制作・出演 : クラウス・テンシュテット
テンシュテットのマーラーは、バーンスタイン同様、マーラーを楽譜の分析だけでなく、心情的な深い結びつきで理解できる最後の指揮者と言えよう。マーラー・ファンなら、避けて通れない演奏のひとつだ。
テンシュテット&LPOライヴ! ブルックナー『ロマンティック』1989年12月、ロンドンにおけるコンサートをBBCが放送用に収録した音源のCD化。初登場となるもので、演奏会前半にはベートーヴェンの交響曲第1番が演奏されていました。先にリリースされたマーラーの『巨人』(1985年2月)が、LPOレーベル最初のリリースとなったワーグナー・アルバム(1992年8月)に較べて音質が冴えなかったため、それから4年10ヶ月後のこのブルックナーには大いに期待したいところです。ハース版使用。・ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 WAB.104『ロマンティック』 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 クラウス・テンシュテット(指揮) 収録時期:1989年12月14日(ステレオ) 収録場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール【演奏会評】 テンシュテットは、今や最高の巨匠の一人である。今回の演奏会でも、極度に高揚し、聴衆を虜にする音楽づくりで、改めて巨匠性を証明してみせた。偉大なクライマックスが訪れる瞬間では、ロンドン・フィルが素晴らしく壮麗な演奏を達成しており、特に金管楽器は白眉である。この演奏の恐るべき迫力は圧倒的なものである。(1989年12月、英ファイナンシャル・タイムズ) Disc1 1 : 第1楽章 Bewegt, nicht zu schnell 2 : 第2楽章 Andante quasi allegretto 3 : 第3楽章 Scherzo (Bewegt) 4 : 第4楽章 Finale (Bewegt, doch nicht zu schnell) Powered by HMV
ノーマンが、大歌手としての地位を固め始めていたころの録音。知性的で深々とした声は、ワーグナーのオーケストレーションにも一歩も引かない強靭さがある。ノーマンとテンシュテットによる至福のひと時。
オーソドックスながらも繊細な叙情美を抽出したベートーヴェンは、テンシュテットの重厚さと見事なバランスを保っている。カップリングされているバッハの無伴奏は、従来のケネディらしさが出たスリリングなもの。
テンシュテット/『巨人』『さすらう若者の歌』テンシュテット指揮によるマーラー『巨人』が登場。なんといってもこの指揮者の十八番であり、これまでセッション録音(1977年、ロンドン・フィル)とライヴ録音(1990年、シカゴ響)の2種がありましたが、今回は手兵ロンドン・フィルとの実演レコーディング、しかもこれが初登場となります。 1985年といえば、テンシュテットが喉頭癌を発病した年でもあります。この『巨人』のコンサートの8ヵ月後、アメリカ演奏旅行中のテンシュテットは喉に違和感を訴え、病院で診察を受けると喉頭癌であることが判明、その後入退院を繰り返し、小康状態にある時はつかの間の復帰を果たしたものの、残念ながら「奇跡の復活」はならず、1998年1月12日、テンシュテットは北ドイツのキールの自宅で静かに世を去ることとなります。71歳の生涯でした。 今回のアルバムに収録された『巨人』は、癌告知前、テンシュテットがまだまだ元気だった頃のライヴで、かの第九より7ヶ月前ということもあって、爆発的な盛り上がりを見せる演奏が期待されます。 カップリングは、『巨人』と使用動機などで密接に関連する歌曲集『さすらう若者の歌』。バリトン独唱は、前年の1990年2月にバーンスタイン&ウィーン・フィルと共演してこの歌曲集を歌っていたトマス・ハンプソン。2年連続での強烈なマーラー指揮者との共演ということになります。なお、テンシュテットはこの作品のセッション録音を残していないため、今回のリリースは、大変に有意義なものといえるでしょう。 当時の新聞評も好評で、デイリー・テレグラフ紙は、「オーケストラは、美しい集中力を発揮して、マーラーの『さすらう若者の歌』を伴奏していた。」と指揮者とオケを絶賛、一方、ザ・タイムズ紙は、「トーマス・ハンプソンは、いたるところで印象的に長いラインを引き伸ばしていた。うらやましいほど多彩な色彩感を歌の間や中から紡ぎ出していた。」とハンプソンの歌唱を絶賛しています。・マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 クラウス・テンシュテット(指揮) 録音時期:1985年2月12日(ライヴ) 録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール・マーラー:歌曲集『さすらう若者の歌』 トマス・ハンプソン(Br) ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 クラウス・テンシュテット(指揮) 録音時期:1991年9月26日(ライヴ) 録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール Disc1 1 : Lieder eines fahrenden Gesellen 2 : Lieder eines fahrenden Gesellen 3 : Lieder eines fahrenden Gesellen 4 : Lieder eines fahrenden Gesellen 5 : Symphony no 1 in D major "Titan" 6 : Symphony no 1 in D major "Titan" 7 : Symphony no 1 in D major "Titan" 8 : Symphony no 1 in D major "Titan" Powered by HMV
発売元
ユニバーサルミュージック映画で使われたクラシックの楽曲を集めた“100シリーズ”の中のひとつ。6つのテーマに分け、アクションから恋愛、ファンタジー、サスペンスとあらゆる映画音楽を網羅。多くのファンが楽しめる内容。
テンシュテットが病に伏す直前に録音された名盤。交響曲同様、豊かなニュアンスで完成度の高い演奏を繰り広げている。ポップも細かな陰影を持ち、思索に富んだすばらしい歌唱を繰り広げている。
ステレオ・ライヴだが、残響が非常に多い。そのため、指揮者の解釈が明確に捉えられない箇所も多々あるが、全体を通じては指揮者の渾身の棒に、オーケストラがよく応えている様子は伝わる。特に交響曲第5番は熱のこもった雰囲気が感じられる。
制作・出演
アルフレーダ・ホジソン / クラウス・テンシュテット / グウィン・ハウエル / ベートーヴェン / マリ・アンネ・ヘガンデル / ロバート・ティアー / ロンドン・フィルハーモニー合唱団 / ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団発売元
キングレコード株式会社喉頭がんの発覚で音楽監督を辞任する直前のテンシュテットとロンドン・フィルのコンビが到達した芸域の高さを痛感する、85年のライヴ録音。むき出しの情動や差し迫った緊張感を持つ最晩年の特徴と異なり、熱い表現のなかに知情意を備えた珠玉の名演である。(彦)★
大病から一時的に再起したテンシュテットが残した晩年の「英雄」。スケール感はあるが、少しも威圧的ではなく、人間的な温かさと包み込むような寛容さが全編に満ちあふれている。聴いているうちに、感動がじんわりと心の奥底まで染み入ってくるような名演盤。
弦を主体に管の響きを巧みにブレンドした作り。「田園」は穏やかさに満ちた第2楽章が特に見事。第8番も小粒なイメージを払拭するもので、特に第3楽章は、スケルツォ(的なの)は第2楽章であって、こちらはメヌエットであると主張するようにどっしりと構えている。