制作・出演 : ダニエル・バレンボイム
バレンボイム2度目の録音。BPOのCBS録音の第1弾。前半では非常に柔らかく思い入れたたっぷりとした表情が時々顔を出すが、後半ではオケのもの凄いパワーが全開される。低音から重低音の迫力は特に凄いし、第5楽章のコーダの熱狂ぶりはかつて体験したことがない程だ。
パールマンは、83年にアシュケナージとブラームスのソナタ全曲をスタジオ録音しているが、今回のバレンボイムとの録音は、89年シカゴでのライヴ。パールマンは、明るめの音色でブラームスをしなやかに歌い上げている。バレンボイムのピアノが瑞々しい。
今、若手でイチオシのヴァイオリニストはこのヴェンゲーロフだろう。シベリア出身、今年22歳の青年。すでに著名な指揮者の大半と共演しており、本盤は最新(1月)の録音である。北欧物2曲だが、切り口の鋭さと豊かな歌心、雄大なスケールが圧巻。
セット物からの分売。ある意味でオリジナル楽器の演奏と正反対のスタイル。響きには十分に厚みがあり、表現はロマンティックで創意工夫に満ちていながら音楽性は抜群である。最近のバレンボイムを聴きたい人には、まずこのモーツァルトから。
細かい音符一つ一つに至るなまで柔らかな色合いでニュアンス豊かに彩るバレンボイム。透明感のあるタッチが、ロマンティックな情感をべたつかない、清潔なものにしている。ベルリンpoも、やや低音を抑えめにした柔らかな響きでソリストを優しく包みこむ。
いずれもオーケストラが重要な働きをする作品だけにベルリン・フィルの雄弁な表現力がここでは素晴らしい効果を発揮している。バレンボイムの硬質のタッチはオーケストラの響きからくっきりと浮かび上がり、感情の流れを思いのままに表現している。
バレンボイムの演奏は、モーツァルトより「モオツアルト」の世界であり、最近は棒もお振りになるMr.ファナティック先生及びその賛同者には歓迎されよう。あんまりこういう風に楽譜読んだことないもんね、ドミソはドミソっていうタイプだから私は。