制作・出演 : 日本フィルハーモニー管弦楽団
伊福部のごく初期の作品を集めたアルバムです。民族派とか土俗派とかいわれますが、もっと広く原日本的なバーバリズムともいえるスケールをもっている人です。広上の小気味よいリズム感とダイナミックな指揮が、曲の深層をみごとにつかみだしています。
まずは画期的な企画に拍手。只今絶好調の広上が作曲者監修の下、手兵の日フィルを振る。これで演奏が悪かろうはずがない。後世に残る仕事である。収録の2曲は、日本人特有の土着リズムと美意識が見事に表現された傑作。「バラン」の世界を彷彿とさせる。
《サロメ》はお馴染みワイルド原作の濃艶猟奇物語をバレエ化した大作。伊福部の音楽の「まっすぐな」持ち味とは異質に感じられる題材で、さすがにコッテリと官能したたり落ちたりはしないが、ゴツゴツ煽り立てるリズムと音色の野趣が案外妖しく危ない。
「伊福部昭のSF交響ファンタジーか、どれどれ」とCDをスタートさせたら、鳴り出したのはバリバリのトロンボーンによる「ゴジラ」。その後も出るわ出るわ、キングギドラやキングコング。つまるところは、伊福部映画音楽メドレー。イキのいい演奏が楽しい。
発売元
キングレコード株式会社日本のちょっと古い曲が流行っててうさん臭いが、伊福部氏の場合は素直に受け入れたくなるから不思議。評論家の軽い言葉とは裏腹に、氏の飾らない解説からもその音楽からも、時代のリアリティとバイタリティがずっしりと伝わってくるからだ。
日フィル定期のライヴ。コバケンといえば、チェコ・フィルとの劇的な“幻想”の録音が記憶に新しいが、これまた熱気に溢れたベルリオーズ。作品の交響的な本質を見事に捉え、真に迫った表現を実現している。随所に聴かれる唸り声にも彼の気迫がうかがえる?!
コンドラシン・コンクールを経て、国際的に華々しく活躍している広上淳一の、サントリーホールでの録音。録音上のバランスや音の厚みは今一つだが、演奏そのものはコントラストが明確で優れた内容を持つ。特にクライマックスへの突進が過激といえるほど。