制作・出演 : ニコライ・ルガンスキー
最高の音で楽しむために!
ロシア出身の二人の逸材による注目盤。レーピンの真骨頂である、煌びやかさとパワーを融和させたフォルテのめくるめくような美しさをフルに活かし、“ロマン派の魅力”をダイナミックに堪能させる。ルガンスキーとの信頼に裏打ちされた一体感が完成度をグッと押し上げている点も特筆。★
ショパン生誕200年記念の5枚組BOX第2集。有名なピアノ曲のほかに、チェロ・ソナタと歌曲が収録されている。前作と本作でショパン作品のほぼ全容をうかがうことができる。演奏家ともども充実した内容だ。
我が子にクラシックを聴かせようという、クラシック・ファンの親も納得の音楽鑑賞ガイド・コンピレーション・アルバム。選曲はもちろん、ブックレットの解説にも工夫を凝らし、興味が湧く仕様となっている。
ロシアものを主に録音してきたルガンスキーによる初の古典作品に、ベートーヴェンが選ばれた。中期の傑作を主体に、第7番と第22番という地味めの作品を配した、ルガンスキーならではの選曲だ。
ルガンスキーは若々しいパワーを存分に発揮しつつも、単にガンガン叩いてなるものかという彼自身の厳しさもひしひしと聴き手に伝える。オラモもそれに同調し、甘さを控えめにした、大人の味を展開している。第2番も良いが、第4番がいっそう良いかもしれない。
6番の、技巧的な両端楽章と叙情的な中間楽章との対比、4番での1、2楽章の陰鬱な叙情と第3楽章でのほとばしるヴィルトゥオジティなど、いずれもその際立った対比を、鮮やかなテクニックと繊細な感性で弾き分けている。「ロメオ」各曲の性格付けもまた見事。★
エラートで出た3枚はいずれもソロだったが、今回は協奏曲。若々しく輝かしく、流麗でしなやか、指を鍵盤上で動かすのが楽しくてしょうがないといった風情である。けれども、決して浮つかない。伴奏もきっちりと引き締まった、清新な響きが心地よい。
ニコラーエワ門下のルガンスキーも早30歳。他を圧倒するテクニックやタッチの強靱さは相当なもので、ここでは更に、ラフマニノフのノスタルジックなロマンティシズムへ過剰に没入しないバランスのよさがスマートでもある。2002年11月の来日を記念してのリリース。