出版社 : 小学館
明治33(1900)年、帝都・東京-。紳士淑女が夜ごとに集い、華やかな舞踏会が繰り広げられた、いわゆる“鹿鳴館時代”は終わりを告げ、鹿鳴館は華族会館として民間に払い下げられていた。-その鹿鳴館に、幽霊が出るという。後の世に、文豪と呼ばれることになる泉鏡花は、自分の担当編集者である香月真澄が持ち込んだその話に、ふと興味を持った。その幽霊は、美しいドレスに身を抱んだ、絶世の美女だという。美しいものに目がなく、多少奇癖があった鏡花が、その博覧強記で、幽霊に挑むが…。天才作家の、幽霊退治の結末は。
“本家”御景家の術者四名による、岩手県・遠野での殺人事件は謎だらけだ。御景家の次期当主野坂三吾は、その謎を探るうち、当の御景家の術者から攻撃をうけた。その攻撃は、単なる陰陽師とは思えない程激しいもので、三吾は志島弓生に助けられる。が、その時弓生は、ささいな傷をうけ、傷は何者かの呪によったもので、弓生を苦しめる。執拗に弓生を襲う何者かに、弓生は最後の反撃を試みるが、と同時に古い結界が張られた早池峰山の異界へと迷い込む。そこには美しい、不思議な少女がいて弓生を介抱してくれるのだが…。そこはいったい…。
“天使になりたい”。謎の言葉を残して、一人の少女が転落死した。警察は自殺と断定したが、少女の兄で文化人類学者の保科芳邦はどうしても納得できず、独自に調査を始める。少女・麻衣子の鞄から出てきた一枚の診察券。芳香治療室『セラフィム』。そこには“香り”で人間の精神と肉体を操る美しい少年、千堂美秋がいた。保科は次第に美秋に惹かれてゆく。その頃、都内で少女たちの謎の転落死があいつぐ。少女たちの死には何が隠されているのか?保科と美秋の恋の行方は?東京を舞台にエロスの香りいっぱいのラブ・サスペンス。
夏休みに入って、三雲隼人は、ある夢を頻繁に見ていた。諏訪伝承にある龍神・甲賀三郎が出てきて、石守とふたりの姫を連れて自分の元へ来い、というような内容の夢だ。どうやら聖剣に宿る春日姫と竜田姫は、三郎の地上と地下の妻だったらしい。謎の忍者部隊は、諏訪湖付近に地殻の亀裂があることに目をつけ、三柱の神の力を使って日本を分断しようともくろんでいた。そんななか、女神降臨剣が敵の手に!隼人たちは敵地に乗り込み、戦いが始まった…。
岩手県・遠野。霊峰早池峰山の麓に広がるこの盆地は、怪異と幻想の伝説を生み出して、今は民話の里と呼ばれる。その、心豊かな土地で、異変が起きた。独立心の強い東北地方の陰陽師たちとの折衝要員として送り込まれた、四国・御景家の術者四名が、現地の人間を殺し行方をくらませたというのだ。-何か変だ。心に漣を感じた次期御景家当主の野坂三吾は、急遽遠野へと飛んだ。そして又、神島家の命令を受けた志島弓生も遠野へ。事件の真相は一体何か。聖も巻き込んで、千年鬼の壮大な物語が再び開始される。
あまりにも激しい愛は、時として人を狂わす。そして、愛する相手の肉を喰らい、鬼と化す-。明治の帝都・東京。文明開花を謳歌するこの都で、夜な夜な起こる連続猟奇殺人事件は、人々を恐怖のどん底におとし入れた。新米編集者の香月真澄は、当時、天才と謳われた人気作家、泉鏡花の担当となった。ハンサムだが、一風かわったこの天才作家は、どうやら“物の怪”が見えるらしい。二人は事件に興味を抱くが、その背後には、哀しい愛の物語があった-。文豪・泉鏡花が物の怪探偵として登場、名推理が冴え渡る。
葉守フローラルアートスクールの伝統科師範・桂川薫の元へ、映画監督の南野大が“陰流”の仕事を依頼しにきた。二枚目俳優・隼康太郎主演映画のマスコット的キャラクターとして、康太郎の娘・桜子を起用するのだが、彼女は、昔起きた火災のショックによる記憶喪失で、片言の言葉しか話せないという。やがて、桜子は断片的に記憶を取り戻していくが、それは映画のスタッフの何人かにとって、まずい記憶がまざっていた。そして、それは殺人事件へと発展して…。-人媒花が活躍する傑作ミステリー、第2弾。
時を経て、たくましく成長し『蒼の王子』と呼ばれるようになったフェランは、敵国バハウ帝国から、故国エルミネールを奪還。念願を果たした。そして、いよいよ、隣国リンバーグ皇国の姫君リュキア皇姫が、フェランの花嫁となるため、エルミネールへとやって来た。しかしフェランは、国境に押し寄せたバハウ軍を迎え撃つために出陣。だが、なぜかあっさりと退くバハウ軍。帰還したフェランは、リュキアと喜びの時を過ごす。だが、その幸せな時の陰で、世界は、大きく変わろうとしていた-。
地獄の関東大震災から3年後。大正15年。神島桐子は、先代の神島家の当主、兄史人の急死をうけて神島家の当主となった。桐子、わずかに10歳。神島家の使役鬼たる弓生と聖は、桐子の術修業を助けるべく東京にいた。だが、術修業とは名ばかりで、実は中央の術者を呪詛するためであった。命じたのは、桐子の後見役を任じる狩間久義。中央の術者の一部が体制の転覆を謀っているのだという。その数13名。-しかし、事の成り行きに胡散臭いものを感じた弓生と聖は、その背後にあるものを探り出しにかかるが…。感動の名作、後編。
大正15年。神島桐子は、わずか10歳にして、陰陽師の「本家」の一つ神島家の当主となった。帝都東京-。大正12年9月1日に、突如として出現したこの世の地獄、関東大震災から、人々はようやく立ち上がり、街は復興に沸きかえっていた。弓生と聖は、そんな帝都にいた。桐子の術修行を助けるためである。折も折、帝都には幼い少女ばかりを狙う妖怪が出現、街には不穏な空気が流れていた。桐子と弓生、聖の三人は、妖怪退治に乗り出すが…。
武勇の誉れも高いが、酒豪の誉れも高い範国白虎将軍ジョセフィーヌ・飛だが、このところ元気がない。というのも、彼女は今、何者かに命を狙われており、そいつに雇われたモーリス・爬とかいう死霊使いが操る死霊に日夜、悩まされているからだ。悪霊祓いで有名なオーギュスト・慈老師や、その弟子エイミーの助けを得て、一旦は、死霊を退散させたが、元凶を倒さない限り、この悪夢から逃れる術はない。おまけに、慈老師からは、飲酒を固く禁じられてしまった。禁酒してから49日。「酒が飲みた〜い」叫ぶ白虎将軍なのだが…。
時は巡り、時は満ち、今や若き天才武将、「蒼の王子」と謳われるまでに成長したフェランは、遂に憎き敵国バハウ帝国から、故国エルミネールを奪還した。しかし、それは、ひとえにフェランの参謀として味方してくれた翼人・アルジェリックのおかげでもあった。そして兄ジークが、隣国リンバーグ皇国に幽閉されてまで、フェランをかばった結果でもあった。フェランは、ジークを平和裡に返してもらうべく、リンバーグに使節団を派遣するが、リンバーグの返答はつれないもの。又、魔法神殿の怪しい動きは、フェランを苦しめる基となるが…。
1学期の終業式の日。三雲隼人のクラスに転校生がやってきた。が、隼人は、彼に殺気めいたものを感じた。同じ忍者の“匂い”がするのだ。さては、女神降臨剣を狙っている敵なのか…。突然、隼人の所へ父・雷蔵が現れた。忍者装束の一団と人面をもった黒い獣によって、甲賀の里が襲われたという。早速、隼人は、両親と共に甲賀へ向かった。甲賀では、雷蔵の父で総領である佐武郎が、誰に次期総領を指名するかでもめている最中でだった…。
天界を追われた皇子・鼓童の冒険ファンタジー。躍童の謀略によって皇位継承権の争いに敗れた鼓童は、天界を追われることに。なんとかして反旗を翻そうと策を練っているところを、紅珠児という娘に助けられて…。
かつて、千年もの昔。“雷電”と称した弓生が、師とも神とも崇めた安倍清明を殺した蘆屋道満。九天地会の知徳こそ、道満が甦った姿だった。-人も世も、もう二度と呪ってはならぬ。怨鬼にはなるな-と弓生に誓わせた清明。知徳の正体に気づいた弓生だが、道満への怨みと、清明との約束の板挟みで悩み続ける。それを見た聖は、ひそかに道満を自分の手で殺すことを決意する。しかし“本家・神島”から届いた指命は、道満を生け捕りにすることだった。妖気満ちる東京を舞台に、ドラマはますます白熱。大人気シリーズの第5巻登場。