制作・出演 : 園田高弘
日本におけるバッハ演奏の第一人者、園田高弘の滋味あふれる演奏は見事としかいいようがない。バッハのなかに潜むロマンの香りまでを表現した、奥行き深い音楽が楽しめる珠玉のアルバムだ。
ベートーヴェン作品への深い理解で定評があるピアニスト園田高弘が、初期のピアノ協奏曲と、演奏される機会の少ない三重協奏曲を演奏。作品の新たな魅力を引き出している。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音を完成した園田が、今度は協奏曲全集の録音を開始。彼が信頼を寄せる指揮者とオケとのコンビネーションは、音楽的に非常によく練られ、ありがちなアンサンブルの隙間を感じさせない。説得力のある演奏だ。
園田高弘のショパン第5集は、70歳にして全曲録音したエチュード集。彼が大切に培った演奏スタイルとショパン解釈を何が何でも伝えたいという強い意欲を反映し、作品の音楽的内容の深さを、説得力をもって表現した演奏。彼の解説とエッセイも興味深い。
園田高弘の70歳を記念してのコンサート・ライヴ。彼のピアノ芸術を凝縮したような濃密な演奏内容である。バッハでの華麗なヴィルティオジティ、シューマンでの深みのある表現、ベルクでの鋭い感性など、当夜の熱気が伝わる迫真のアルバムである。
園田高弘によるショパンのCD第4作は、ソナタ第2番「葬送」をはじめ中期の名作を収めている。各ジャンルの背景、各曲の作風をふまえ、様式観を明確に打ち出す一方、微妙な表情の表出にも工夫の跡を見せている。園田自身の解説文も興味深い内容。★
園田のアプローチは若い時の第3番のソナタでも、晩年の作品を鳴らすような腰の低いズシリとした手ごたえを感じさせる。テンポも比較的遅く、終始落ち着いている。残りの2曲も古風な顔を見せており、上っ面に流れるような場面はどこにもない。
94年からベートーヴェン作品の新録音を行なってきた園田高弘。第12弾は、子供たちも弾くようなやさしいソナタや「エリーゼのために」などが収録された楽しいアルバムとなった。透明感のある音色と粒の揃ったタッチ。非常に爽やかなベートーヴェンだ。
新録音11枚目。園田高弘のこの一連のシリーズは今、もっとも注目してよい音楽家の仕事のひとつだと思う。(まったく言うは易し、だが)余分なことは何もせず、足りないところはない。音楽の運びの確かさ、音そのものの魅力で飽きさせることがない。★
ピアニスト人生において3回目となるベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲演奏。その第10弾を迎えて最初期のソナタに着手したもの。当然といえば当然だが、平明な旋律を完璧なピアノのコントロールとともに弾くというのはこんなにも凄いことなのだ。
園田のベートーヴェン・シリーズ第9弾は晩年の大作と小品集。(1)に聴く逞しい構築と念入りな彫琢は、演奏家としてのさらなる向上を目指す強固な意志と、そのための不断の努力を反映している。(2)は、小品集としての統一性を極めて明確にとらえた演奏。
着々と全集完成に向けて歩みを進める園田高弘のベートーヴェン第8弾。細部にわたって目の届いた「ヴァルトシュタイン」はもとより、第22番のような日陰的な存在の曲に生命を吹き込んでいる点、園田の演奏は価値が高い。ただジャケットが地味すぎて残念。
園田高弘が充実した活動を見せている。シリーズ第5弾は、ハンマークラヴィーアと11番。力の入った解説を書いているが、演奏の方に不必要な力みや、じゃまな思い入れはまったく感じさせない。ひたすら作品を読み解いていった結果として感動的な音楽となる。
雄大なスケールで描くアレグロ楽章、ゆったりと歩を進めるような深々としたアダージョ。園田の弾く32番はまさに巨匠然とした音楽といえよう。フレーズのつなぎはあくまでデリケートで、独自の間を感じさせるあたり、日本人でなければできない感性だ。
ヤマハのピアノが使われている。録音の影響もあると思うが、音が華美に鳴ることなく美しく抑制されていてフォルテピアノに通じるところがある。スタインウェイをぶったたくだけがピアノじゃない。この音で園田は人の内面を掘り起こすような弾き方をする。