制作・出演 : クラウディオ・シモーネ
制作・出演
イ・ソリスティ・ヴェネティ / クラウディオ・シモーネ / ジェームズ・ゴールウェイ / ジニー・ゴールウェイ / ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団 / フィリップ・モル / メルカダンテ / ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 / 岩城宏之フルートにとってロマン派の時代は“不作の時代”なんて言われているが、たしかに技巧に走りすぎたキライはあるものの、こうした名手によって演奏されると生命が宿る。ロマン派はフルートに輝きを与えたのだった。その主旨とは別に、アルゲリッチとの共演は聴きもの。
18世紀にマンドリン音楽の中心地として栄えたナポリで作曲された協奏曲集。当時はトレモロ奏法がまだ発達しておらず、現在の演奏とは違った雰囲気を醸していて面白い。イタリアン・バロックの大家シモーネが華やかさと優美さを兼備した佳演を楽しませる。
来日記念発売。宗教曲の人気曲であるペルゴレージの「スターバート・マーテル」とボッケリーニの同名作は、まさにシモーネならではの組み合わせの妙。実力派スター歌手が揃っているのも魅力。
イ・ソリスティ・ヴェネティの演奏は、同じイタリアのイ・ムジチと比べるとずっと軽くて透明感があり、涼やかだ。それに古楽器団体のようにフレーズを短く切らずに、レガートで滑らかにつないでいくから、流れもスムーズで、心地良く耳に入ってくる。
ヴィオラ・ダモーレ(愛のヴィオラ)という魅惑的な楽器がタップリと楽しめる。主弦と共鳴弦の織りなす独得な音色は、合理主義のたまもの、現代楽器からはとうてい得られないもの。カラブレーゼという当代一流の演奏家による有難い一枚。
珍曲ばかり並んでいるような感じを受けるが実はそうでもなく、(4)はギター愛好家にはよく知られた「ギター協奏曲ニ長調」と同じで、(2)は映画「クレイマー・クレイマー」に使われた曲。解説にはこういうことは一切書いてないが、実に愉しい曲、演奏だ。
赤毛の司祭が多作家だとは存じていたが、オペラを約100曲も作っていたとは寡聞にして知りませんでした。序曲と言っても本題との関連はほとんど無く、転用、使い回しはザラで、余程の好事家以外は通して聴くのは退屈かも。(1)で突然、「四季」の旋律が現れる。
12月になると、やっぱりクリスマス協奏曲が聴きたくなるのは不思議だ。それも古楽器演奏ではなく、艶やかな弦の音色が魅力のイタリアの合奏団がいい。イ・ソリスティ・ヴェネティはピエロ・トーゾをはじめ名手が揃っている。美しい響き、素敵な雰囲気。
磨き抜かれた美しい弦の響きに乗った、繊細華麗なロッシーニだ。じつに入念に仕上げられている。そのかわり、その分作曲者12歳の若書きであるこの曲集の素直でおおらかなミューズの息吹が、多少とも厚化粧という感じになるのも仕方のないことなのだろう。
柔らかい録音のせいもあるのだろうが、これだけふっくらと美しく、しかも音楽性満点でオケを鳴らしてくれれば、もはや何をかいわんやという感じ。(1)などはパッサカリアでさえも、拍子抜けするほど柔らかい。(2)の色彩感も見事で(3)も抑制のきいた表現。