1990年3月21日発売
九代目 桂文治名演集一九代目 桂文治名演集一
“留さん”の文治は、寄席落語の楽しさを教えてくれた。ナンセンスの笑いに徹した、飄々とした味は今思い出してもクスッとくる。「今戸焼」の改作(怪作?)「俳優の命日」や「大蔵次官」などの珍なる作品も聴きたい。トボケたアナクロニズムがうれしい。
二代目 三遊亭円歌名演集一二代目 三遊亭円歌名演集一
先代円歌は新作も古典もこなした、レパートリーの広い噺家だった。「呼び出し電話」は先代金馬の作だが、円歌によって新作ものの代表として知られる。「七段目」は忠臣蔵ものの傑作で、円歌の十八番。明るい芸風、リズミカルな語りが魅力だが、女性を演じると不思議な色気を感じさせる。(二)に歌奴(後に圓歌)の真打昇進披露口上を収録。
古今亭今輔名演集古今亭今輔名演集
“お婆さんもの”で昭和30〜40年代に一世を風靡した今輔。若いころに円朝ゆずりの人情噺をしっかり勉強しただけあって、“新作”でも奥行きのある芸を聴かせてくれた。「ラーメン屋」は有崎晩(柳家金語楼)作の、お婆さんシリーズの代表的な作品だ。
金原亭馬の助名演集一金原亭馬の助名演集一
“昭和の隠居”の異名がピッタリの噺家だった。決して派手ではないけれど、“権助もの”ならこの人の右に出る噺家はいなかった。ふんわりとした笑いで、なんともいえない空気をつくってくれた。47歳で逝ってしまうなんて、もったいないとしかいえない。