制作・出演 : ケイコ・リー
心がなめらかになる音楽を志向し、バラード中心でまとめた2010年録音作。ライヴでも共演を重ねてきた腕利きミュージシャンと醸す親密な雰囲気が心地よく、「FOR THE LOVE OF YOU」の艶やかさ、「HELLO LIKE BEFORE」のあたたかみなど本領を存分に発揮。ゲストのジョージ・デュークが奏でる音もさすがの存在感。ピアノ弾き語りの「DON'T KNOW WHY」「ACROSS THE UNIVERSE」も味わい深い。
ケニー・バロンがプロデュースした2009年、NY録音作。一部で電気楽器も使っているが、全編、アコースティックな肌触り。気だるく、ささやくような表現が心地よい「Tell Me A Bedtime Story」、ゆったりとしたグルーヴとファンキーな味わいが印象に残る「Come Together」、エレガントな演奏に乗せて雰囲気たっぷりに歌う「That's All」などがいい。
リーダーであるハンク・ジョーンズは90歳を迎えた大ベテランだが、ピアノ・タッチが絶妙で滋味豊かな音を紡ぎ出している。ベースとドラムの連携も良く、特に、キルソンの鋭い感性が弾けるドラミングが刺激的。メリハリの利いたピアノ・トリオ演奏が楽しめる。
ニューヨーク録音で歌われるのは、ケイコ・リー自身がセレクトしたアメリカ生まれの名曲たち。ギル・ゴールドスタインのオーケストラ・アレンジにより、しっとりとしたバラード集に仕上がっており、憂いを帯びた声と相まって晩秋のマンハッタンを想像させる。
CM、テレビ番組、映画で使われた曲を中心に新録音ほかを加えている。荒井由実作品の英語詞カヴァー「In The Morning Light」はディープであっても重くない情感の表現がいい。ピアノ弾き語りに小沼ようすけのギターが加わる「スタンド・バイ・ミー」はほっこりとした温度感が魅力。CHEMISTRYのアルバムで初出の「星たちの距離」は傑作。
青春時代に影響を受けた曲を自らの編曲でカヴァーした2007年、NY録音作。メロウな雰囲気に包まれるP.オースティンの「ザッツ・イナフ・フォー・ミー」、生ギターのみをバックにゆったりと歌うQ.ジョーンズの「ワン・ハンドレッド・ウェイズ」、ピアノ弾き語りにD.サンボーンの泣きのアルト・サックスが絡むB.スキャッグスの「ユー・キャン・ハヴ・ミー・エニタイム」など秀逸。
生ける伝説と呼んでも差し支えないハンク・ジョーンズを伴奏につけ、臆することなく威風堂々と歌える女性シンガーは、今や国内ではこの人くらいなんじゃないか。ライヴ盤とはいえ、余計なガヤもないし、ドラムレスなので歌もピアノもじっくりと聴けます。
ケイコ・リーのアルバム・デビュー10周年記念ベスト盤。ファンの声を反映した選曲を中心に、CM曲や映画主題歌、さらに他アーティストとのコラボレーション作品など、オリジナル・アルバム初収録曲も満載。