著者 : ニリツ
大戦と禁酒法によって旧来の道徳が崩れ去ったその時代。非合法の運び屋シーモア・ロードのもとにある日持ち込まれた荷物は、人の血を吸って生きる正真正銘の怪物ー吸血鬼の少女であった。仕事上のトラブルから始まった吸血鬼ルーミー・スパイクとの慣れない同居生活。荒んだ街での問題だらけの運び屋業。そして、彼女を付け狙うマフィアの影。彼女の生きていける安全な場所を求めてあがく中で、居場所のないシーモアとルーミーはゆっくりと惹かれ合っていく。嘘と秘密を孕んだ空っぽの恋。けれど彼らには、そんなちっぽけな幸福で十分だった。人と人ならざる者との恋の果てに、血に汚れた選択が待ち受けているとしても。
この世界には、異世界の日本から『迷い人』がやってくる。だが、過去に迷い人の暴走が原因で世界的な大災害が起きたため、彼らは見つけ次第『処刑人』が殺す必要があった。そんななか、処刑人のメノウは、迷い人の少女アカリと出会う。躊躇なく冷徹に任務を遂行するメノウ。しかし、確実に殺したはずのアカリは、なぜか平然と復活してしまう。途方にくれたメノウは、不死身のアカリを殺しきる方法を探すため、彼女を騙してともに旅立つのだが…妙に懐いてくるアカリを前に、メノウの心は少しずつ揺らぎはじめる。-これは、彼女が彼女を殺す旅。第11回GA文庫大賞“大賞”受賞作品。
人形剣士ブレイスの次なる依頼、それは職人の街クオーヴルに迫る災厄の吹雪を止める為『吹雪の主』を倒すこと。だが、先の死闘でリネットの魔力が尽きて以降、ブレイスは満足に戦えずにいた。本来の力を取り戻すべくリネットを操る特訓を始めるが、なかなか思うように結果が出ない。そんな中、花火職人見習いのクロシェと出会う。彼女はある願いを胸に、花火の術を学びに来ていた。クロシェの願いが『吹雪の主』と結び付いていることに気づいたブレイスは更に特訓を熱を入れていく。しかし、未だリネットは思うように動いてはくれない。そして吹雪は無情にも街に迫りー。様々な思いが交錯する最優秀賞受賞の絆の物語、第二幕。
ロンドンの裏社会を牛耳るジョナサンと対立し、一度はすべてを失ったラザルス。だが賭博師としての矜持を奪われ、地の底を這いつくばったその先で、彼は自らが進むべき新たな境地へと辿り着く。再起したラザルスはフランセスにも勝利し、ジョナサンとの全面対決を掲げた。かつて帝都にいた友人たちが残した、ちっぽけな約束を守るためだけに。一方、ラザルスの無事に安堵したリーラだったが、彼女は故郷へ帰る為の乗船券を渡されたことに戸惑い、自分が主人に対して抱いていた想いに気付かされる。-『私は、ご主人様が好きです』そしてラザルスはリーラとの関係にひとつの答えを出すことに。二人の物語に訪れる結末は、果たして。
人形剣士ブレイスにはある疑いが掛けられている。奴は人形のリネットと共に魔獣を狩る独自の戦闘スタイルで名を馳せている…が、実はリネットが人間なのではないか、という疑いだ。本物の少女を操って戦っているのなら、それは攻撃魔法とされ重大な犯罪行為に値する。奴の悪行の証拠を掴むために私、ガルノー・ギルトフッド一等審問官は三ヶ月の間、監視任務に当たっていた。そんな中、世間を騒がせている「陽炎事件」の首謀者、幻術使いのバーズ捜索に同行することに。ブレイスの活躍もあり、事件は収束したがそれは、更なる陰謀の序章でもあったー。最優秀賞を受賞した、決して絶ち切れることがない、二人の絆の物語。第14回MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞受賞。
タビタを連れて現世へと帰るため、指輪の示す方向に向かうイオリたちは、海辺の村で新たな棄界人の少女カチヤと出会う。罪人たちに『聖なる島』を奪われ、現世人を憎んでいたカチヤだったが、なぜかイオリを巡ってタビタと決闘することになり!?さらに『聖なる島』には、タビタを狙う罪人たちが集結していたー。生きるための戦いを決意するイオリは“棄界”誕生の秘密を知ることになり…。少年は誰が為に決断を下すのか!
「美味しいご飯が作れるのは、いい嫁の条件なんだよ?」新たな街でイオリたちが出会った棄界人の姉妹・ハンネとマルテ。彼女たちへの対抗心からタビタはー「ん。夜這いする」イオリに積極的なアプローチを仕掛けてきて!?さらには王族の末裔を探し出すことを命じられた罪人のひとり、ケネスと再会したユーフェミアも、イオリの背負った罪の真相を知り、ある決意を胸に抱くことになり…。「穢れようが汚れようが生きてくれよ。胸を張って生きてくれ」交錯する感情。変わろうとする者たち。復讐と贖罪の想いがぶつかり合うとき、イオリたちが進むべき未来とはー!?
バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念ー。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが…。そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。
教祖カセロネスに率いられた、宗教団体ファミリア。その襲撃をなんとか退けた俺たちに、ようやく日常が戻ってきた。そして俺たちは、一週間限定の学生生活を送ることになる。だが、カセロネスの魔の手は、その間にも俺たちに迫っておりー。滅びを前に、神様にすがろうとする人たちを責める権利なんてない。恐怖は消えない。正しいことをやっているなんて自信もない。俺にできることはーただ、前に進む意志を持つだけ。大事な人たちを守るために、冷たい刃で敵と向き合うだけー。こんなにも優しくない世界に残された誇りと希望の物語ー第二弾!
「目のやり場に困ってるんだよ。それとも誘ってるのか?」上官殺しの罪で現世には二度と戻れないという絶対流刑の地『棄界』に送られた魔術猟兵のイオリ・ウィンウッドは、湖で溺れかけていたところを少女に救われる。獣の耳と尻尾を生やし身の丈ほどの大剣を持つ全裸の少女はタビタと名乗り、匂いを嗅いだりとイオリに興味津々で…。そして父親の仇であるイオリを殺すため自ら『棄界』に来た女騎士ユーフェミアも巻き込んで、タビタの地竜狩りを手伝うことになるのだが…。「イオリが行く所、私、行く」生きなければいけない呪いを背負った少年と、ケモノの少女が紡ぐサバイバルファンタジー!
「わたしがヴィクターを治してあげますからね…」エルフの奸計によって妖病が末期症状となったヴィクターは、肉体が悪魔化したままもとに戻ることができなくなっていた。クリミアとヴィクターは一縷の望みをかけて最後のガマエ研究者ジゼラ・モルガーニを訪ねるべく聖庁へと旅に出る。だが、ヴィクターとクリミアの聖庁への道のりは、血で血を洗う異能力戦の嵐が吹き荒れることとなるのだった。そして、ヴィクターの病状は時々刻々と増悪し、黙示録の悪魔としての覚醒は間近に迫っていたー。魔法医学の終焉をみせる第七集。
ノーマンズランドでの負傷も癒え、ようやく当初の目的地バースにやってきたラザルスとリーラ。村から付いてきた地主のエディスとメイドのフィリーも道連れに、気侭で怠惰な観光を洒落込むつもりだったが、一つ誤算があった。温泉とギャンブルが名物のこの街で目下勃発しているのは、賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争い。バースへの道中で出会った知人からは忠告を受けるも、時すでに遅し。温泉から宿に戻ってみると、部屋には荒らされた形跡。そして一人横たわる血まみれの少女。面倒事の匂いに辟易としながらもラザルスは彼女を保護する。それは、陰謀張り巡らされたバースにおける長い戦いの幕開けであった。
ガマエ研究者たちを巡るクリミアとヴィクターの旅は、魔境“魔魅の大苗床”と呼ばれる密林へと向かっていた。此度結成された探検隊と共に、最奥地に眠ると言われる大量のガマエを求める二人。だがその道中は激しい試練の連続である。次々と仲間たちを失いながらも辿り着いたエルフの里にて、彼らは世界の成り立ち、“黙示録の悪魔”、そしてガマエについての真実を知る。だがそれはクリミア、ヴィクターに降りかかる、最大の試練への予兆でしかなかった…。魔法医学の根底を揺らがす第6集。
武力闘争が続発し、各国が軍隊強化に奔走する世界で、人類は進化を遂げる。“命の固形化”。他者から命を奪い取り、時には己の命を兵器に変える能力を持つ者が現れた。その一人であるハイトは兵士養成機関で歴代最高成績を修めた「首席兵」。彼は戦争ですべてを奪われ、その復讐のため戦争国家への雇用を望んでいた。だが、兵士競売で世界最強軍事国家・マグナキアのツミビに競り勝ち、ハイトを落札したのは、非戦争国家・トラキアの女性国王・シンク。彼女はハイトを軍隊ではなく自衛力として迎えたいと告げる。戦わず、護る。二人の決意が新たな兵器を生み出し、戦争を、世界を変える!傑作王道ファンタジー開幕!!集英社ライトノベル新人賞特別賞受賞作。
奴隷の少女リーラの救出劇から一週間。賭場を負かし一人の女を守った代償はしかし大きかった。「負けない、勝たない」をモットーにしていたラザルスは賭場に出向くこともできなくなり、帝都を旅立つことを決める。それは、少しずつ心を開き始めたリーラを連れての道楽旅行になるはずだったが…。道中立ち寄った村でラザルスを待ち受けていたのは、さる事情で窮地にある地主の娘エディスからの突然の求婚だった。一方、リーラは二人のやりとりを覗いてしまい、自分はラザルスにとって不要なのではないかと想い悩み始める。「奴隷」である彼女が出した結論とはー。少女たちの想いを受け、やがてラザルスは危険なギャンブルに打って出る。
ー世界は終わってしまった。容赦なく終わってしまった。完璧に完全に徹頭徹尾終わってしまった。不自然に不可避に不可逆に終わってしまった。絶対に圧倒的にどうしようもなく終わってしまった。世界を世界と呼ぶ必要がなくなるほどに、終わってしまった。-それでも僕らはこの場所で、何かを信じてもがいてる。-惨めで弱くて矮小な、どこにでもいる“人間”として。これは、こんなにも優しくない世界に残された、誇りと希望の物語ー
「最高機密の情報が誰かの手によってハッキングされ、この学校に流された」私立聖果高校の全生徒&職員が体育館に集められる中、多くの刑事を従えて、雛森キョウコは驚くべき真実を語る。「まもなく地球の文明は消滅する。これが世間に知られればパニックだ。だから君らを生かしておくわけにはいかない」語り終えた雛森の合図で、短機関銃による斉射が始まった。閉鎖された体育館内は、たちまち地獄へと変わっていく。その中で、高校一年の赤咲カナミは、髑髏の面をかぶった男を目にするー。世界の終末に現れた男は果たして悪魔か、救世主か?
異世界へと転移した青年・ミチナガ。彼が指揮する部隊「チェックメイト」は、巧みな戦術・圧倒的な火力により大きな戦果をもたらし続け、さらに軍内での自由を獲得していく。一方で、彼らをこの異世界に投じた張本人の女神さまが、彼らの身勝手な行動にしびれを切らして下したある決断とは…?それぞれの想いと秘密が徐々に紐解かれる。運命に手を伸ばす、変革の第5巻!日本最大級のノベルコンテスト第3回なろうコン大賞金賞作品。