2025年12月2日発売
冷遇される公爵令嬢だったメリーナは、王家からの覚えもめでたい伯爵・クレセットに嫁ぎ愛されることで幸せになった。自身の才覚でも道を切り開き、新婚夫婦にもかかわらずしばらく仕事に追われていた二人は、ようやく隣国へ新婚旅行に向かう。しかしその先でも、クレセットと旧知の仲である隣国の王族姉弟に頼み事をされることに。どうやら母国とはまた別の問題が山積みな様子に、悩みながらも自分らしい身の振り方で役目をこなす彼女を、クレセットは変わらず溺愛して……
妹が原因で婚約破棄となったうえに、家の借金のせいで見知らぬ相手と結婚することになったルシナ。結婚相手は、平民ながらも敏腕事業家として名を上げているグレン・フォルカー。一見、優しく見えた彼だが、実は彼は爵位目当てで、ルシナをお飾りの妻にしようとしているらしい。あげく彼の愛人と思しき女性から牽制される始末。--それならもう割り切ります! 将来離婚することを視野に入れて白い結婚でお願いします! そう考えたのに、それを聞いたグレンがいきなり怒り出して……
「皆様も魔王軍に入って一緒に滅ぼしましょうーー愚かな人間を」婚約破棄をきっかけに国内の貴族を拳で制裁したスカーレット。ヴァンキッシュ帝国での戦いを経て加護を失った彼女は、魔王ダンテを追って魔大陸を訪れた。宿敵テレネッツァとの邂逅に勇者一行との出会い……そして、恩師グラハールとの再会を経て、魔王城に辿り着いたスカーレット。そこで告げられたのは、魔族と人間の戦いの歴史の真実ーーすべては神の遊びであったという馬鹿げた話でーー? 大人気爽快劇、第7弾!
王太子アンドレアの婚約者として、すべてに恵まれた完璧な公爵令嬢エステル。しかし、世間は彼女を誤解していたーー。事件で負った醜い傷。可愛げがなく、魔力があっても魔法を使えない、見放された能無し令嬢。それが本当の彼女だった。ある日、「殿下が伯爵令嬢と恋仲だ」という噂が立つ。だったらいっそ、捨ててもらいたい。そう決意し、婚約解消に乗り出したのに、なぜか殿下はエステルに急接近!? さらに想定外の出来事が立て続けに起きはじめて……!?
「変な配達員さんがいるんです……」運送会社・さくら配達に、奇妙な問い合わせが相次いだ。その配達員はインターフォンを三回、ノックを三回、そして「さくら配達です」と三回呼びかけるのだという。まるで嫌がらせのようなその行為を受けた人間に共通するのは、配達の指定時間に荷物を受け取れず、不在票を入れられていたという事実。実害はないが、どうにも気味が悪い……そんな中、時間指定をしておきながら、わざと不在にして配達員に荷物を持ち帰らせるというイタズラを繰り返す男のもとに、不気味な配達員が姿を現しーー。不可解な怪異によって日常が歪んでいく、生活浸食系ホラー小説!!
Xにてリポスト2.4万、いいね16.5万、閲覧4.5億回されたポスト群をもとに作成されたホラー短編集、ついに書籍化! 【ルール】このアドバイスに疑問を持たないでくださいーー ・工場:人を「おーい!」と呼ばないこと ・会社:三階会議室は使用禁止です。中には人は居ません ・寮:開かずの間が三か所あるが絶対に開けないこと、開くことがあります。 ・警備:夜間巡回時に復路でまれに開いているドアがあるが必ず締めろ、なお中は見なくて良い 会社、旅行先、病院……日常を1mm?いてみれば、そこには「変なルール」が満ち溢れている。
柳原郁夫は独立して自分のビジネスを始めたいと考えるが、妻の裕子からは強く反対され、計画を断念する。それから1年後、今度は妻の裕子が女性起業家養成塾を立ち上げ、多くの参加者を集め成功を収める。その後、裕子の様子に変化が見られ、医師から中程度のアルツハイマー型認知症と診断される。徐々に彼女は出不精になり、階段やエスカレーターの使用を避けるようになる、外出時は郁夫が付き添ったが、ショッピング中の混乱や物忘れが頻繁に起こり、裕子は自身の行動に戸惑いを見せ始める。そして、優しい性格だった裕子は次第に激しい怒りから物を投げたり、時には包丁すら手に取るようになってしまう。家族は彼女を守り、耐えることが続いたが、年月の経過と共に関係が次第に複雑になっていった。その後、施設に入居したが、その生活中に裕子の体調が急変し、膵臓がんが発見された。余命宣告を受けた彼女は在宅看護を受けながら最後の日々を家族と穏やかに過ごすが、徐々に体力が衰えていく。それでも息子・祐の支えもあり、裕子は一時的に生き生きとし、病気を忘れたように見えたが、緩和病院への転院前夜に、裕子は家族に見守られながら静かに息を引き取った。郁夫は妻を悼みながら、裕子のことを思い出の中で大切に抱きしめる。 第一章 孤独から共生へ/第二章 意表を突かれて/第三章 たゆたう魂/第四章 共生から自立へ/《エピローグ》愛しきは命
医師の眼と詩人の手つき 宿痾、痛み、性と死、澱汚と諦念……ソ連崩壊前夜に小説の新たな沃野を拓いたパレイの初期三部作ーー「追善」「エヴゲーシャとアーンヌシカ」「バイパス運河のカビリア」--で描かれるのは、グロテスクが発酵する日常を淡々と生きる、行き場のない人びとであり、その生は言ってみれば「いずれもそれぞれに不幸なものである」。とはいえ、幸福な生が必ずしも美しいものとは限らないし、不幸な生が醜いわけでもない。医師でもあったパレイの自伝的要素もまとった語り手は、幼い日に祖父母の家で目の当たりにした業の行く末と死、一癖も二癖もある老女たちとの共同住宅での営み、そして、バイパス運河通りで天衣無縫に生き切った「カビリア」を、冷めたあたたかな眼差しで眺めながら、饒舌にして平静、乾いていながら粘りつく唯一無二の文体で編んでゆく。ゴーゴリやドストエフスキー、アフマートワらによって紡がれたテクスト・ペテルブルクの系譜にありながらも、粛清や大祖国戦争、封鎖や飢餓といった悲劇、ガガーリンの活躍や原発事故、ペレストロイカなどソ連史を内に湛えるこれらの作品は、むしろ「テクスト・レニングラード」と呼ぶにふさわしい。
みんなの協力もありようやく完成したトリシアの夢の貸し部屋、通称『龍の巣』。美しい銀髪と巨大な力を持つ龍のような冒険者が眠る場所、というあからさまに幼馴染みのS級冒険者ルークの異名から広まった大仰な世間の認識に「むむむ」と思いつつ、トリシアたちは忙しくも楽しい新たな毎日を過ごしていた。ケルベロスを連れて現れた青年ハービーや、前世で見覚えのある最新鋭の魔導具を制作するクラウチ工房との出会いなど、にぎやかさに事欠かない龍の巣だが、実家に戻ったルークがS級冒険者に捕らえられたことを知りー。しかも差し向けたのは幼い頃からトリシアを嫌う彼の母親で…!?
古き良きあの頃の京都へーー 自立を目指す一人の青年の物語。 人々との交流をとおして変化していく心を瑞々しい筆致で描く。 一 銀閣寺道 白川女と二人暮らし (一)五十年前の記憶 (二)故郷を発って京都へ (三)日々の暮らし (四)白川女 (五)暗転 (六)幽霊 (七)白川女との再会 二 新京極 人形のあやべ (一)人形屋で働く (二)父と娘 (三)黄色の花と和紙作りの里 (四)心、揺さぶる (五)東京へ (六)京都から綾部、そして城崎温泉へ 三 京都下鴨 それぞれの物語 (一)六十五歳の同窓会 (二)その子のこと (三)夢の中 (四)退職記念講演会場で
ー働くとは。生きるとは。 1984年、バングラデシュ・ダッカ。 現地駐在員としてインフラ事業を担っていた片岡章二のもとに、ある日の午後、衝撃的な一報が届く。 バングラデシュ航空機がダッカ空港近くで墜落。住吉商事からの出張者二名が乗っていたらしい。 なぜ彼らは、「死にたくなければ乗るな」と警告されていたはずの“午後便”に乗ってしまったのか……。 彼らの行動の背景にあったのは、組織への厚い忠誠心だった。 実際に起きた航空事故をもとに、国境を越えて働くことの過酷さとロマン、そして“会社”という巨大な論理が個人の命を飲み込む不条理を描き出すノンフィクション小説。 ※この書籍は2021年に出版された『安息日は二度と来ない:ダッカ1984・航空機事故とある商社マンの葬送歌(レクイエム)』のリニューアル版です 目次 プロローグ 1 ネバー・オン・サンデー 2 ハンガー4 3 地獄の沙汰も金次第 4 火葬の村 5 深夜のスピークアップ 6 懲罰人事 7 肥溜め商社 8 社長のお忍び 9 男子単優勝 10 結論はUFO 11 自衛隊の手つなぎ鬼 12 ワシントンDCの桜 13 二度目の懲罰人事 エピローグ あとがき 著者プロフィール
異文化と欲望が交錯する、熱き商社マン小説ー。 40歳を迎えた総合商社マン・片岡章二は、キャリアの行き詰まりを抱えながら、インドネシア・中部ジャワの地に降り立つ。 任されたのは、大型発電所の設計から調達、建設までを一括で請け負うEPCプロジェクト。 国家間の利害、異文化の価値観、企業の思惑が交錯するなか、片岡は多くの葛藤と選択を迫られていく。 仲間への信頼と裏切り、家族との別れ、そして、責任の重さに打ちのめされながらも前に進む日々。 現場で起きるトラブルの数々と、交渉の駆け引きの末に彼がたどり着いた“答え”とはー。 世界を舞台に戦う商社マンのリアルとロマンを描いた、心揺さぶる本格ビジネス小説。 ※この書籍は2022年に出版された『商社マンたちの協奏曲ーー発電所EPCの男たち』のリニューアル版です。 目次 プロローグ 1 戸惑い 2 気付き 3 始まり 4 三銃士 5 強み 6 また一難 7 ホスピタリティ 8 バキバキ 9 紙 エピローグ エピローグ 1 エピローグ 2 著者略歴