著者 : 桐矢隆
ある事情から悩みを抱えていた軍人・武豪(ウーハオ)は、『冥婚相談所』と象られた電飾が明滅するその店に入った。 煤けた店内の最奥にいたのは、白猫を撫でる胡散臭い道士服の男・白蘭(バイラン)。 「此れは此れは軍人様、今日は如何いたしましたか」 「私を助けてはくれないか。冥婚させられそうなのだ」 死者との婚姻・冥婚によって、様々な怪異が蔓延る雨の止まない都市・黄源城市の一画でーー。 生真面目な軍人と胡散臭げな道士が出会い、生者と死者を巡る物語が動き出す。 序 其の一 絶対に退院できない病院 其の二 何でも占いで決める村 其の三 十一日ごとに人が死ぬ家 其の四 不眠不休不老不死の軍人 其の五 失くした記憶と亡くした家族 終
「紅霞後宮物語」の名脇役たちにも唯一無二の人生があった。 死を目前にした賢恭の病床に現れた清喜は、彼と過去を語り合う。 清喜は幼い頃の自分は根暗だったと言い……。(「清喜と賢恭」) 後宮の重鎮、梅花と麗丹の初対面は険悪なものだった。梅花の知られざる過去も明らかになる。(「梅花と麗丹」) さらに後宮を出た後の小玉のもとに、あの人が尋ねてくる。そして迎えた本当の結末とはーー。 大人気シリーズ「紅霞後宮物語」名脇役たちの物語と最高の幕引きを含む、珠玉の短編集。 ・清喜と賢恭 ・梅花と麗丹 ・ぶん(雨冠に「文」)凰と明慧 ・小玉と後宮
将軍となった小玉は、初日から書類仕事に忙殺されていた。信頼できる部下に恵まれ、女性初の将軍となり、しみじみ思うのは「嫁き遅れた」ということ。 そんな折、小玉と文林、ふたりとも結婚適齢期を過ぎて相手がいなかったら結婚しようか、という話になる。「きっと楽しいわよ」と笑い合ったその時は、文林が皇帝になるなどと、誰も思っていなかった。 世継ぎとして発表された文林の名前を見て、小玉は驚くが…… 「紅霞後宮物語」秘められた前日譚のすべてが、ついに明かされる!
あれから七年。小玉が養育する令月は七歳になった。 紆余曲折はあったものの小玉は皇后となり、文林と穏やかに年を重ね、円熟した夫婦関係を築いていた。 その反面、激務の重なる文林には確実に老いの陰が迫っていた。 そして迎える文林の死ーー 世代はめぐり、すべては然るべき姿へと変わっていく。 「母后陛下。あなたはもとより、自分勝手な方ではありませんか」 女たちが選ぶ道はどこに続いていたのか。 後宮大河物語、堂々完結! 紅霞後宮物語 あとがき
仙娥の娘を託された小玉は人手の少ない後宮で育児に奮闘していた。それと同時に、はじめての「家族」の穏やかな時間を手に入れる。さらに清喜や綵も戻ってきて、後宮に新しい風が吹きはじめーー。
腹心の部下を亡くした小玉は都に戻り、つかの間の平和なときを過ごしていた。丙との時間を大切にし、明慧と麺屋へ行き、書類仕事に明け暮れる。しかしそれは、嵐の前の静けさに過ぎなかったーー。
仙娥によって後宮の最下層・冷宮に落とされた小玉。粗末な衣で下働きする辛い環境に落ち込んで……はおらず、かなり生き生きと生活していた。さらにそこで不正が行われているかもしれないという話を聞いてーー?
仙娥の懐妊が分かり、後宮は慌ただしい雰囲気に包まれる。そんな中、紅霞宮は小玉はじめ女官たちも謎の体調不良で療養地に赴くことに。しかし距離が離れている間、確実に小玉と文林の間の溝は深まっていきーー。
幼き日、老婆から告げられた小玉の未来。それは着実に現実のものになっていると兄嫁は感じていた。しかし、予言には出てこなかった男・周文林の存在が気にかかる。この男が、小玉を不幸にするのではないかーー?
後宮に新たな妃嬪を迎えることになった。しかし後宮入り直前に亡くなってしまった本人に代わり、入ってきたのは腹違いの妹・仙娥。小玉に対し率直に文林の渡りを希望する仙娥の出現で、後宮の思惑は入り乱れーー。
敵対する司馬氏は消えたが、梅花がいなくなったことで後宮の規律は乱れ、小玉の負担は増大していた。真桂と紅燕が小玉を支えるが、反小玉の動きを見せる妃嬪も出てきている。そんな中、鳳に関するある噂が届きーー?
異動、昇進、出征と、小玉の環境は目まぐるしく変化していく。さらに兄の死、初恋の人との再会……。そんな中、指揮官と副官として小玉と文林の関係は良好になっていた。しかし、予想外の事故が起こってしまいーー?
怪我に倒れた小玉に代わり、戦場では賢恭が軍を率いていた。宸にも小玉の負傷、樹華の訃報が届き、後宮は揺れる。文林の命により自身の失態の原因を突き止めようとした梅花は、さらなる闇に真実を見つけてしまいーー
寛と康、二国との戦いを強いられることになった小玉は、元寛の武官であった樹華と共に戦場で開戦を待っていた。一方宸では小玉の無事を祈る真桂らとは別に、雅媛、梅花、そして司馬淑妃が動き出そうとしていてーー。
軍人として覚悟を決めた小玉は、異例の速度で昇進し、二十歳にして校尉となっていた。そんな小玉のもとに、眉目秀麗にして武科挙に合格した英才が配属される。三歳年下のその男・文林は、何かと小玉と衝突してーー?
寛への使者に選ばれたのは、小玉ではなく班将軍だった。小玉に名誉を与えたいと思う反面、戦場という死地へ送ることに躊躇いを覚えはじめた文林。一方の小玉も、自分らしくないと感じつつも心を持て余していてーー。
湖西の騒動は収まったものの、事後処理に追われる文林。疲れを癒やしてくれるのは小玉……と思ったら、小玉に不義疑惑が浮上! 司馬淑妃の父・司馬尚書の謀略か? 文林と小玉の関係も否応なしに動き出しーー!?
関小玉。希代の天才と呼ばれた軍人であり、後に神格化された皇后である。しかし、後宮に入る以前の彼女の記録は少ない。どのように生きて軍人となり、皇帝と出逢ったのか。彼女の伝説のはじまりを語るとしようーー
明慧の葬儀も終わり、無情にも日常が戻ってきた。悲しみの冬が過ぎ、春が訪れようとする頃、文林は一冊の帳簿を小玉に示す。帳簿に不自然に出てくる「維山」という地名。それが鄒王の死、さらには明慧の死につながるものだと見た文林は、現地調査を小玉に託す。 小玉は皇后の行啓として維山に向かい、維山に入ると陳校尉として調査を開始するのだが、街の様子に違和感を感じてーー? --このままでは終わらせない。終わらせてなるものか。関小玉、伝説に残る覚悟の戦い。