1993年発売
「明鳥」は81年4月、「船徳」は79年7月の高座。ようやくCD化されたということに、まず祝盃。文字通り、目に見えてうまくなっていった時期だけに、その躍動感が伝わってくる。噺家の色気というものは、やはり持って生まれるものなのだ、と改めて思う。
「居残り佐平次」は78年12月、「雛鍔」は81年4月の録音。「居残り」や、まだCDは出ていないが「酢豆腐」のように、何をやっているかわからない風若者を演じると、この人はバツグンの腕を見せる。ちょっと図々しく、ちょっとセコイけど、明るい若者がいい。
「愛宕山」は78年4月、「宿屋の富」は80年10月に三百人劇場で収録。たいこもちの一八の口先男ぶりが、いやになるほど出ている。チャランポランさの演技に男の色気がプンプン出ている志ん朝ならではの若々しさ。長いこと期待されていたひとの化けぶりを。
82年12月に本多劇場で収録。ほろっとさせる「文七元結」を、カラッとした気質で演じていく。志ん朝は、べとつきがちな噺を江戸っ子の心意気あふれる口調で展開していく。身につまされる人生訓を、ここまで情にあふれ、笑いの中できかせていくとは。
1970,72年の録音。グールドについては多くの人の著作、文章があふれていてうんざりだが音楽は全く関係なく存在している。ここではグールドがハープシコードを弾いている。ピアノの時との違いについてなど書かない。賢明な読者の耳の楽しみのために。
我が国では1972年にリリースされたバードとギボンズのヴァージナル名曲選に加え、64年、カナダCBC放送のTV番組用に収録された初CD化のスウェーリンクのファンタジアが聴ける。対位法作品に著れたグールドの創造力の新しさが、改めて認識される。
「星は光りぬ」と同時にリリースされたアルバム。こちらではかなりポピュラーよりの発声で、ジャジーな雰囲気作りに成功している。とはいえ、そこはやはりオペラ歌手。崩しきれないところは御愛嬌。英語の発音がイマイチなので、以後の研鑽を望む。