制作・出演 : 寺尾紗穂
約2年ぶりとなる寺尾紗穂の新作アルバム『しゅー・しゃいん』。 第1弾先行シングル「愛のありか」、第2弾先行シングル「しゅー・しゃいん」 を含む10編の楽曲を、CD・アナログ・サブスクリプションにてリリースします。 「死んだ仲間もいるよ」という歌い出しと、軽妙かつジャジーなトランペットをファンファーレに始まる、約2年ぶりとなる寺尾紗穂の 新作アルバム『しゅー・しゃいん』。第1弾先行シングル「愛のありか」、アルバムの1曲目を飾る第2弾先行シングル「しゅー・しゃいん」 を含む10編の楽曲をCD・アナログ・サブスクリプションにて、2024年の秋にお届けします。 約3年にも及んだコロナ禍からいつもの生活に戻って、およそ1年が経過しました。ソーシャルディスタンスの名のもとに、 一人ひとりが過去に直面したことのない険しい時間を過ごし、ようやく日常が回復したように見える一方、外に目を向ければ 戦争や災害が絶えまなく続き、パンデミック前とは全く異なるパラレルワールドに生きているのではないかと感じることもしばしば。 こんな時に大切なのは、身近な人との何気ないおしゃべりで現在地を確認していくことなのではないかと思います。 この作品でも、寺尾紗穂とマヒトゥ・ザ・ピーポー(E.Guitar)、テニスコーツ・植野隆司(Sax)、高橋三太(Trumpet)、歌島昌智(Veena)、 近藤達郎(Harmonica)、関口将史(Cello)、吉野友加(Harp)といった日本の音楽を支えるミュージシャンらとの対話は、 共に悲しみに暮れ、激しく怒りを吐き出し、時に喜びを爆発させることで加速度をまとって、音楽へと昇華していきます。 先行シングル「愛のありか」では、スローテンポをキープしながらオリジナリティ溢れる独特のグルーヴが、「冬にわかれて」のメンバー でもあるあだち麗三郎(Drums)、伊賀航(Bass)と寺尾紗穂のピアノ&オルガンによって紡がれていきます。 その上にたおやかな寺尾のヴォーカルが重なっていき、誰もが探し求めている現在形の愛のかたちが、この曲を聴きながら ふとした瞬間に姿をあらわしてしまうような・・・2024年にしか鳴りえない、まっすぐであり優美さ溢れる曲に仕上がりました。 「しゅー・しゃいん」や「こんばんは お月さん」(作詞・作曲:加川良)に代表されるような、時代に揺り動かされながら日々を 懸命に生きる人々の中に在る絶望は、生きている限りは希望に変えられ得る。その感覚は、現代を生きる我々の中にも存在するもの なのだろうと思います。きっと、そんなことも感じられる寺尾紗穂との”何気ないおしゃべり”は、ツアーという形で アルバムリリース後に日本全国で、東アジア全域で展開されていきます。ともに愛のありかを探す旅に出ませんか。 それではこれより楽曲にて、ライブにて、そこかしこでお会いしましょう。
寺尾紗穂による記念すべき 通算10作目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』が完成。 今再び、全ての人を歌の生まれる場所へと誘い出す、珠玉の作品集。 2006年のデビュー以来、現代日本を代表するシンガー・ソングライターとして数々の歌を作り続けてきた寺尾紗穂。 2022年6月22日、記念すべき通算10枚目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』を発表する。 この世界の深淵に潜む様々な感情、光景、出来事を、類まれな才能ですくい取ってきた歌世界は、ここに至って、 さらなる広がりと奥行きを獲得した。彼女の歌には、ときに鋭く社会的な問題意識も反映されてきたが、 もちろん、それだけが理由で多くの者の心を捉えてきたのではない。寺尾紗穂の歌は、これまでも常に「言葉にし得ないもの」 への関心と近しさを湛えており、だからこそ、聴く者の内にある深い部分に触れてきたのだ。 本作は、とりわけ「楕円の夢」以降寺尾が探求してきた、正論や正義、漂白されていく社会から距離をとった「余白」と、 そこにこそ息づく希望や夢といったテーマが、最も美しい形で結晶した、キャリア史上に輝く傑作だと断言できる。 日々「変わりつづける世界」への疲弊と、無情にも「変わらない世界」への絶望。あなたやわたしを取り囲む孤独が 氷のように固まってしまっても、寺尾の音楽は、人がこの世界にひとしく生まれ落ちた事実を希望として浮かび上がらせ、 そのこわばりをゆっくりと溶かしていく。『余白のメロディ』は、不信に唆され、ついには歌うことのできなくなった人々を、 今再び歌の生まれる場所へと誘い出す。 バンド「冬にわかれて」での活動を通し更に紐帯を強めたあだち麗三郎、伊賀航をはじめ、池田若菜、高橋三太、未知瑠、 そして新進気鋭のシンガーソングライター/トラックメイカーMomの他、多くのアーティストが録音に参加し、 より一層の壮麗さと繊細を増した寺尾の歌唱/ピアノ演奏を支える。 本作の核とでもいうべき曲「歌の生まれる場所」をはじめ、オリジナル曲の充実ぶりは、まさに至高といえる領域へと達した。 また、「良い帰結(Good End)」ではMC.sirafuが、「期待などすてて」「灰のうた」では松井一平が歌詞を提供しており、 お互いのクリエイティビティが溶け合った見事なコラボレーションを聴かせてくれる。 加えて、寺尾にとっては歌の道を選ぶことになるきっかけとなった 重要曲、西岡恭蔵「Glory Hallelujah」を収録、 原曲の魅力を汲み取りつつ、そこへ新たな生命を吹き込んでいる。
同時発売されたアルバム『残照』に修正を経て収録された2曲の完全版に、「竹田の子守唄」を加えてリリースするシングル。強い意志を伝えようとする、彼女の音楽に込められた表現の自由と制限、権利と責任についての想いが伝わってくる。アルバムを補完する重要作品だ。
その歌声や詩的なテイストから、21世紀の和製ローラ・ニーロとでも評したくなる寺尾紗穂。5作目となる本作でも、ピアノ弾き語りを基本とした、その70年代系の温かく繊細な風合いは変わらず。彼女の歌声も生成り色ながら、耳に入ってくるとだんだんと淡い色彩を帯びていくような妙味がある。
まだ20代ながら、不思議と70年代の空気感も持っている彼女の、ソロとしては『風はびゅうびゅう』(2008年)に続く4作目。自由で、伸び伸びとした表現力があって、彼女が歌い、ピアノを弾き始めると、歌の主人公や景色が勝手に動き出すような感覚になる。
ソプラノで語るように歌うきれいな日本語の中に、さまざまな音響が反射して聴こえる不思議で魅力的な歌声。大貫妙子や坂本龍一から賛辞が寄せられたというのがよくわかる、70'sシティ・ポップスの系譜を現在につなぐ稀有な歌姫だ。これがソロ3枚目、今後も楽しみ。
古くさいわけではないけれど懐かしさを感じさせる、生楽器で構成された曲たち。70年代のポップスへの郷愁感が確実にある、シンガー・ソングライターのセカンド・アルバム。父がシュガーベイブのベーシストだった寺尾次郎と聞いて納得した。