制作・出演 : 初代
津軽三味線津軽三味線
今から15年程前、津軽三味線が一躍ブームになった事があった。TVのショー番組では何かにつけてあの曲弾きが紹介され、『じょんから節』という優れた映画も生まれた。その火付け役となったのが、渋谷ジャンジャンで演奏会を続けていた竹山だった。ブームそのものは、東北の寒村、漂泊の門付芸といったお誂えむきの感傷とパターン化した空疎な曲弾きに拠ったうわついたものだったが、竹山の芸はそれとは別の場所にあった。今回一拠にCD化された当時の録音が、その何よりの証左である。弾力性のある美しい音色、独特の引きずる様なリズム、低域のハッとする様なポルタメント、そして陸続と沸き上がるうた。今なお強い説得力を持つ、まさに芸。
初代 春風亭柳橋名演集 一初代 春風亭柳橋名演集 一
晩年、つまり『とんち教室』(NHKラジオ)時代の柳橋しか知らない世代には、新作ものか軽い落としの噺の人、という印象が濃いだろう。しかし実際には“古典”もきっちりできたわけで、「お見立て」などにその片鱗がうかがえる。リズミカルで明るく、それでいて品格を失うことのない語り口は、やはり器の大きさだろう。