著者 : 宝井理人
鎌倉山の片隅でひっそりと作家生活を送る湊柚琉は、今年も妹・和花と謎多き同居人の犀川さんの3人で母の墓参りに向かった。柚琉は人から人へと命を移す能力を持つ。29年前、生まれたばかりで死にかけた妹に母の命全てを移した。その結果、母は死んだ。あの時柚琉が和花に移した命は、あと何年残っているだろうか。不安を抱えていたある日、柚琉が帰宅すると和花が倒れていたー。静かな生活が変わろうとしている。誰よりも孤独で優しい死に神の選択。命をめぐる現代ファンタジー、ついに最終章!
鎌倉山の片隅に佇む「おやつ処みなと」に正月がやってきた。売れない小説家の柚琉は妹の和花やアイス作りの達人の犀川さん、腐れ縁たちに引っ張り出され、カルタに興じていた。そんな時ー。「湊柚琉さんですか?お願いがあるんです。どうしても、助けなきゃいけない人がいて」何かに導かれるように延命の依頼が舞い込む。しかもそのお客は、柚琉を指名してきた。命を“与える”死に神の存在と正体を、誰が教えたのか。さらに和花の幼い頃の秘密が明らかになり…。シリーズ待望の第2弾。
売れない小説家・柚琉が働く『おやつ処みなと』には「死に神」がいる。絶品アイスの作り手なのに極度の辛党の犀川さんだ。母が死んだ日に現れた犀川さんを死に神と呼んだのは、今は亡き祖父だった。あれ以来、死に神を訪ねて“お客”がやってくるようになった。自分の命と引き替えに母を助けたいとすがる女子高生。生き別れになった子どもと死ぬ前に一度でも会いたいと祈る父。人知れず代償を払い、彼ら“お客”の願いを叶える死に神。これは、鎌倉のおやつ処を舞台につないでいく、孤独な死に神の優しい物語。
東京谷中にある月影寺の奥に居を構え、居候・宇多蒼一郎と二匹の猫とともに暮らす白藤晴。小間物作りで細々と生計を立てる彼のもとに、大学時代の知人という美女が姿を現す。ワケありな過去を持つ彼女の登場に、晴の心は乱されていく…。そんな中、蒼一郎の姉の強引な「お願い」により、またしても骨董鑑定を引き受けることになる。だが、訪れた屋敷で、晴と蒼一郎はまたしても殺人事件に遭遇してしまう!しかも、屋敷に残されていた仏像は、晴の暗い過去に関係するいわくつきの品でー。