1997年11月27日発売
伊福部と芥川が師弟関係にあったことを考慮して聴くと、芥川が伊福部からどのような影響を受け、その上で自らの語法をどう構築していったかが分かるように思える。日本の現代歌曲も面白いものだと、この1枚を聴いて認識を新たにした。
石桁真礼生の歌曲をスペシャリストの瀬山詠子が歌う。少しややこしくて作曲の手がちらほら見えてしまいがちな石桁の曲を、この人は知的な処理でこなし、とても深みのある表現を見せる。歌曲はほかのものに増して演奏者の存在抜きには語れないものだ。
あの畑中良輔や立川清澄の名唱が聴ける。正確な発音はもとより、詩(言葉)の踏み込んだ解釈と表現には目をみはらせるものがある。特に立川の歌唱には、真に迫る情動が感じとれる。彼ら以上の逸材を今日発見できないのは何ともさびしい。必聴の1枚。
高田三郎の50〜60年代の歌曲集。順に聴いて行くとこの人の音楽にはわざとらしい作意や効果を狙うあざとさがないのに気づく。“日本歌曲”というとチョット……という必要がない。作曲者の音楽が自然に流れたから歌い手もごく自然に歌ってそれで十分。
瀧廉太郎の代表的な歌曲が収められている。知っている曲も多く、懐かしくも楽しい。瀧もマーラーたちと同時代の世紀末の作曲家だった。最後に瀧のピアノ曲が2曲収められているのがうれしい。世紀末の西洋音楽であると同時に明治時代の香りがする。
8月24日、日比谷野音のライヴを収録。もし、あなたがこのCDに興味を覚えたなら絶対に聴くべきだ。チャボが自分自身のキャリアのすべてを活かして、バンド形態でギターを弾き、歌うということにこだわり、しかも楽しんでいることがよ〜く分かるはず。
全国禿頭カンケイ諸兄の友、雀三郎(金萬福サンにも似てる)が師・枝雀直伝の顔芸を交えて演じる二題。さすがに「天王寺詣り」は松鶴の印象が強すぎて物足りず、現代口語との駆け引きもいささか苦しいが「口入屋」は立派に自分のネタに仕上げている。