発売元 : 日本伝統文化振興財団
幼少期から宮城道雄に師事した生田流、宮城会の箏曲家であり、音楽学博士として東京芸大などで教鞭を執る研究家でもある。箏の古典曲を集めたこのシリーズ第3集では、生田流の名手たちを共演者に集め、明治新曲を含んだ華やかな作風の演奏を聴かせる。
小唄、端唄から大和楽、地唄と幅広く活躍し、“町々に聞こえし”浅草仲見世生まれで美声の持ち主の栄芝の小唄集。色恋ものが大半で、三味の音にのせて歌われる江戸のラブ・ソング。今ならギターの弾き語りだろう。慣れるとスーッと耳に入るのが小唄だ。
「春の海」で知られる箏の宮城道雄が1935年に上梓した最初の随筆集『雨の念仏』(上下)を、河内桃子と滝田裕介が朗読。喋るように書かれた宮城の文章だが、舞台のベテラン二人だけに、滑舌も間の取り方も、もちろん言葉の解釈も安心して聴いていられる。
「春の海」で知られる箏の天才・宮城道雄が、1936(昭和11)年に発行した随筆集『騒音』を奈良岡朋子と遠藤剛の朗読で収録した2枚のアルバム。盲目の音楽家の音への独特な感性、当時の日常生活の出来事などを詩情豊かな文章でじっくりと味わうことができる。
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日本伝統文化振興財団アルバム・タイトルからするととっつきやすそうだが、メシアンのようなタッチ。感性的にも語法的にも洗練されている。発想も面白いが、果たしてタイトルとフィットしているのか疑問が残る。曲としては良くできているのだが。2002年の個展のライヴ。
一聴、ベテラン歌手たちのリラックスした歌唱に頬が緩む。作曲者の新アレンジも、各種楽器を加えた楽しいもの。本来“歌曲”ではなくメロディ集である、この人気連作の本質を明確にした“先祖返り”的な決定盤といえる。愛と洒脱さあふれるファン必聴の出来だ。★
日本伝統文化振興財団の邦楽技能者オーディションに合格した田村彌笑の小唄集。お座敷での芸だけにつぶやくようにうたわれ、すっきりとした粋さが求められる江戸小唄の妙味を継承する彌笑には、若々しさが感じられていい。今日芸としての成長を望みたい。
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日本伝統文化振興財団沢井忠夫の長男である筝奏者が、タイトルどおり『OKOTO』(2006年)に続いて制作した2枚目のソロ・アルバム。邦楽の枠にとどまらない無限大のスタイルと、想像力が膨らむ、変化に富んだ楽曲が大きな特徴で、全体的に光と影、明と暗が感じられる一枚である。
日本のクラシック黎明期(1900〜41年)に書かれたピアノ曲の数々。滝廉太郎の絶筆となった「憾」、スクリャービンに捧げられた3、4曲目、ドビュッシー風の11、13曲目など、注目されて然るべき佳作揃い。異文化のフォーマットで己の個性を表現しようと模索した先人たちの砕身の足跡だ。
欧米でも知られる箏奏者、深海さとみの作品で『秋風幻想』に続く“古典の真髄を新しい装いで現代に提示する”シリーズ第2弾。地唄・箏曲を代表する古典が今の時代を感じさせる装いで演奏され、繊細さとダイナミズムが融合した不思議な魅力を醸し出す。
夢玄は、古典長唄を基本に置きながら、新しい邦楽の魅力を追求する杵屋勝四郎、杵屋寿浩、望月太津三郎によるユニット。古事記に描かれた禁じられた恋の物語をテーマにした曲など、ギター、ドラムやシンセの演奏の交え、新たな邦楽世界を切り開いている。
サン・パロール=言葉のない歌、のタイトルどおり、ヴォカリーズ作品を集めた企画性豊かな一枚(「パストラーレ」のみ歌詞あり)。20世紀前半に書かれたものが多いが、ほのかな抒情と官能性をまとう曲が多いのは、生身の声の可能性を引き出したゆえか。小泉の伸びやかな歌唱も聴きもの。
邦楽研究家の山岡知博が、“近代箏曲の祖”と位置付ける、わが国初の学術博士の宮城道雄門下の生田流箏奏者・安藤政輝による『箏の世界』シリーズの第2弾。「御山獅子」など古典曲を集成、富山清琴、深海さとみらの三弦と響きを聴かせる。
箏の巨人・宮城道雄の代表的な作品が3枚のCDになって復刻。大正・昭和前期のSP音源が、最新の修復技術で蘇った。伝統音楽の世界にまったく新しい発想を持ち込んだ、宮城の演奏が実にクリアな音で聴ける。「春の海」や「水の変態」における曲づくりの才、「六段」(八橋検校)や「千鳥の曲」(二世吉沢検校)など先人のつくった曲に対する解釈の鋭さ、どれをとってもその鋭い感性に驚かされる。メリハリの利いた、それでいて自然に流れる演奏、プロデューサーとしての力量も並外れていたことを実感させる。