制作・出演 : エレーヌ・グリモー
最高の音で楽しむために!
ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章のテーマを基にしたコリリアーノやバッハの引用があるペルトなど、DG移籍第1弾にあたるグリモーのアルバムは、かなりユニークな選曲になっている。「テンペスト」は、自由な息づかいと力強さを兼ね備えた演奏だ。★
ブラームスの最後のピアノ曲を集めたのはまだうら若いグリモー。緻密だがどこか無骨なイメージを、この演奏は吹き飛ばしてしまう。ひとつひとつのパッセージを豊かな歌心で大切に奏することを積み上げて作り上げる、大きな音楽。グリモーの真骨頂が聴ける。
グリモーの変貌に驚く。そして、ザンデルリンク指揮ベルリン・シュターツカペレの素晴らしさにあらためて驚く。順番はどちらでもいいが、愛すべきディスクだ。雄渾な演奏で詩情にも事欠かない。彼女も新境地を開拓しているが、何よりも共演者に恵まれた。
デンオンからルックス重視でデビューしたグリモーが、心機一転、エラートから本格再デビューの第1弾となった録音がこれ。当然力の入った演奏だが、力んでいるのは聴き手の方で、演奏は軽快にして才気あふれる。「ブルレスケ」ではジンマンの絡みも聴きものだ。
フランスが生んだ天才女流ピアニストがラフマニノフ2番を再録音。アシュケナージ&フィルハーモニア管の好サポートを得て、深いロマンを感じさせる円熟の演奏を聴かせている。
68年生まれのフランス女流ピアニストのテルデック移籍第1弾。甘口の印象で語られることの多い彼女だが、今作では硬派でドイツ的ともいえるベートーヴェン演奏を披露している。
ジャズ・テイストのピアノ協奏曲が集められているが、グリモーの演奏は洗練された味わい。ラヴェルの第2楽章のつぶやくような演奏が特にいい。ジンマン指揮のボルティモア響はゴージャスで立派な演奏を繰り広げている(特にガーシュウィンで)。