍ハリウッドの寵児となった映画監督のブルース・デラミトリ。アカデミー賞授賞式の夜、最新作『オーディナリー・アメリカンズ』でオスカーを受賞し、美人女優を従えて帰宅した彼は、思いがけない窮地におちいってしまう。ショッピングモールで銃を乱射して無差別な殺人を繰り返し、全米を恐怖のどん底に叩き込んだ連続殺人カップル、ウェインとスカウトが彼の帰りを待ちかまえていたのだ。ブルースと女優を監禁し、自分たちのしていることはブルースの映画の模倣にすぎないとうそぶく二人。はたして、彼らの目的は金か、それとも単なる売名行為なのか?さらに二人は、翌朝、何も知らずにやってきたブルースのエージェントや、離婚訴訟中の妻と娘までをも人質に取って籠城をつづける。やがてテレビの生中継で全米が固唾を呑んで見守るなか、殺人コンビが突きつけた意想外の要求とは?英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作。
容疑者のデータベースをフィルターにかけ、容疑者をしぼりこんでいく新プログラムを開発したFBI特別捜査官ジャネットは、自らのレイプ体験から犯罪を憎む気持ちが人一倍強い。だが、犯罪者たちは法の盲点を突き、検挙を逃れていく。やがて、捜査の行き過ぎから、ジャネットはニューメキシコ州サンタフェへ飛ばされてしまった。そこでは、新たな犯罪者たちがジャネットを待ち受けていた。一方、元FBI特別捜査官ホーキンズは25年間、ひとりの凶悪な犯罪者を追い続けている。その名は「アイスマン」。アイスマンこそジャネットが追い求めるシリアル・キラーたちが集う、恐怖のパソコン・ネットワークの主催者だった。
大規模な医療改革を目指す委員会に名前をつらねる二人の議員が、連続して不審な死を遂げた。一人は自動車事故で、もう一人は高層ビルから転落して…もし事件がそこで終わっていれば、すべてはたんなる偶然と片づけられていたにちがいない。が、またもや同じ委員会のメンバーが、今度は不可解な発作を起こして重体に陥ってしまった。しかも三人の共通点は、同じ委員会のメンバーであるだけではなかった。かつて天才外科医として名を馳せた医師ラズラムの手で、全員が美容整形手術を受けていたのだ。連続する事件の背後にいるのはラズラムなのか? もしそうなら、彼はどんな手を使って議員たちを死にいたらしめているのか?ラズラムの助手として働く内科医ジーナは、恩師でもある彼の挙動に不審を抱き、友人のFBI捜査官ジェリーとともに事件の謎を追うが。
“辻斬り”ならぬ“辻蹴り”とでもいうべき傷害事件が、横須賀の町で頻々と発生。蹴り倒された男たちの傍らには、必ず奈良・飛鳥宮の絵馬が…。同じころ、横須賀中央署へ、古美術商“藤橘”の女社長・安達夕子が、森谷という男と現われた。“スミス・コレクション”と称する日本刀の販売にからむ詐欺容疑の捜査にクレームをつけに来たのだ。やがて、空手五段の森谷が“辻蹴り”に蹴殺され、あとにはまたもや絵馬が…。彼は空母インディペンデンスの核疑惑の証拠写真のネガを持っていた!?いまも戦後を引きずるような奇妙な事件を、松木充穂署長が追う。
南米のボリビアはアメリカにコカインを売りさばく麻薬組織に蝕まれていた。潔癖な性格で、一部の兵士の熱い支持を受ける海軍中佐ゲレロは、米国公使フェザーストーンと共に密造業者を取り締まる。ある日、ゲレロの部下がマフィアに殺された。不正な裁判で犯人は無罪となり、言葉に出来ぬ怒りを抱いたゲレロは遂にクーデターを計画する。わずか数百名の兵士達は為政者を葬れるか。
ジェリー・フレッチャーは妄想癖を持つニューヨークのタクシー・ドライヴァー。彼は司法省で働く美人弁護士アリス・サットンに恋焦がれている。「世界には陰謀が渦巻く」と説く彼にアリスはなぜか優しかったのだ。そんなある日、ジェリーは何者かに拉致され、拷問を受ける。何とか逃げ出した彼はアリスを訪れた。はたして彼の妄想は真実なのか?手に汗握るラヴ・サスペンス。
広告代理店で働く美貌の野心家レスリー・スチュアートは、州知事を目指すハンサムなオリバー・ラッセルと出会って、一目で恋に落ちる。選挙キャンペーンを闘うふたりは、やがて愛し合い、結婚を約束する。だが、挙式直前、オリバーは上院議員の娘と電撃結婚してしまう。彼は義父である上院議員の強力なバックアップを得て州知事となり、大統領への段階を昇り始める。一方、裏切られ、捨てられたレスリーは、新聞社の社主をその美貌で籠絡し、オリバーを追い落とすべく、メディア世界に君臨しようとする-。
ついに大統領になったオリバー・ラッセルに対し、レスリー・スチュアートは自社の新聞の第一面に大統領のスキャンダルを次々と書き立てさせる。そんな折り、ホワイトハウスを見学したコロラド州知事の娘が、高級ホテルのスウィートで何者かと過ごし、催淫薬エクスタシーの過剰服用で死亡する。事件の鍵を握る者たちは謎の死を遂げていき、捜査はついに大統領自身にまでおよぶ。オリバーの女癖の悪さとエクスタシー使用を知るレスリーは、大統領の一大スキャンダルとして事件を取材し始める-。
名門音響機器メーカー、エンパイアを襲うリストラの嵐。副社長の独断で進められる管理職の「指名解雇」に、人事部の採用担当課長・木下真平は公然と異を唱える。しかし「事件」はマスコミの知るところとなり、世間の非難を浴びて会社は窮地に…。「終身雇用」とは?「経営者の器」とは?日本企業の本質をえぐる長編経済小説の傑作、待望の単行本化。
舞台は銀行。演目は『一億円詐取の胸騒ぎと空騒ぎ』。練りあげられた台本、完璧な演出、選ばれた役者たちと三拍子そろって、公演は大成功-のはずだった!?100,000,000円を騙し取れ!待望のコン・ゲーム小説。
自儘な性暴力を続ける義父と、見て見ぬふりをする実母に訣別し、16歳で家を出た主人公・静子の凄絶な青春時代。逃避行、東京への出奔、セックス、中絶、旅館の住み込みからスナックのホステスとなり、マンガ家や歌手への夢を抱いて再び上京、レーサー崩れの男との結婚・破局まで、激流のような、辛苦と希望が交錯する日々。
見合い話に苛立ち、後輩の若さがふと眩しい美也子の淡々とした日々に鳴り響く謎の電話。そして一年が過ぎて…「恋愛小説」。同僚に連れていかれた店で飲んだ水割りの不思議な味。ある切ない夜、わたしはその水の秘密を知る…「水に眠る」。人の数だけ、愛があるー様々な愛の形を描く短篇集。