2003年8月発売
平成十三年十一月、米軍を後方支援すべく、第二護衛隊群はインド洋にいた。補給作業を順調に続けて十日あまり、突如、凄まじい閃光が彼らを襲う。その刹那、旗艦「くらま」以下三隻は、昭和十九年のインド洋を漂っていた。動揺する乗組員たち。群司令たる中西は、皆に窮余の選択を促した。決が出る-我々は旧日本軍と共同して米軍と戦う!大敗を喫したマリアナ沖海戦の逆転が、中西たちの双肩にかかった。激闘の末、辛勝に持ち込んだものの、小沢艦隊は搭載機の大半を失い、派遣艦隊も積んでいる最新兵器を多数費やした。が、中西たちの戦いは、まだ終わったわけではない。次なる戦場は、レイテ。史上最大の海戦が目前に迫りつつあった。時空を彷徨する派遣艦隊を待ち受ける試練の日々。好評のシリーズ第二巻。
日曜の昼下がり、鎌倉駅で鹿の子を待つのは三年前に別れた夫。ふたりは江ノ電に揺られ、愛猫ユキオを埋葬にゆく。初夏の空と海、汐風が、ほろ苦くも輝かしい、あの日々へと誘う。傷みの果てにふとこみあげる生への愛しさ、そして切実な祈り…。疲れた心と躰がほぐれる佳品。
多くの兵士の霊が眠る硫黄島が、いまふたたび流血の地と化そうとしていた。南硫黄島沖の深海から隆起した海底火山のカルデラで、中国の潜水艦〈海鳳〉が沈没。この事件に端を発し、日本の潜航調査船が爆破され、中国のものと思われる国籍不明機が日本領空内を侵犯するといった事件が続発する。はたして中国の目的は?調査にあたった海上自衛隊硫黄島航空基地隊と、航空自衛隊のファイター・パイロットたちは、一連の事件の真相に迫れるのか?マリン・スノーの舞う海底カルデラの謎をめぐって、硫黄島海域はいままさに一触即発の情勢となった-。
高校生の涼音は、かわいい顔して気の強さは人一倍。ある晩、大好きないとこの結婚話に動転した挙句、2つ年上の幼なじみ、洋平に条件付き恋人宣言を出してしまう。その条件とは…「親へのカミングアウト」と「夢を貫くこと」。精悍な容貌に反して心は乙女系の洋平は、じつは服飾デザイナーになるのが夢で…。ついに涼音と身を固められる!-洋平が立ち上がった!?すったもんだのラブ騒動書き下ろし。
天竜ギャラクシートランスが開発した新型エンジンを得て、月面結婚式場「第六大陸」建設計画はついに始動した。2029年、月の南極に達した無人探査機が永久凍土内に水の存在を確認、もはや計画を阻むものは存在しないかに思われた。だが、再起を賭したNASAが月面都市建設を発表、さらには国際法上の障壁により、「第六大陸」は窮地に追いやられる。計画の命運は?そして、妙が秘めた真の目的とは。
究極の書物を作るため、不思議な冒険の旅に出た職人の姿を描く、めくるめく物語。ときは18世紀。ロンドンの印刷工フラッドは、スロヴァキアのある伯爵から、からくりに満ちた奇妙な家に招かれた。奇書コレクターの伯爵は、「始まりも終わりもない無限に続く本を作製せよ」とフラッドに命じる。だが、フラッドは伯爵の美しい娘イレーナと恋に落ちて伯爵の逆鱗に触れ、城の地下に幽閉されてしまう。11年後、地下牢のフラッドの前に、彼の娘と名乗る少女パイカが現われた。伯爵も亡くなったいま、二人は魔法の活字、哀しみを誘うインク、伝説の製造法による最高級紙など、極上の材料を探し求め、仲間とともに世界中をめぐる航海に出る。だが、ヴェニス、アレキサンドリア、広東と行く先先で一行を妨害する人物が…!すべての本好きに贈る奇想天外な幻想譚。