制作・出演 : NHK交響楽団
ドヴォルザークはまさにライヴならではの大熱演。ブラームスは反対に、恰幅の良い落ち着きがあり、ことに後半の楽章は黄昏と哀切の色が濃い。ちなみに後者はスウィトナーとN響の最後期の共演。虚飾なく誠実な音楽を聴かせてくれる良い指揮者だった。
いくら思い入れの強い曲といっても、あまりに濃厚にやられては、聴き手も疲れる。清水はそのあたりを十分に踏まえ、眼も覚めるような技巧を駆使しながらも、努めて客観的に弾き、かえってこの協奏曲の化物じみた凄みを浮き立たせる。指揮も好演だ。
スウィトナーは日本の聴衆にとって非常に近しい存在である。NHK響との公演は多くの人が耳にしただろうが、これをあらためて聴くと、しっかりとした構成だったのだと納得。真摯な態度での演奏を耳にすると、団員はこの指揮者を本当に愛していたのだと感じた。
1966年、NHK響との最初の「第九」。当時の日本を代表するソリストを揃え、日本の2大歌劇団の合唱部をはじめとした最強の合唱団を従えて、マタチッチの伝説の演奏を蘇えらせている。
来日時にブルックナーの交響曲第5番を取り上げ、注目を集めたマタチッチが、再び取り上げたブルックナー。来日直前にプラハの春事件が起きたためか、マタチッチの指揮にも気迫がこもり、緊張感みなぎっている。
大曲を続けざまに指揮した1967年の録音と69年の録音をカップリング。3曲とも今回が初出だ。今や聴かれなくなった、がっちりとした骨太のモーツァルトとベートーヴェンが感動的だ。
名誉指揮者の称号が贈られた1966年2度目の来日時の第1番と、68年4度目の来日時の第7番。第1番は今回が初出音源で、第7番は最晩年の演奏とは違い、颯爽として推進力に満ちたベートーヴェンを聴かせている。
語り草になったブルックナーの第5番同様、ワーグナー指揮者としての実力を見せつけたワーグナー・プログラムの一夜を収録。自らの編曲による「神々の黄昏」など、圧倒される演奏が繰り広げられている。
1968年のチェコ・フィルとの「悲愴」も豪壮で迫力満点だったが、1年前のこの録音は、ライヴだけに、気迫がみなぎり、動と静の対比も鮮やか。きりっと締まった、感傷的ではないチャイコフスキーが聴ける。
2008年6月に亡くなった、日本を代表するホルン奏者、千葉馨の追悼盤。長くN響の首席奏者を務めた彼が同僚たちと残したモーツァルトのホルン協奏曲全集と日本人作曲家の室内楽作品を収める。特にモーツァルトの協奏曲全集は記念碑的な演奏といえる。
NHKの人気音楽番組『名曲アルバム』から厳選するシリーズの声楽編。Disc1は有名オペラ・アリア集、Disc2はクラシックの有名歌曲集、Disc3は欧米のトラディショナル・ソング集となっている。