1993年2月24日発売
「ジャズ界のファースト・レディ」エラのデッカ時代を代表する名盤。40年代半ばからの10年ほどの間に、SPやシングル盤で発売された音源を集大成したものだが、単なる寄せ集め作品ではない。華麗なスキャットと説得力のある歌唱は、何度聴いても絶品。
デッカ時代のエラの、47年から55年録音の曲が収録されている。年齢的に考えれば脂の乗ってきた時期といえよう。スロー・バラードが多いが、エラの上手さを堪能できる選曲だ。まだ凄みのようなものは出てきていないが、若い艶やかな歌を味わえる。
ストリングスを使ったビッグ・バンドを背にシルヴィアのちょいとしゃがれた歌声は、愛を心地よく歌っていく。(11)でダブル・ヴォーカルを聴かせるが、ゆったりしたテンポでは深味をさらに増している。ラルフ・バーンズの編曲が巧妙な57年の録音作品。
コニーはラジオ時代の米ジャズ・コーラスの草分けボスウェル・シスターズ(三姉妹)の一人。1936年に解散後、独立した。この作品は56年録音の彼女の代表作で、初CD化された。幸せな時代に咲いた美しい花のようなオシャレな音楽だ。音質もとてもいい。
ジェリ・サザーンがデッカ時代の56年に発表したアルバムのCD化。51〜55年の彼女のヒット曲で構成されたベスト盤といえる作品で、そのスタイルを知るうえでも最適の1枚。知性的な雰囲気が彼女の魅力で、抒情性にあふれたヴォーカルがたっぷり楽しめる。
60年代以降にホテルの火災で焼死したといわれている美貌のベヴァリー。情報が少ないためミステリアスな存在だ。作品も全部で6枚と少ない。本作もそうだが選曲が渋めであまり目立たない。そこが逆に魅力で、ちょっと舌足らずの声がファン心理をくすぐる。
彼女がいわゆるマクレー節を確立したのがデッカ時代(55〜58年)なら、それに続くキャップ時代(58〜60年)は最初のピークを迎えた時期といえる。このアルバムはキャップに残した3枚のうちの1枚で、彼女の生き生きとしたヴォーカルが十分に楽しめる傑作。