出版社 : 小学館
半世紀前の世界的ウイルス汚染により、人類の99パーセントが死滅した2077年の日本。コロニーと化した調布新町を守る「特進種」のひとり、久坂ユーキは二子玉川の鉄橋の上で異能の少年と刃を交える。彼は不死身の力をもつ特進種だった。青年を配下としたユーキは、物資採集のキャラバンに同道する。一方、姫路コロニーより遠征してきた鳥辺野ミゲル率いる鳥辺野大隊は、澁澤美歌子の命により、ユーキを探していたー。荒廃した東京で、幻想と退廃の戦記が幕を開ける!犬村小六オリジナルデビュー作。
千年を生きる鬼・戸倉聖と志島弓生ー彼ら二人を中心に、登場人物それぞれの生き様を鮮やかに映した「封殺鬼」が、装いも新たに登場!今回の舞台は社会情勢が不安定でオカルトブームが起き、奇妙な人食い事件にも揺れている、昭和初頭の東京。表の陰陽師が捨てた「力」の系譜を継ぐ裏の陰陽師にして若干十歳で当主となった美少女で「鬼使い」神島桐子が中学生だった頃の物語を描く新章が、ついに幕を開ける。
18歳で父を倒しアジェンセン公国の大公となったルシードは、かつて人質として子供時代を過ごしたパルメニア王国から、愛する美しい王女メリルローズを妃に迎えた。ところが、パルメニアがよこしたのは彼女そっくりの身代わりの少女ジルだった!しかし、ある事情からルシードはジルを大公妃とするのだが…!?華やかなロ・アンジェリー城を舞台に、恋と野望の王宮ロマンのはじまりはじまり。
明るい愛鈴は帝たちのために舞う妓女見習い。不作の年に家族の生活を助けるため売られてきた。月の輝くある夜、太子殿下の慧俊に出会う。慧俊は帝の後継者争いに巻き込まれていて。一方愛鈴は、貴族出身の妓女仲間にこき使われる毎日。そんな二人はやがて運命の激流に巻き込まれていく。愛鈴が幻の舞『雪月梅花』を慧俊のために舞ったそのとき…!!ときめきのドラマチック・ロマンファンタジー。
〓御霊剣(ふつのみたまのつるぎ)を手に入れることに成功したのも束の間、弓生と聖は天狗によって囚われてしまう。四天鬼を使って二人を救出しようと試みる成樹。だが天津甕星の出現は、刻々とせまっていた…。それぞれの決意を胸に、戦いの場に臨む『本家』の次期当主たち。星神を封じるべく、果たして二人の鬼たちは、神剣を鹿島へ運ぶことができるのか。そして、神と人間との壮絶な戦いの結末は…!?-十一年に及ぶロングシリーズ、ついに感動のフィナーレ。
「俺たちが出会ったのは、-あれは神だ」星神と反目する、柿色をまとう異形の存在。その正体は須佐之男命であった。天津甕星を封じるため、神剣を奪うべく『本家』はついに石上神宮への奇襲を決行する。だがそこには、高良の内通によって事態を知った中央の策略があった。神の剣をめぐって、石上の地で『本家』と中央の戦いの火蓋が切って落とされる。果たして、『本家』は神剣を手に入れることができるのか。そして、二人の鬼の運命は-。
「おまえは人を滅ぼしたいか。それとも生かしたいか」柿色の異形は弓生に問う。それは鬼として生き長らえてきた彼に、ある重大な選択をせまるものだった。自分が何を為すべきかを知るために、弓生は奈良の箸墓へと向かう。同じ頃、三吾は同盟の地である東北を訪れていた。天津甕星がなぜ悪神として天を追放されたのか、神話には語られぬ、その謎を解くために…。神との戦いにのぞむべく結束した『本家』の次期当主たちと二人の鬼。果たして、彼らに勝算はあるのか。
地上に破滅をもたらす凶星の正体は天津甕星-天津神でありながら、かつて天を追われた星神であった。神との戦いを目前にして『本家』に戻った二人の鬼たちだったが、弓生は依然として人間への不信を募らせる。一方で神島、御景、秋川の三つの家も互いの溝を深めたまま、人々の絆はもはや失われたかに見えたその時、死の床にあった神島家当主、隆仁の最後の命令が下った。二人の鬼と『本家』の行く末までも大きく揺るがすこととなる、その決断とは!?鬼つかいの死は果たして人々に何をもたらすのか-。
新宿の上空で太陽が消えはじめた…!凶星の禍が地に降る時、この街が死者の異界-黄泉と化す。災禍の中心にいるのはみずからの血で妖魔を呼び寄せる能力を持った少女、相原理緒。天狗の罠に陥り捕らえられた成樹は、事態を食い止めるべく彼女のもとに急ぐのだが-。時同じくして、それぞれの思惑を胸に新宿に集結した『本家』と中央の術者たち。成樹を追って異界に足を踏み入れた弓生と聖、三吾、佐穂子たちが知った、凶星の真の姿とは。
「今日かぎり私は秋川とは関係ない。秋川を捨てるわ」『本家』の内部分裂の危機に、あくまで中立の立場を貫こうとする秋川家は、鬼の使役権をみずから放棄した。弓生と聖、二人の使役鬼の身にふりかかった危難を知って、佐穂子は秋川を出る決意をする。二人を救うべく、盟約の地である鬼無里に向かった佐穂子であったが…。同じ頃、鹿島での事件を知った成樹もまた、四天鬼を使って二人の行方を追っていた。だが鬼たちの居場所を探り当てることに成功したのも束の間、暴走した四天鬼のせいで事態は思いがけない方向に-。
夜刀神に取り憑かれ、中央の術者を殺してしまった聖。ついに人間から追われる身となった二人の鬼を匿ったのは、星見の能力者、高良であった。一方、使役鬼の処分をめぐって、『本家』の三つの家は完全な分裂状態に陥る。対立する神島と御景。中央とともに鬼を抹殺すべしとする兄、真巳の思惑を知って、三吾は友を救えぬ自分の立場に思い悩むのだが…!?逃亡する弓生と聖に果して活路はあるのか。そして、すべての鍵をにぎる柿色の衣をまとう鬼の正体とは、一体-。
茨城県、鹿島。-大地を震わせ万物の生命を育む東方木気の地は、いまだ霊力を回復する兆しがない。その切迫した状況に、ついに中央は使役鬼を派遣するよう、『本家』に申し出た。鹿島神宮に赴いた弓生と聖は、そこで起こった怪異を目の当たりにする。湿地と化した境内、蠢く蛇の群れ、散乱する魚の死骸…。そしてついに、かつて抹殺された神が人々の前に姿をあらわした-!まつろわぬものたちの怨念こもる茨城の地で、二人の鬼を待ちうけていた運命とは…。
十二月。諏訪、遠野、鹿島に続き、四番目の気の要の地、熊野-南方火気が崩壊した。天狗はついに『本家』の主家たる神島への攻撃を開始する。異界に捕われ、妖気に身を蝕まれてゆく達彦。しかしなぜか彼は外部からの救援の手を一切拒絶し、ただ一人で敵と対峙することを三吾に告げるのだった。一方、聖は成樹につきまとっていた天狗の黒月と接触し、庄間の配下にいるのが、人間から異形に突然変異した白狼と呼ばれる子供たちであることを知るのだが…。
紅葉は鬼女なんかじゃない。鬼無里の鬼女は故郷を愛し、この地の災厄を祓うために甦る。そのことを知った佐穂子は、ついに地元の柵一族と手を結び、紅葉を守ることを決意した。だが安堵する間もなく、荒倉山で中央の送り込んだ術者が惨殺されるという事件が起こる。天狗に操られるお万の仕業であった。人々の想いと願いが交錯する中、すべての対立を終わらせるために、神島の協力を得て秋川が大胆にも中央に仕掛けた計略とは…!?怒濤のクライマックス。
東北地方の山あいに、世を捨て、自給自足の平和な生活を営む『緑の矢』という共同体があった。指導者・四条隆之には二人の養子がおり、響は武術に秀で、16歳の紗矢は、植物の生育を促し守護するという特殊な能力ゆえに、共同体の実質的な中心人物でもあった。だがある年、山ひとつ隔てた里に、巨大な白亜の建物ができた。「自己啓発」の研究で名を成した緒方柊一のセミナーのための物で、若者たちが大勢集まってくるが、洗脳された彼らによって『緑の矢』は襲撃され、紗矢が連れ去られてしまう-緒方の悪魔的な野望のために。
「争いたくなければ鬼無里から手を引け。二度と我々に干渉はするな」和解を申し入れた秋川に対しての、それが柵の返答だった。両者の話し合いが決裂したかに見えたまさにその時、天狗の罠が動き出す。-柵一族の拠点である一夜山に、火がかけられたのだ!庄間一哉が柵の者たちまでも操っていたことを知り、弓生と聖は一夜山へ急ぐ。一方、鬼無里の鬼女を封じるか否か未だ決断がつかないまま、佐穂子は炎と襲撃者の手から紅葉を救うべく結界の社へと向かったが-。
鬼無里の鬼が目覚める。天狗の真意も知れぬまま、失踪した佐穂子の行方を追って、弓生と聖は長野へと向った。現地で彼らが見たものは、怨みゆえに甦り、襲撃を繰り返す一人の鬼女。だがその正体は、伝説の鬼女紅葉ではなかった…!一方、「柵の一族」と名乗るイズナ使いたちに囚われていた佐穂子は、次第に困惑を深めていく。「どうして紅葉は、私をここに呼んだの?」鬼無里の鬼女は果たして本当に敵なのか。そして、佐穂子をこの地に導いた庄間一哉の思惑とは。
時は平安末期、鳥羽法皇の院政時代。乱の悪い予感をはらむ京の都に、『影喰らい』と呼ばれる化け物が出現した。安倍に仕える二人の鬼、高遠と鬼同丸は陰陽師・安倍泰親とともに調伏に乗り出すが…。夜な夜な人を襲ってはその影を喰らう、化け物の正体とは?そして崩壊してゆく貴族の世に鬼たちが見たものは-。また、人がまだ、妖怪たちを恐れながらも、愛していた明治時代を舞台にした『幻戯師』を同時収録。弓生と聖とゆかいな妖怪たちの交流を通して、現代の世相をも痛烈に皮肉った逸品。読ませます。
マヨイガ-「一伏」が早池峰山に封じた異界の消滅によって、遠野の異変は最悪の事態を免れた。しかし執拗に巡らされた敵の奸計は、遠野にあらたな火種をまく。『本家』神島が北方水気を攻略するため、自分たちと手を結ぶか中央の侵出を許すかの選択を東北側にせまってきたのだ。「東北と『本家』が決裂すれば、敵の罠にはまる」弓生が呟いた時、進退窮まった東北側にあって、昆が下した決断とは何か。そして、羅〓の名のもとに暗躍する真の敵の正体とは、いったい-。