制作・出演 : ウィリアム・クリスティ
フォン・オッターが、バッハのアリア集『バック・トゥ・バッハ』の次にクリスティと組んでフランス・バロックに取り組んだ一作。シャルパンティエ、ラモーのオペラに、ランベールの世俗歌曲も収録した魅力的なラインナップだ。
急遽代役で出演したグラインドボーン音楽祭の「ジュリアス・シーザー」でブレイクし、スター街道をまっしぐらに驀進する、歌って踊れる美貌のソプラノ、ドゥ・ニーズ。クリスティの軽快な伴奏に乗った1曲目をひとたび耳にすれば誰もが彼女の虜になることだろう。
躍動感に満ちたレザール・フロリサンの響きが流れ出すと思わず喜色満面となる。クリスティの明晰な指揮のもとパドモアを始めとする芸達者が繰り広げるドラマに息をつく暇もない。ラモーの秘曲『ゾロアストル』の魅力を余すところ無く引き出した名演である。
練達のバロック・ヴァイオリン奏者がソロとしての本領を遂に発揮した文字通りの入魂作。英仏の著名アンサンブルでリーダーを歴任、近年はクリスティの下でレザール・フロリサンを率いてきた。気心の知れた両者の真剣勝負は疎かには聴き流せない迫真力だ。★
今やベルリン・フィルの指揮台にも立つクリスティの2003年の来日を記念してのベスト盤。モンテヴェルディからモーツァルトまでを集めた目配りの利いた選曲で、アグニューやジャンス、デセイのソロも聴けるなど、多彩で雅趣の香ただよう彼らの魅力を盛り沢山に収録。
ロレーヌ公の宮廷楽長を務めたが、今では滅多に演奏されることのないデマレの作品をクリスティが蘇らせた。このCDでは「グラン・モテ(ロレーヌの大モテット)」がとり上げられている。
フランス・バロック期最大の作曲家ラモーは数多くのオペラ・バレエを残した。このCDでは「ゼフィール」と「花飾り」が、スペシャリスト、クリスティによって再現される(ともに世界初録音)。
どんな楽器もおよばない人の声のぬくもりは、ゆったりしたひとときを“しみじみ”とすごすのにぴったり。有名な合唱曲や宗教曲から、歌声と旋律の美しいおなじみの名曲を選りすぐって1枚に。
仏バロック音楽の権威・クリスティによる古典派作品の初録音。場面によって表情を鮮やかに変化させるが、安易に過激な表現に走らない。よく考えられた秀演だ。特に透明で柔らかな響きと滑らかな流れが産み出す優美さが印象的。ジュシュマイヤー版使用。
手兵のグループ名に「花咲ける芸術」(レザール・フロリサン)を戴くほどの共感を示すクリスティ。彼こそ高雅で優美なシャルパンティエの真髄を伝えるには最高の解釈者だ。ここ20年間に演奏技術も長足の進歩を遂げ、素晴らしい名盤がここに誕生した。
モンテヴェルディと同時期に活躍した人。歴史の転換期なだけに、新旧の様式を最後まで並行して使っている。モンテヴェルディほどドラマティックじゃないが、繊細で美しい音楽だ。それだけに、澄明なアンサンブル、きめこまかな装飾音も非常に効果的だ。