制作・出演 : 滝廉太郎
日本のクラシック黎明期(1900〜41年)に書かれたピアノ曲の数々。滝廉太郎の絶筆となった「憾」、スクリャービンに捧げられた3、4曲目、ドビュッシー風の11、13曲目など、注目されて然るべき佳作揃い。異文化のフォーマットで己の個性を表現しようと模索した先人たちの砕身の足跡だ。
日本人ソプラノ歌手の模範というか、安心して聴ける歌い手という印象ながら、幅広い範囲から名旋律を持ってくる選曲のセンスは、なかなかに攻撃的。基本的に原曲のイメージを崩さない演奏のなか、(15)ではちょっと遊んでみましょうか、という茶目っ気も程よく。
現代最高の女性二胡奏者ジャン・ジェンホワ。本作は、既発売の“四季シリーズ”を1枚にまとめたもの。日本の四季を綴った童謡の数々が中国の伝統楽器・二胡の優しい音色で奏でられる。
「待ちぼうけ」「荒城の月」「椰子の実」など、日本人の心に深く染み渡る、滝廉太郎、山田耕筰らの名曲の数々を、オーケストラの豊かな音色で奏でる。思わず郷愁をそそる内容だ。
マリンバ奏者の草刈とも子が日本の民謡から童謡、唱歌などを取り上げている。曲ごとに編曲に工夫を凝らし、笛やアコーディオン、弦楽器、ホーンなど加えて日本の詩といった雰囲気を醸し出していく。ガムラン的な音色を感じたりと面白い発見をする演奏。
瀧廉太郎の代表的な歌曲が収められている。知っている曲も多く、懐かしくも楽しい。瀧もマーラーたちと同時代の世紀末の作曲家だった。最後に瀧のピアノ曲が2曲収められているのがうれしい。世紀末の西洋音楽であると同時に明治時代の香りがする。
これは作曲家が西洋音楽を受容しつつ20世紀日本の政治的、文化的風土の中を生きた結果だ。我々にとって軽くない企画(共感と近親憎悪……)と優れた演奏。松平暁則が含まれないことから解るように、ある種の傾向を持った選曲ではあるが。最近流行の感。