制作・出演 : エフゲニー・スヴェトラーノフ
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キングレコード株式会社いくぶんゆったりとしたテンポで濃密に歌わせ、すさまじいアタックでたたみかける。比較的淡泊な演奏のN響が、スヴェトラーノフのタクトにグイグイと引きずられ、これほど濃厚な表現をするのか。あらためてスヴェトラーノフの力量を思い知らされる。
N響からこれだけ厚みのある音響と彫りの深い表現を引き出した指揮者はかつてあっただろうか? オケの奏者一人ひとりの熱のこもった表現や、一体化したアンサンブルの気迫がヒシと伝わる。スヴェトラーノフの強力な牽引力を痛感させる濃密にして感動的なブラームスだ。
チャイコフスキーの音楽がどうのこうのと言う前に、このように隈なくオケを掌握し、驚異的な精度で鳴らすことができ、そして楽員を自然に音楽に熱中させる。こんなことが可能というだけでも、あまたの指揮者とは格が違うことを感じさせる。驚いた!★
嗚呼、これがロシアのオケ、スヴェトラーノフなのか! 腹の底にズンと響くフォルテシモの豪快さ、次第にヒートアップするテンポに食いついていく痛快なまでのヴィルティオジティ、それでいてしつこさがなくどこかあか抜けた印象がある。久々に心揺さぶられる第5を聴いた。
2002年5月に亡くなったスヴェトラーノフの追悼盤。この録音は彼のボロディン全集としては2度目となる。このコンビならではの重厚な弦楽器群と、豪放に鳴らしまくる金管群やティンパニ、デュナーミクの広さからくる壮大さにはやはり圧倒されること請け合い。
国内初発売で、奇しくも追悼盤となった。洗練された録音のせいもあるだろう、適度にロシアの土臭さが感じられ、全体的には非常にかっちりとした格調の高いできばえである。今後はあまり手のつけられないと思われるレパートリーなので、貴重なセット。
NHK交響楽団の伝説的ライヴのCD化。ロシアの名指揮者スヴェトラーノフは、近年しばしばN響に客演しているが、これは99年の演奏。珍しいカリンニコフの交響曲第1番は貴重な録音だ。