著者 : 入間人間
こんにちは! 私淫行教師の苺原樹! 十歳年下の教え子と関係を結んで平気な顔で教壇に立っているどうしようもないやつだよ! ……そう、私は教師失格で反社会的人物で犯罪者で、夫を裏切り幸せを噛みしめている最低の妻。それでも、後悔自体は一切ない。戸川さんに会ってから、私は私の望む道を選んだ。いずれ必ず訪れる破滅を前にしても、この子を守りたい、傷つけさせたくない。私以外のありとあらゆるものから、触れさせたくない。 --道を踏み外した理由は、好きな人ができたから。 欲望にまみれて破滅的で、でもどこまでも優しい。女教師と女子生徒の恋愛小説、第二弾。
もしも安達がわたしの先生だったら。 もしも安達が小説家だったら。 もしもあの時、体育館の二階に行かなかったら。 空想は置いておき、安達からお誘いが。 「う、海……は、広いね」 「いいよ。来週くらいに行こうか」 「来週、ですか……」 垂れ下がった耳と尻尾が見えるけど、こっちも色々準備が必要だ。お小遣いとか、水着とか。彼女に可愛いとこ見せたい気持ちはわたしだってあるのだ。……きゃー。
安達と暮らし始めてしばらく。近々わたしの誕生日だ。 「あ、チャイナドレスは禁止ね」 「えっ」 「あれはクリスマス用だから」 「そうだったんだ」 「そうなんですよ」 二人だけの行事が増えていくのは、そう、悪くない。 二人の日常のさらに日常。書き下ろし多数の短編集、第二弾。
苺原樹ーー年齢は二十代後半。既婚者。職業は高校教師。そんな私が、10歳年下の教え子の女子高生に手を出してしまった。 生徒の名前は戸川凛。私より背が高くて、温和でどこか幼くて、顔がいい。そしてとてもいい子。家庭環境に問題のあった彼女を気にかけているうちに、いつしかベッドの上で唇を重ねていた。 これは間違いなく裏切りで不倫で犯罪で。身の破滅を招き寄せる要素を、よくもこれだけ集めて。 --なぜこんなことになってしまったんだろう。 淫らで不貞で、でもどこかあたたかい。女教師と女子生徒の恋愛小説。
体育館の二階で出会って、美人だなーとは思っていた。同時にやつは、わたしの三倍ぐらい不良だなとも。 本人の柔らかい印象のせいだった気がする。最初に名前を聞いて、浮かんだ名前はひらがなだった。 卓球場から、マンションまで。女子高生からOLまで。サボり仲間から、恋人まで。長いようで短い二人の時間。そのこぼれ話を拾った書き下ろし多数の短編集。 同棲直前、安達母への挨拶の日を綴った中編『そして……』も収録。
「おかえり。仕事疲れたでしょ」 「うん。あ、でもしまむらの顔見たら疲れが吹っ飛んだ……みたいな……」 「ほーう。じゃ、元気なとこ見せて」 「え……。げ、げんきー」 こんな調子で、私たちはずっと続いていくんだろうなあ。たぶんおばあちゃんになっても。ひょっとすると三千七百年くらい経っても。 『安達としまむら』BD/DVD特典小説、イラスト付きで待望の文庫化!
「君を世界で一番×してる。……嘘だけど」 クラスメイトの御園マユ。まず第一に、とてつもなく美人。他人を寄せつけない孤高の存在。そして、これが大事なんだけど……実は僕の恋人。 --そう、表向きは。 最近、小学生の誘拐事件が街を騒がせているらしい。 僕はずっと不思議なんだ。マユ……いや、まーちゃん。 君はなぜあの子たちを誘拐したんだろう。 すべての読者を騙し、慟哭と衝撃の真実を突きつけるミステリーが、完全版で蘇る。 【本編の前日譚にあたる、書き下ろし掌編「追憶『あがいても、生きる』」も収録】
「というわけで、海の腹違いの姉でーす」 女子高生をたぶらかす魔性の和服女、陸中チキはそう言ってのけた。 姉妹だと知っていてお金で買っていたんだろうし、海は受け入れてシスコンまっしぐらだし。 これは、手遅れの初恋の物語だ。私と水池海。この不確かな繋がりの中で、私にできることはなにかあるのだろうか。 淡く、もつれた三角関係ガールズストーリー、ついに完結。
安達としまむら、二十二歳。私は今、真っ赤になった安達の右足を掴んで眺めていた。次はどこにキスするのがいいかな。なんでこんなことになってるんだっけ。夏の暑さで常識が脱水症状を起こしてるのかもしれない。…あ、旅行の計画を立てるはずだったんだ。「ところで、安達は旅行楽しみ?」「ほほふぇ?りょほー?」小学生、中学生、高校生。夏は毎年違う顔を見せる。こうして同じ人と、同じ時間を、二人で過ごしていたとしても。そんな、夏を巡る二人のお話。
水池さん。突然部屋に転がり込んできて、無口だけどやたら顔だけはよくて…そして、恐らくは私の初恋相手になった人。彼女はお金で買われていた。目の前で怪しい和服の女とキスをしていた。思考する間もなく、チキと名乗るその女は告げてくる。「じゃあ三人でホテル行く?女子会しましょう」私が?水池さんと、彼女と付き合っている女と?…地獄か?
うちに居候をすることになったのは、隣のクラスの女子だった。ある日いきなり母親と二人で家にやってきて、考えてること分からんし、そのくせ顔はやたら良くてなんかこう…気に食わん。お互い不干渉で、とは思うけどさ。あんた、たまに夜どこに出かけてんの?お母さんとあたしは昔から家と住む人がころころ変わり、今度の家は同じ学校の子がいた。料理を作ってもらって、家事も分担して、夜に出かけるあたしを気にしてくれて。でも、夜どこいってんのって言われても、なんて言えばいいんだろう。知り合いに会ってるだけなんだけど。ある日突然同居することになった女子高生二人の、淡くてもろいストーリー。
私は明日、この家を出ていく。しまむらと一緒に暮らすために。私もしまむらも、大人になっていた。「あーだち」跳ね起きる。「おぉでっ」派手に後退した私を見て、しまむらが目を丸くした。両手をおどけるように上げる。下りて目にかかる髪を払いながら、左右を見回して、ああそうだと理解していく。マンションに移り住んだのだった。二人きりなのか、これからずっと。「よ、よろしくお願いします」「こっちもいっぱいお願いしちゃうので、覚悟しといてね」私の世界はしまむらですべてが出来上がっていて、これからの未来になにも不安などないのだ。
山中の小屋で陶芸に勤しむ岩谷カナは、一年前に知り合った新城雅と、町でちょいちょい会っている。カナは雅に膝枕をして世間話をするだけで、なぜ会おうと言われるのかと思っていたが、ある日、雅がカナのもとを訪ねて来てー。実家のお茶屋を継いで、このまま一生を終えるのも悪くないと思っていた矢先、わたしの前に現れたのは姪だった。高校生で兄の娘。そんな女の子がわたしの彼女になって、一緒に過ごしていると、昔の知り合いを連想する。鳥のような、でも飛びもしないで走ってばかりいる鳥のような彼女のことをー。少女たちの鮮烈な想いが弾ける作品集。
安達と出会ってからの一年が割と濃いから、過去が遠くなっているのを感じる。良くも悪くも、安達は印象的なので他の記憶を上書きしてしまう。わたしはいつか、安達との過去だけで埋め尽くされるのかもしれない。私には思い出というものがおよそ欠けている。そして、私には今にしかしまむらがいない。少なくとも、今この時は。一年前はまだちゃんと覚えていて、そこにある。だから昔じゃない。私は、いつかしまむらと過去を過ごせるだろうか。安達と出会う前のしまむらと、しまむらと出会ってからの安達。少しずつ何かが変わっていく。そんなお話。特別編の第9巻。
『だってわたし、今、あなたのことが好きだもの』 それは何年ぶりの『出会い』だっただろうか。大学二年生となった沙弥香を慕う、一つ年下の後輩・枝元陽。 今まで沙弥香が好きになってきた人の誰からも遠いその雰囲気。眩しいくらい積極的に好意を伝えてくる陽に初めは警戒しながらも、やがて彼女からの気持ちに応えるように、沙弥香は恋の形を模索する。 ーー誰かに恋をする度、星に手を伸ばすようだった。とても綺麗で、ただ届かない。それでも。その星に触れてみたいと、今度こそ。 沙弥香の恋の物語、完結編。
近所に住む小五女子の城ヶ崎君は、朝から鯨を見に海へ行こうと誘ってくる、行動力だけで生きているような少女だ。そんな彼女に言われるがまま、一緒に海へ向かう高二のぼく。十一歳と十七歳、恋愛、どはないと思う。二人で過ごすいつもの夏の水曜日。こんな穏やかな日々がずっと続けばいいのにー。夏の朝、目が覚めたらいつものように鏡の前で情報整理。「海野幸、十七歳、性別女性、二年C組、両親は健在ー」顔にかかる髪を払い、ぼくを私に切り替える。曜日を確かめると水曜日。さぁ、今回も三日くらいがんばろうー。そして城ヶ崎さんは宣言する。「この世界を破壊したい」と。閉ざされた海辺の街で、ぼくと彼女は今日も出会う。
高校二年生の十月は修学旅行の季節らしい。となると班決めがあって、席を素早く立つ安達の姿が目に飛び込んで来る。 「なにかな足の速い安達」 「班は、一緒で」 「うん」 当然そうなるのだ。 ただ問題は、班を作るには五人必要ということだ。安達の性格からして、二人きりじゃないと不満だろうし、どうしたものか。 意識して準備する物もないし、二泊三日の旅行で私服が必要なわけもなく。流れるままに、ぱーっと、出たとこ勝負でいいかな。
もう人を好きになるなんてやめてしまおう。中学時代に経験した手痛い失恋から、そう心に決めていた沙弥香。しかし高校の入学式で初めて七海燈子の姿を見たその瞬間から、どうしようもなく燈子に惹かれていく。 同じクラスになり、一緒に生徒会にも所属し、やがて親友と呼べる仲にもなった。隣を歩み続ける中で、燈子の強さも弱さも知った。燈子のすべてを見て、一層好きになっていく。 でも、だからこそ。沙弥香はどうしても「好き」を伝えられない。待ちすぎて、恐れすぎて、一歩踏み出すことができなかった沙弥香の迷い、後悔、喪失ーー。 人を好きになるということを知ったのは、『彼女』と出会ってからだった。
理解でもなく、諦めでもなく、そこにあるのは自分への納得。 --私は、女の子に恋することしかできないんだって。 幼少時代から大人びていて、どこか達観した少女だった佐伯沙弥香。だが小学五年生の時に友達の女の子から自分へ向けられた感情に、彼女は答えを出せずにいた。 そして中学時代。仲の良かった先輩・千枝から恋心を打ち明けられた彼女は戸惑いながらも告白を受け入れ、次第に恋愛の深みにはまっていくが……。 ままならない想いに揺れ動く少女、佐伯沙弥香の恋を描くもうひとつのガールズストーリー。