制作・出演 : ゲロルト・フーバー
ロベルト&クララ・シューマン:歌曲集 マクシミリアン・シュミット 若きテノール、マクシミリアン・シュミットによる瑞々しいシューマン夫妻の歌曲集です。ドイツで人気急上昇中(特に古楽演奏ではひっぱりだこ)の彼は、レーゲンスブルクの少年合唱団で最初の音楽トレーニングをうけ、1999年にはベルリン芸術大学でアンケ・エッガース教授の下で声楽を学びました。2005年と2006年にはバイエルンの国立オペラのマスタークラスでアン・マレーとロベルト・D・スミスに師事し、オペラにも出演するようになります。コンサート歌手としてもレパートリーを深め、ハーディングやマンゼを始めとした大指揮者と共演を果たしています。ここではシューマンの溢れるようなロマンティシズムを極めつけの美声で朗々と歌いこなし、新たな可能性を示唆します。伴奏はゲルハーヘルとの共演で世界的名声を獲得したフーバーです。(OEHMS) 【収録情報】 シューマン::詩人の恋 Op.48 ・うるわしくも美しい5月に ・ぼくの涙はあふれ出て ・ばらや、百合や、鳩 ・ぼくがきみの瞳を見つめると ・ぼくの心をひそめてみたい ・ラインの聖なる流れの ・ぼくは恨みはしない ・花が、小さな花がわかってくれるなら ・あれはフルートとヴァイオリンのひびきだ ・かつて愛する人のうたってくれた ・ある若ものが娘に恋をした ・まばゆく明るい夏の朝に ・ぼくは夢のなかで泣きぬれた ・夜ごとにぼくはきみを夢にみる ・むかしむかしの童話のなかから ・むかしの、よこしまな歌草を クララ・シューマン: ・彼らは愛し合っていた Op.13-2 ・僕は暗い夢の中にいた Op.13-1 ・ローレライ シューマン:リーダークライスOp.24 ・朝起きると僕は尋ねる ・そわそわと、落ち着けやしない! ・僕は樹々の下をさまよった ・いとしい恋人よ ・僕の苦悩の美しいゆりかご ・待ってくれ、たくましい船乗りよ ・山と城が見下ろしている ・はじめはがっくりと気を落として ・ミルテとバラで マクシミリアン・シュミット(テノール) ゲロルト・フーバー(ピアノ) 録音時期:2010年5月4-7日 録音場所:フランクフルト フェストブルク教会 録音方式:デジタル(セッション) Powered by HMV
「さすらう若人の歌」第2、3曲などで強音の威力を発揮するものの、基本的には弱音を重視。かつ過度な感情表現を控えた当演奏は、全編に寂寥感が漂い、それがむしろ聴く者の耳を捕らえ感情を刺激する(「「リュッケルト詩による5つの歌曲集」」第5曲などまさに名唱)。明瞭な発音など、ゲルハーヘルらしさはいつもどおり。★
ゲルハーヘルの歌にはえも言われぬアイソレーションが漂う。ハイ・バリトン的な柔らかな声質ながら発音は明解。表現も柔軟で感情の機微を豊かに描き出す。今度はシューマンが標的。いわば繊細な感情表現は彼の本領発揮の感。フーバーのピアノも秀逸。
シューベルトの三大歌曲集の録音で高い評価を受けたゲルハーヘル。ここでは比較的知られていない歌曲を歌っている。よく計算された、大胆かつ緻密な表現が見事。フーバーのピアノ演奏も素晴らしい。息の合った二人のアンサンブルが聴きものだ。
これほど美しく自然に歌われた「詩人の恋」を聴いたことがあっただろうか。若々しい歌声と優しく寄り添うピアノがかもし出す情趣を何とたとえれば良いのだろう。詩人ハイネの言葉とシューマンの音楽が絶妙に調和したこの上ない歌唱として高く評価したい。★
ドイツ・リート界に清新の気を吹き込んだ俊英ゲルハーエルは「冬の旅」のCDで絶賛を博したが、これはその前年に録音されたデビュー盤。豊かな感情を込めながらも劇的になり過ぎない自然体の表現が瑞々しい。青春の息吹に触れるような溌剌とした歌唱である。★
ドイツ・リートの期待の星、ゲルハーエルが「冬の旅」を録音。張りのある瑞々しい声が失恋した若者を生々しく描く。表現の幅が非常に広く、その歌唱は、歌っているというより、語っているといった方がよいところさえある(特にささやきのような表現)。