発売元 : ビクターエンタテインメント株式会社
元祖“中年ロッカー”率いるロックバンドの10周年記念作品。清志郎、斉藤誠、杉本恭一、杉真理、奥田民生など、人脈を生かした豪華作家陣の個性的な作品を器用にこなす実力は伊達じゃない。(9)のブルースのシャウトや(10)など、歌詞と音が連動しての毒気が聴き物。
タイトルをそのまま受け取って、彼の野生的な血がストレートに封じ込められたアルバムだろう。彼の素敵に野卑な部分はもちろん、ヒョウヒョウとしたとっぽさや正義感の強さ、また意外にシャイでロマンチストな部分も抜かりなく出ていて、丸ごと泉谷しげる。
11作目。(1)(15)がミニストリー風だったり、ドラマチックな曲もあったりするけど、基本的にはスタークラブ節だ。厚みのある音作りと全体の構成はさすがだが、音楽自体が深層にまで訴えかけてこないし、歌詞と歌い方(写真の表情も)がわざとらしい。
3枚目のフル・アルバム。パンク・バンドだが、音楽的に幅広い要素をもっていることを示した作品で、象徴的なのがYMOのカヴァーの(6)だろう。エレクトロニクスの使い方もリズム・セクションもセンスがいいし。リザードを思い出すところもあった。
ファースト・フル・アルバム。エレクトリック・ボディ・ビートというにはビートがあまり強くなく、近未来の雰囲気がするダンス・ミュージックってところか。原曲どおりのギターのリフを聴かせるキンクスの(4)は、もっと大胆にアレンジできたのでは。
ビクター移籍第1弾。1st、2nd辺りで時折見られたポップでキャッチーなメロディというのは、全く影をひそめ、他に類を見ない世界を展開している。一見重く内向的にも取れるが、内なる解放感は強く感じる。今は亡きインディーズのLIBIDOを彷佛した。
久しくヒット曲がなかった時期のアルバムだが、これを聴けば十分にバンドサウンドで、彼女特有の巻き舌唄法も健在。スローからハードまでアプローチも幅広い。全面プロデュースは土橋安騎夫。
ドラムが抜けて2人になってしまったナーヴ・カッツェですが、こちらの心配をよそに1曲目から、ぶっ飛ばす。私は飯村さんの豪快なギターが聴けてうれしい。ひと皮むけて極太になった感じだ。楠均(くじら)や朝倉弘一、寺谷誠一らのサポートも光る。
のほほんとしたちょっと助平なキャラクターで人気のなぎら、その初期URC時代を中心とした72-74年の代表曲を収めたアルバムの復刻。とぼけながら世の中を切る独自の視点を持った人であるが、若くしてその姿勢は完成されていたということですね。
未だに青春ソングとして輝いている代表曲(1)を含んだソングライター・ルネッサンス用ベスト。自作の作品が少ないけど全体を彩るのは素朴な優しさに潜んだ毒素の強い歌詞。それが面白いようにメロディ・ラインからこぼれおちる。(7)は谷川俊太郎/武満徹の共作。
(1)の美濃部都知事の物真似は一色紗英にはわからないと思う。69〜70年収録ではな。国鉄(!)を揶揄した(7)じゃ、買った切符は30円だ。コミカルな社会風刺ソングだけではなく、真摯なメッセージを持ったフォークもいっぱい歌ってたのね。センスもいいです。
我が国ヴォーカル・シーンのヒロイン、阿川泰子がまたまた興味深いアルバムを録音した。映画の場面、場面を彩った数々の名曲を、時代に関係なく全10曲ピック・アップ。オーケストラやビッグ・バンドをバックに、美しくかつナチュラルに聴かせてくれる。
昔の歌謡曲が大得意だった、夏のイメージを誘うラテン系のトロピカルなアレンジで構成されたアルバム。そこに収録曲の半数を手掛けた、さいとうみわこ女史の歌詞がのっかるとア〜ラ不思議、万国共通の総天然色なハックルベリー的な世界が。
ハードなギター・サウンドとたたみかけるようなアグレッシヴなヴォーカルで緊張感いっぱいのサウンドを聴かせる。いきなりバッハの小フーガが引用される(1)は蛇足気味。スラッシュっぽいサウンドの味と日本語のノリがシンクロする(5)などが聴き物だ。
彼女の路線を考えればハウスに傾倒するのは至極当然の論理だが、ここまで、そのエッセンスを散りばめてくれるとは驚愕だ。タイアップ曲が(2)(3)(4)(6)と並んで下世話なアルバムに感じるが純粋に音だけで判断しても近年の代表作となるのは確実な1枚。
本作はなんとカヴァー集。ビートルズやらストーンズやらプリンスやらボニー・レイットやら坂本九やらと、選曲からいえばメチャクチャだが、それがこうして1枚に収まると、なんとなく統一感が出てくるから不思議。これも佐山マジックか。
予想通りのアンニュイなハウスが展開された2作目はサラッとした声が印象的。しかし、アンビエントでもテクノでもない所が、原宿娘の芸能界における、あやふやなポジションのようでもある。彼女の存在を心の片隅で意識していれば損だけはしないクオリティ。