制作・出演 : 舘野泉
北欧ピアノ音楽の第一人者、舘野泉による貴重な収録曲を含んだシベリウスのピアノ小品集。作品への深い愛情が感じられると共に、それぞれの小品はどれも標題性に忠実に、しかも詩情豊かにまとめられている。
制作・出演
オッコ・カム / ショパン / ジミー竹内 / ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団 / マリア・ホロパイネン / ヨルマ・パヌラ / リュドベルイ / 日本フィルハーモニー交響楽団 / 柴田恒夫 / 舘野泉発売元
ユニバーサルミュージック舘野泉のデビュー50周年を期して編まれたBOX。2004年以降は「左手のピアニスト」として活躍する彼が、70年代にいかに傑出したレコーディング活動を行なっていたかを如実に示すもの。24枚中17枚分が初CD化で、スペシャルCDには舘野と親交のあった石田一郎(1909〜1990)の作品(堅固な構成に込められた郷愁と憧憬が聴きもの)と未発表音源も収録。各アルバムのジャケットはLPリリース時のデザインを復刻、当時のライナーノーツも再録しており、中でも『フィンランド・ピアノ名曲選』のブックレット(132ページ!)には知られざる作曲家たちの作品が譜例入りで解説されており、資料としてもきわめて貴重。演奏は正攻法にして真摯、作品に寄せる温かな共感が素晴らしい。パルムグレンとエングルンドの清冽&重厚な協奏曲、フィンランドの人々にシベリウスの小品の魅力を再認識させたピアノ名曲集と歌曲集など聴きごたえ十分。グリーグとラフマニノフの録音は分裂直前の日本フィルの充実を伝えるドキュメントでもある。録音が希少な作品の収録に情熱を傾けた70年代の関係者たちのひたむきさ、それを今に蘇らせた制作サイドの姿勢に大拍手。★
発売元
ユニバーサルミュージック1970年代EMIに録音した貴重な音源から、舘野泉本人の選曲によるアルバム。当時舘野が暮らしていたフィンランドをはじめ北欧の作曲家の作品が主体となっている。未CD化の音源も含んだベスト盤だ。
4年ぶりの新録音。“左手のピアニスト”として再起してから9年。何より彼のために書かれた数多くの作品がそのまま音楽史に刻まれていくことは得難い。cobaの孤高で叙情的な美しさの宿る「記憶樹」、多様な風の動きを彷彿させる流麗な間宮の「風のしるし」など、新たなピアノの世界が充溢。
円熟の巨匠、舘野泉が長年温めてきたラフマニノフとグリーグの2大コンチェルトを録音。スケールを十分保ちながら繊細さも損なわずに弾ききっている。リリシズムとロマンティシズムの極致がここに。
専門誌『オーディオアクセサリー』で「旬の音本舗
週末のデートや海へのドライブ、渋滞など、ドライブでのさまざまなシチュエーションに対応したクラシック音楽コンピレーション。クラシックがこんなにドライブにぴったりくるとは驚きだ。
いずれも吉松お得意の叙情的なキャラクター・ピース。その昔、誰もがどこかで耳にしたことのあるような響きとフレーズが明滅するが、それは聴き手ばかりか、作曲者自身の寄って立つところをも浮き彫りにする。左手のみによる舘野の丁寧で誠実な演奏が光る。
膠原病により、不幸にも30代半ばで演奏家としての生命を断たれてしまった田中希代子。しかしそんな感傷は、我々の勝手な思い込みであることを知らされる。ひたむきで激しく、そしてあらゆる音に強烈な意志を込めた音楽。虚弱どころか強靭ですらある。
2006年末に急逝した女優の岸田今日子の語りと詩的なピアノの音色が魅力の舘野泉のコラボレーション・アルバム。「星の組曲」には谷川俊太郎の詩が。独特の雰囲気に満ちた岸田の語り口と舘野の鮮やかなピアノの絡み合いが絶妙な色彩を紡ぎ出す。
舘野の左手のために創られた日本人作品集。詩の世界をウタで肉体化させる林、自然が惹起する情念を濃密に紡ぐ末吉、ジャズ先達の語法を巧みに遊ぶ谷川。三様に異なる響きを舘野は落ち着いた語り口で描き分け楽しませる。左手の可能性が豊かに広がってきた。
“左手のピアニスト”として、驚嘆すべき活動を続けている舘野泉の新録音。コルンゴルトの後期ロマン派的な室内楽と、ノルドグレンのオカルト風な室内協奏曲(舘野の委嘱)。演奏の至難さは想像に難くないが、困難を克服しようとする意志の強さにも感銘。
脳溢血で倒れて、復帰後の第2作。長年の親友であるフィンランドの作曲家、ノルドレンと吉松隆が、舘野のために書き下ろした新作と、舘野が発掘したタカーチとモンポウの作品を収録。左手のための極上の作品集。
不慮の病から回復に向かいつつある舘野だが、既に復帰コンサートを行ってファンを喜ばせてくれた。演奏再開後初という当ディスクからは、このピアニストらしい誠実さに加え、いつにもまして音楽することの喜びを噛み締めているような佇まいが聴こえてくる。★