制作・出演 : パガニーニ
自分の思いの丈を不用意にブチまけて、せっかくの曲の持ち味を壊してしまう演奏によく出会う。だが神尾は賢明にもその愚を犯さない。己を無にすることによって、曲が本来備えているものをより自然で豊かに示す。彼女の若さを考えれば、なかなかの知恵者。
佐藤俊介(84年生まれ)は、若手日本人ヴァイオリニストを代表する逸材。この「カプリース」では、ガット弦や18世紀後半モデルの弓を使用。テクニックを示すだけではない、非常によく考えられた演奏だ。フレッシュなパガニーニに仕上がっている。
ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストは必ずとりあげるパガニーニの難曲を、現代最高のヴァイオリニストのひとり、五嶋みどりがついに録音! と、当時大きな話題を提供したアルバムです。ヴァイオリン音楽のなかでももっとも演奏至難な作品と言われるソロ・ヴァイオリンのためのこの曲を、唖然とする技巧、泉のように湧き出る自然な音楽性で弾ききったみどりの演奏にはもはや完璧の二文字しか思い浮かばないほどです。
制作・出演
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 / クラウディオ・アバド / ズービン・メータ / ニューヨーク・フィルハーモニック / パガニーニ / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / マリス・ヤンソンス / ロバート・マクドナルド / 五嶋みどり五嶋みどりの2枚組ベスト・アルバム。1枚目に無伴奏作品とピアノ伴奏曲、2枚目にオーケストラとの共演が収められている。20年前に17歳で録音したパガニーニの「カプリース」の早熟ぶりにあらためて驚くとともに、2005年録音のバッハでの熟達に感心する。
聴きやすい内容ながら、決して甘口ではない。元クライズラー&カンパニーの竹下欣伸は、生音が重なる効果を良く知った好アレンジを今回も提供。アコースティック&近接感を強調した仕上がりからも、制作者たちの矜持が伝わる。広くない空間で、がっちり浸りたい音だ。★
発売元
日本コロムビア株式会社若きパールマンの、最も輝いていたころの録音。後年の円熟した練達さとは違って、ここにはまだ真摯な情熱がほとばしっている。開放感あふれるパガニーニやサラサーテなど、これぞまさしく快演だ。
パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで史上最年少で優勝を果たした翌年に録音されたデビュー盤。庄司紗矢香の才能に注目したメータのサポートのもと、庄司は伸び伸びとその才能を発揮している。
ハーンの名技に勝るとも劣らない大植のサポートぶりに注目。日本を離れた空気のなせる技か、ハーンのオーラにインスパイアされた結果か、柵から解き放たれたような自由闊達な競演を繰り広げている。久々に理屈抜きの音楽を楽しむことができた満足感。★
18歳である。桐朋高校の3年生である。その歳にしてCDデビュー。そういうことがいいのか悪いのかよく分からないが、確かに巧い。そして“恐れを知らぬ”という颯爽たる若武者ぶりが気持ちいい。またピアノの菊池裕介のサポートも花を添える。
解釈の深浅よりも、まず指が回るかどうかが問題になる難曲ばかりを集めたアルバムである。録音当時、17歳だったヴェンゲーロフのテクニックは、小憎らしいほど冴えわたっている。パガニーニの曲では、メータが作り出す堂々たる響きも印象に残ることだろう。