ジャンル : 演歌・純邦楽・落語 > 落語・演芸
ライナーで、改名を考えていることを記したうえで、襲名後(正蔵だろうけど)に小朝時代を振り返る楽しみに『牡丹燈籠』を演じたという。くすぐりはいつもの小朝調だが、圓朝作らしくストーリーや登場人物が込み入っているところを巧く処理している。
志らくの噺ぶりはじっくり聞かせるタイプではなく、異常なほどのスピードでダイジェスト風に展開する乱暴の極み。古典噺をまるで新作のように聞かせる。「時そば」がキムチ入りの蕎麦になったりする。「宮戸川」のラストでは突然、官能小説風になる。
子供時代から“おもろい子”と注目されていた雀々も、枝雀に入門して20年。師匠、枝雀譲りの口調での勘違い噺「手水迴し」では枕に横山ノック大阪府知事を真似てエピソードを聞かせる。「舟弁慶」の主人公の女房“お松”の傍若無人な快速お喋りは見事。
若い芸者に一目惚れした大店の若旦那の恋狂いを、番頭たちの策略で何とか止めようとするのだが……。師匠・米朝ゆずりの小粋で端正な語り口に加え、独特の色気を備えた関西の若手の代表格、桂吉朝の第2弾で、手練手管を交えた笑いとしんみりおとす人情噺。
圓朝が自作の芝居噺「累ヶ淵後日怪談」を明治になって素噺「真景累ヶ淵」と改作・改題して演じたのを圓生が。旗本深見新左衛門が金貸し宗悦を殺し、後に深見の息子新五郎が宗悦の娘お園まで殺してしまう噺。真景は明治の流行語“神経”の転換だという。
富本節(清元)の女師匠豊志賀が、20歳近く年下の新吉と同棲。ところが豊志賀は、若い女との間柄を邪推し、結局新吉にかかわる女を七人までとり殺すという書き置きをして自害。女師匠の嫉妬や執念とドロドロした噺をサラッと語る、名人芸に聴き惚れる。
古今の逸品、圓生百席のCD復刻シリーズ。本巻には得意の人情噺、畢生の名人芸「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」から2話が収められている。淡々とした語り口ながら生き生きとした情景が描かれ、新吉が眼の前で歩き出すような臨場感はさすがである。
上方の若旦那の初CDは、それぞれに特徴的な若旦那が登場する噺が並ぶ。伸び伸びとして、ホンワカした語り口に育ちのよさが感じられて、若い頃の志ん朝を思い出す…とはヨイショがきつい? 久しぶりに若旦那の色気を素で演じられる噺家が登場した。