制作・出演 : ヘルベルト・フォン・カラヤン
冒頭に現れる「運命の主題」が全楽章にわたって様々な形で再現し、この主題が全曲を統一する役目を担うチャイコフスキーの第5交響曲。50歳代の後半を迎えた壮年期のカラヤンと彼の手兵ベルリン・フィルハーモニーの覇気溢れる瑞々しい演奏で収録したアルバムです。魔女の呪いによって100年間の眠りに就いた王女オーロラが王子の接吻によって目覚める、ロシア・バレエの《眠りの森の美女》組曲をカップリングしています。
死の直前に完成したチャイコフスキーの辞世の句ともいうべき《悲愴》は、標題が示すとおり人間の抱く内面の苦悩、絶望や悲嘆といった感情を強烈なまでに表出した傑作交響曲です。50歳代の後半を迎えた壮年期のカラヤンと彼の手兵であったベルリン・フィルハーモニーの覇気溢れる瑞々しい演奏で収録した一枚で、ロマンティックな幻想や華やかさを見事に描いた作曲家最後のバレエ《くるみ割り人形》の組曲をカップリングしています。
独奏フルートが華やかに活躍する組曲第2番、有名な《G線上のアリア》の原曲であるアリアを含む第3番。ヨーロッパ各地に起源を持つ様々な舞曲を組み合わせたバッハの管弦楽組曲2曲と、バロックの協奏曲を総決算し次に続く古典派を予告するような独創性をも備えているブランデンブルク協奏曲第5番をカップリングしたディスクです。巨匠カラヤンとベルリン・フィルハーモニーの名コンビによる定評のある演奏で収録しています。
ブラームスが4手のピアノ連弾用として作曲し、ドヴォルザークや自らのオーケストラ編曲版によってより広く親しまれるようになった《ハンガリー舞曲集》。この作品に触発されてドヴォルザークがやはり連弾用として作曲し、後に自ら管弦楽用に編曲した《スラヴ舞曲集》。カラヤンがドイツ・グラモフォンにステレオ録音を開始した最初期の録音で、ベルリン・フィルハーモニーを見事にドライヴした熱気溢れる演奏を繰り広げています。?
イプセンの劇への付随音楽《ペール・ギュント》からの組曲、祖国の自然に対する讃美と圧政に苦しむ国民の反抗が表現された愛国的名作《フィンランディア》、トゥオネラ河に浮かぶ美しい白鳥を描いた《トゥオネラの白鳥》。北欧の作曲家グリーグとシベリウスの管弦楽曲集です。独墺系の作品と並んで北欧音楽の指揮にも力を注いだカラヤンは、スケールの大きな緊迫感溢れる圧倒的な演奏を繰り広げ、聴く人を抒情と感動の世界に誘(いざな)います。?
交響詩の創始者として標題音楽の発展に重要な足跡を残した作曲家、リストの管弦楽作品集です。詩人ラマルティーヌの「人生を死への一連の前奏曲とみなす」という序文が付された《前奏曲》、ハンガリーの民族舞曲に基づく《ハンガリー狂詩曲》の管弦楽編曲版3曲と《メフィスト・ワルツ》を収録。広く親しまれた名曲を最高の演奏でレコード化することに情熱を傾け続けたカラヤンの姿勢は、このアルバムにも端的に示されています。
清冽な活気と優美な楽想を湛えた、弦楽四重奏曲を思わせるような簡潔な書法による珠玉の名作《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》。2群のアンサンブルを合奏協奏曲ふうに効果的に用いた、室内楽的な《セレナータ・ノットゥルナ》。初期に書かれた弦楽合奏のための3曲のディヴェルティメント。モーツァルトのオーケストラ曲を、カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニーによる磨き抜かれたアンサンブルによる演奏で収録した一枚です。
ムソルグスキーのピアノ曲をラヴェルが卓越した管弦楽技法を駆使して色彩豊かに編曲した《展覧会の絵》は、現在では原曲以上にポピュラーになっています。また従来の音楽語法を覆して原始的なサウンドにより異教徒の祭祀を描いたストラヴィンスキーの《春の祭典》は、20世紀のオーケストラ曲として幅広い支持を受けています。カラヤンが1960年代中葉にベルリン・フィルハーモニーを率いて録音した、緊張感に満ちた演奏を収録しています。?
スペイン舞曲のリズムによる旋律のみを楽器を代えて繰り返し、漸強しつつ圧倒的なクライマックスに至る《ボレロ》。ギリシャ神話の牧歌的な物語による、夢想的に描かれたバレエ《ダフニスとクロエ》。夜明けから刻々と変わる海の一日を描写した《海》。マラルメの象徴詩をもとに作曲された《牧神の午後への前奏曲》。ラヴェルとドビュッシーの名管弦楽曲を、カラヤンとベルリン・フィルハーモニーによる色彩感溢れる演奏でご堪能ください。?
R.シュトラウスにとって最後の交響詩となった《英雄の生涯》は自己の業績を振り返る自伝的色彩の濃い曲で、既作品が次々に引用されて登場します。また《ティル・オイレンシュピーゲル》は14世紀の北ドイツに生きた伝説の人物ティルの様々ないたずらを素材にした作品です。前者はカラヤンがドイツ・グラモフォンにステレオ録音を開始した最初期の演奏で、ドイツ・ロマン派最後の巨匠の豊饒で表現的な音楽を完璧に再現しています。
制作・出演
アントン・デルモータ / ウィーン楽友協会合唱団 / ヒルデ・レッセル=マイダン / ヘルベルト・フォン・カラヤン / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / モーツァルト / ヴァルター・ベリー / ヴィルマ・リップ / ヴォルフガング・マイヤーモーツァルトの作品のなかでも最も崇高な美しさに満ち溢れた傑作として知られる、神秘的な雰囲気を漂わせる《レクイエム》。この作品をカラヤンは3回録音していますが、ここに収録した演奏はそのなかで最初のものです。祈りの心を込めて真摯に歌い上げる壮麗な合唱と哀愁を秘めた清澄な独唱、そして重厚な響きのベルリン・フィルハーモニーをカラヤンが見事に統率し、彼の意思が隅々まで透徹した情感豊かな演奏を聴かせています。
制作・出演
グンドゥラ・ヤノヴィッツ / ゲルハルト・シュトルツェ / ジェス・トーマス / ジョン・ヴィッカーズ / ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ / ヘルガ・デルネッシュ / ヘルベルト・フォン・カラヤン / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / ワーグナーカラヤンが指揮したワーグナー畢生の大作《ニーベルングの指環》は、録音当時のワーグナー歌手を総動員して入念に制作されたアルバムで、その室内楽的な精緻さや磨き込まれた表現によって巨大な作品に新鮮な光を当てたものとして、「ワーグナー演奏史に新たな1ページを記した」との高い評価を得ました。現在でもこの楽劇の一、二を争う名録音である全曲盤からよく知られた場面を抜粋して《指環》のエッセンスを凝縮したハイライト盤です。