1994年5月25日発売
矢野顕子が、78年にニューヨークで完成させたアルバムの復刻CD。ロシア民謡やベートーベンを実に大胆にこなし、この人特有の個性を放っているが、ニューヨークの精鋭たちと軽々と共演し、しっかりと自分の世界を築き上げてしまう力量に目を見張る。
75年、ロフト・ジャズ華やかなりし頃にレコーディングされた、オリヴァー・レイクの3作目のリーダー作。ジョセフ・ボウイ、オル・ダラなどとともに、“ポスト・フリー”ともいうべきパワフルでフリーな音楽を展開している。その自由な感覚が素晴らしい。
(1)はセシル・テイラーも真っ青という狂暴きわまりないフリー・ジャズ。一方(2)のメドレーはがらりとムードが変わってゴスペル曲やストライド・ピアノも飛び出す伝統的な世界。どちらもバレルの素顔、ともに60年代のバレルを代表する名演として有名。
ジャズ史の片隅に取り残されてしまったようなトリヴァーだが、このアルバムを発表した当時はまさに昇り調子にあった。ポスト・フリー的なサウンドの中でクリエイティヴなソロを繰り広げる彼のスタイルが、もっとも良好な形で記録された名作の1枚。
ジャズ・シンガーがコンテンポラリーな音楽にチャレンジするのは今や常識だか、78年録音のこのアルバムはその先駆けである。しかも作曲者を何人もフィーチュアした上で、最高のオーケストラをつけるという、今じゃ夢のような豪華な2枚組。
オーネット・コールマンとの共演で知られるチャールズ・モフェットをリーダーに、その息子4人と娘が参加した文字通り一家総出演の作品。曲は各人の持ち寄り。雑然とした内容ながら、どこかオーネット的な肌触りを感じさせるところは父親の影響力大。
「ウェイヴ」の心地いいリズムの“波”に乗って始まったステージが同じテーマ曲で閉じるまで、軽妙なおしゃべりをはさみながら進んでいくのが目に見えるようだ。コインシャベベギギン…とスキャットで始まる曲等。オハコの「アニタのブルース」は絶品。
イザバ&ヤード・スティック・クリューのミニ・アルバム。5曲それぞれに工夫のある多彩なレゲエ・サウンドを聴かせる。「君といつまでも」のGS版を狙ったスパイダースの往年の名曲のカヴァー(4)(ナレーション含む)も素敵。夏の海辺によく似合う1枚。
のんびりとだらけた「バナナ・ボート・ソング」のインストだったりする(1)、堺正章の曲なわけねーよなと思いきや、外国語訛りの日本語でそれを歌ってる(3)、リフが「ダンス天国」でしかない(5)などを収録した変なレゲエ盤。必然性のなさが見事だね。
東京は六本木にある、生演奏がウリのレゲエ・クラブ、ホット・コロッケで夜ごと熱い演奏を繰り広げているジャマイカ人グループが4タイトル同時にリリースしたミニ・アルバムのひとつ。¥1500というリーズナブルなプライスがうれしい。
ZIGGYの戸城憲夫を中心に、横関敦、元バウワウの新見俊宏、そして新鋭、土橋宗一郎という豪華なラインナップで結成されたランス・オブ・スリル。音の方は今流行のグランジ&ヘヴィ・ロック。とにかく楽曲と演奏レベルのクオリティがやたらと高い1枚だ。